プロジェクト概要

プロジェクト名

(和)女性の経済的エンパワーメントのためのジェンダー主流化プロジェクト
(英)Project on Gender Mainstreaming for Women’s Economic Empowerment

対象国名

カンボジア

署名日(実施合意)

2016年11月30日

協力期間

2017年3月1日から2022年2月28日まで

プロジェクトサイト

プノンペン特別市及び地方州(プロジェクトサイト:4州)

相手国機関名

(和)女性省
(英)Ministry of Women’s Affairs

背景

カンボジア王国(以下「カンボジア」)では、20年以上にわたる内戦の影響で、40歳以上の男性人口は、その女性人口と比べて少なく、2013年の国勢調査によると、女性世帯主世帯が全世帯の27.1%と大きな割合を占めます。カンボジア社会・経済の復興・開発の場面で重要な役割を担う女性への期待は高まりつつあるものの、女性の社会的・経済的地位は一般的に男性のそれに比べ依然として低いままです。特に農村部の女性は、都市部の女性と比べてジェンダーに起因する不平等な扱いを受けており、伝統及び文化的規範により、女性は受動的であるべきとする固定観念が依然として根強く、女性の地位の向上や社会参加、経済活動の促進を妨げているとされています。また、女性の政治参加は限られており、国民議会(下院)における女性議員の割合は12.2%、上院におけるそれも14.7%に止まっています。金融サービスの利用については、法制度上は男女が平等に権利を有するものの、社会的慣習等の影響から女性に対する金融関連情報や研修の機会が限定的であるなどの理由で、適切な金融サービスの利用が進んでいません。こうした女性の社会的地位・経済的状況の低さは、男性に対する従属的地位の定着化の原因となり、家庭内暴力や人身取引の被害者となる可能性につながることからも、女性の経済的エンパワーメントの促進が喫緊の課題となっています。

JICAはこれまで、2003年より「ジェンダー政策立案支援計画プロジェクト(Project on Gender Mainstreaming)」を実施し、ジェンダー視点に立った1)既存政策のレビューを含む政策立案のための調査分析、2)政策を実行に移すための施策の計画、3)実施、4)モニタリング、5)評価、6)その結果を踏まえた政策の立案という一連のサイクルを取り纏め(PGM手法)、女性省(Ministry of Women's Affairs: MOWA)および関係省庁のジェンダー視点に立った政策策定・実施能力を強化しました。さらに、女性の経済的エンパワーメントを促進する目的で2010年より「ジェンダー主流化プロジェクト・フェーズ2(Project on Gender Mainstreaming Phase 2: PGM2)」を実施し、女性省における連絡調整能力の強化と農村地域における女性の経済的エンパワーメントを促進するパイロット活動の実施、それに係る関連省庁との協働関係の構築を行いました。

こうしてPGM手法は、カンボジアでのジェンダー主流化メカニズムの重要なー要素となりましたが、カンボジア国全土でのジェンダー主流化促進のためには、女性省の更なる能カ強化や他省庁や地方行政体レベルでの取り組みの強化、PGM手法におけるマーケティング要素の強化等が必要とされています。特にマーケティング要素の強化は、PGM2の教訓も踏まえてその重要性が認識されており、市場分析や技術向上等の支援が期待されています。

このような状況から、カンボジア政府は日本政府に対し、女性省/州女性局の能力強化、農業分野におけるジェンダー主流化メカニズムの強化に関する技術協力の実施を要請しました。JICAは、本プロジェクトにおいて、ジェンダー主流化メカニズムの確立を図り、これによってジェンダー視点に立った事業計画・実施を通じて女性の経済的エンパワーメントの促進を支援しています。

目標

上位目標

カンボジア全国25都・州にて、女性省/局が推進・調整し、各省庁/局によるジェンダー視点に立った施策や事業を通じて、女性の経済的エンパワーメントが促進される。

プロジェクト目標

女性省/局の推進・調整を通じて、連携省庁/局によるサブナショナルレベルでの女性の経済的エンパワーメントを促進するためのジェンダー主流化メカニズムが強化される。

成果

  1. ジェンダー主流化メカニズムを用いて、サブナショナルレベルの女性の経済的エンパワーメントを促進するための女性省/局の能力が強化される。
  2. 全国への普及・スケールアップに向け、PGM2で開発された女性の経済的エンパワーメントを促進するためのジェンダー主流化メカニズムが、サブナショナルレベルでの市場志向型農業(養鶏)を通じて強化される。
  3. パイロットプロジェクトの実施を通じて、観光産業分野でマーケット志向を重視したサブナショナルレベルの女性の経済的エンパワーメントを促進するための、ジェンダー主流化メカニズムが確立される。

活動

中央レベルの支援体制の整備

1-1
TWG-G(Technical Working Group on Gender)のWEEサブグループ(Sub-group on Women's Economic Empowerment)への、女性の経済的エンパワーメントに関連する民間組織(企業家ネットワーク、大学、研究機関等)のさらなる参加を促進する。必要ならばTWG-G WEEサブグループのもとに民間の関係者を中心としたアドバイザリーボードを設立する。
1-2
TWG-GWEEサブグループの会合において、スケールアップ活動やパイロットプロジェクトの関係者(女性局、連携局等)がパイロットプロジェクトやスケールアップ活動の進捗や課題を共有し、TWG-G WEEサブグループメンバーからアドバイスを受ける。
1-3
TWG-G WEEサブグループのメンバーが、パイロットプロジェクトやスケールアッププロジェクトに関連する州レベルのワークショップやセミナー、フィールド訪問へ参加する。

