プロジェクト概要

(日)淡水養殖改善・普及プロジェクト
(英)Freshwater Aquaculture Improvement and Extension Project in Cambodia

対象国名

カンボジア

署名日(実施合意)

2004年12月23日

プロジェクトサイト

対象地域の地図

カンボジア南部4州(プレイヴェン州,タケオ州,カンポット州,カンポンスプー州)

(右の地図中で、赤線で囲んである地域)

協力期間

2005年2月28日から2010年2月27日

相手国機関名

カンボジア国農林水産省

日本側協力機関名

東京海洋大学・埼玉県農林総合研究センター水産研究所

背景

カンボジアでは、1991年10月まで20年以上にわたり内戦等の混乱が続き、多くの人命が失われ、多数の国民が難民として流出した。このため、知識階級、指導者層の人材が著しく減少し、人的資源の量的質的低下が顕著となった。また同国では、内戦によって社会資本や農地及び自然環境が破壊されたことに加えて、地雷や不発弾が農村地域における内戦後の復旧を阻害しており、人間の安全保障や貧困に係る課題を数多く抱えている。同国の2000年の一人当たりGNPは253米ドルと、周辺諸国と比較してもその水準は極めて低い。

また1997年時点の貧困ライン以下の人口割合は、カンボジア全体で36.1%、農村部では40.1%と高い。カンボジアでは、約8割以上の国民が農業に従事し、その生計を米の生産に依存している。しかし、灌漑施設が不十分であることや、洪水や旱魃が頻発することなどから、米の生産性は低く、農家の生計の多角化が重要な課題となっている。

また、カンボジア農村部における稲作では、その大部分が天水田であるため、雨季及び乾季の水の制御が難しく、生産は不安定なものとなっている。農家の生計を向上させるためには、米の生産性の向上とともに、乾燥に強い作物を導入した二毛作や多年生の果樹栽培、更に淡水養殖等を組み合わせた総合的な営農が有効な対策と考えられている。

カンボジアにおいては、水産物(淡水魚)は容易に入手できる蛋白食料の一つであり、動物性蛋白質摂取の75%以上を水産物に依存している。しかしながら、水産物の生産は、メコン川やトンレサップ湖周辺に限定されているため、他の農村地域では、貴重な蛋白源である淡水魚の供給が慢性的に不足しており、農民の栄養改善を妨げる一 要因となっている。

また、国民の嗜好性からも、淡水魚に対する需要は大きく、農村地域では、蛋白供給源及び現金収入源として、水田、水路、溜め池等を利用した小規模養殖に対する関心は極めて高い。カンボジアにおける淡水養殖生産量は、プノンペン等大消費地の市場に水産物を供給するメコン川流域の生簀養殖の増産により、1990年の 6,400トンから2000年以降14,000トンに増加したが、他の農村地域に魚の供給を可能とする溜め池養殖の普及は、立ち遅れたままとなっている。この様な状況を受け、カンボジア政府より、農村部における天然餌料を利用した粗放的な養殖技術の改善と普及にかかるプロジェクトの要請がなされたものである。

上位目標

対象地域において、養殖生産量が増加する。

プロジェクト目標

対象地域において、小規模養殖技術が広く普及する。

成果

  1. 既存小規模養殖農家の技術改善により、種苗生産農家が育成される。
  2. 小規模養殖技術とその普及手法が、改善される。
  3. プロジェクト対象地域で、貧困農民が裨益する養殖関連活動が振興される。
  4. 農村部における養殖普及ネットワークが構築される。

活動

1-1
先行している類似プロジェクトの成果をレビューし、対象州の農村における養殖の現状と課題を整理し、改善点を取りまとめる。
1-2
ベースライン調査を基に、種苗生産農家を育成する村落(モデル村落)を選定する。
1-3
地域普及員他と協力して、モデル村落の既存小規模養殖農家に対し種苗管理及び育成管理他を支援しながら、種苗生産農家の候補を選定する。
1-4
種苗生産農家の候補に対して、地域普及員他と協力して、親魚、池及び種苗の管理と販売の指導を 行いながら、種苗生産農家として育成する。
2-1
地域普及員の養殖普及に係る実際的な指導能力を強化する。
2-2
技術改善を支援するための、小規模試験施設を強化する。
2-3
小規模試験施設において、現地に適合する小規模養殖技術を比較し、検討する。
3-1
農村部の共有池に、種苗及び親魚を放流する資源増殖活動を行う。
3-2
共有池管理体制を整える。
4-1
種苗生産農家及び地域普及員と協力して、モデル村落における農民間養殖技術普及計画を策定する。
4-2
対象となる小規模農家に対し、種苗生産農家が中心となり、プロジェクトで改善された養殖技術を 農民間で普及し、小規模養殖農家を育成する。
4-3
農村地域に種苗・養殖関連資材の供給及び技術情報の提供を通じて、小規模養殖農家のグループ化を促進する。
4-4
学校における教育活動に、養殖を導入する。
4-5
小規模養殖農家の養殖事例を集約し、対象州における農民間養殖技術普及計画を策定する。
4-6
中核農家のネットワーク強化のために必要な支援を提供する。

投入

日本側投入:

  1. 専門家派遣 (滞在型3名)チーフアドバイザー/普及行政、養殖技術改良普及、村落開発/業務調整 (短期)親魚育成/種苗生産、参加型計画、餌料開発、共有池管理、ジェンダー主流化、養魚流通、施設設計、入札支援/施工監理 他
  2. 供与機材 車輌や各種養殖資機材等。
  3. 研修員受け入れ 日本あるいは第三国での研修に、毎年2〜3名受け入れる。
  4. プロジェクト活動費

相手国側投入:

  1. カウンターパート (地域社会)新規種苗生産農家,共有池管理組織(者) (政府)水産局、州水産事務所、バティ種苗生産研究センター(BSPRC)から適切な人数のカウンターパートと、管理部門のスタッフを配置する。
  2. 建物・設備・機材 プロジェクトに必要な事務室,会議室,研修室,研究室,養殖池。
  3. プロジェクト活動費