ツールの整備

1-4
女性省により、ジェンダー用語集がアップデートされる。
1-5
女性省によりジェンダー統計リーフレットが改訂される。
1-6
成果2および3の結果に基づいて、女性省/局が計画省/局の協力により、ターゲット州、パイロット州のジェンダー統計を作成する。
1-7
成果2および3の結果に基づいて、女性省/局が、ジェンダー視点に立ったバリューチェーン分析手法をとりまとめ、PGM手法ガイドラインを修正する。
1-8
成果2及び成果3の結果に基づいて、PGM2で作成された「WEEガイドライン」の改訂版として、「州レベルにおける女性の経済的エンパワーメントのためのジェンダー主流化ガイドライン」を開発する。

連携省庁/局の体制整備

1-9
連携省庁のGMAP(Gender Mainstreaming Action Plan)の更新及び実施を支援する。
1-10
連携省庁の関係者を対象として、ジェンダー予算ワークショップを実施する。
1-11
成果2および3の活動を通じて作成された政策提言結果を、女性省の支援により、連係省庁/局が、政策や計画に反映する。

スケールアップ計画の作成

1-12
プロジェクトで強化したサブナショナルレベルの女性の経済的エンパワーメントを促進するためのジェンダー主流化メカニズムを、プロジェクト終了後に他州へスケールアップするための計画を、女性省が作成する。
1-13
プロジェクト終了時成果発表会を実施する。
1-14
アセアン諸国を対象とし、ジェンダー主流化に係る地域セミナーを実施する。

PGM2の成果品を用いたツールの整備

2-1
コンポンチャム州において、PGM2で実施した養鶏に係るパイロットプロジェクトのジェンダー視点に立った社会経済インパクト調査を実施する。
2-2
コンポンチャム州において、ジェンダー視点に立った養鶏のバリューチェーン分析調査を実施し、手法を取りまとめる。
2-3
2-1および2-2の調査結果に基づいて、モニタリング計画が作成され州女性局および州連携局により、養鶏プロジェクトのモニタリングが再開される。
2-4
2-1と2-2の調査結果および2-3のモニタリング結果に基づいて、必要ならばマーケティング部分の補足のための取り組みを実施する。
2-5
コンポンチャム州において、州女性子ども委員会(Women and Children Consultative Committee: WCCC)のもとに、州女性局と州連携局によるWEEに関する活動やモニタリングの実施を調整するためのワーキンググループ(仮称、WEEワーキンググループ)が設立される。メンバーとして、民間組織(企業家ネットワーク、大学、研究機関等)の参加を促進する。
2-6
上記のWEEワーキンググループにおいて、2-3で実施されるモニタリング結果が定期的に共有され、必要に応じて改善策が話し合われる。
2-7
PGM2で作成されたパイロットプロジェクトモニタリングガイドラインがWEEワーキンググループを中心にした形で(2-5および2-6の状況をふまえて)修正される。
2-8
2-1から2-4の結果に基づいて、養鶏マニュアルを補完する、農民を対象にしたジェンダー視点に立った養鶏マーケティングマニュアルを作成する。

スケールアッププロジェクトの実施体制の整備

2-9
女性省が、プロジェクト期間中のスケールアップに関する活動計画案(ターゲット、スケジュール、予算、人員体制等)を策定する。
2-10
女性省が、ターゲット州の選定クライテリアを設定し、スケールアップ活動のターゲット州を選定する。(選定の際に、州連携局のジェンダー主流化に関する理解度のベースライン情報をとる)
2-11
選定されたターゲット州において、各州のWCCC傘下にWEEワーキンググループが設立される。メンバーとして、民間組織(企業家ネットワーク、大学、研究機関等)の参加を促進する。WEEワーキンググループのアクションプランを策定し、WCCCの年次計画や州開発計画と統合される。

スケールアッププロジェクトの計画

2-12
PGM2で作成された包括的ガイドラインを参考にして、女性省/局のファシリテーションによるPGM手法ワークショップを実施し、PGM手法のステップ(1から4)に沿って、州女性局と州連携局がWEEに関する政策分析、ジェンダー分析をおこなう。
2-13
2-2でとりまとめた手法を用いて、PGM手法ワークショップを通じて、州女性局と州連携局がバリューチェーン分析をおこなう。
2-14
PGM手法ワークショップ(ステップ5)を通じて、州女性局と州連携局が、農業(養鶏)に関するスケールアッププロジェクトの活動計画を策定する。

スケールアップ活動の実施・モニタリング

2-15
2-14で策定された計画に基づき、州女性局および州連携局が、各セクターの活動を実施する。
2-16
2-7で作成されたガイドラインに基づいて、州女性局と州連携局によりモニタリングが実施され、WEEワーキンググループにおいて、モニタリング結果が定期的に共有され、活動の調整、課題の解決、改善に向けた検討がおこなわれる。また、WEEワーキンググループ会議の結果はWCCCの月例会議に共有される。

スケールアップ活動の評価結果の反映

2-17
PGM手法ワークショップを通じて、州女性局および州連携局が、スケールアッププロジェクトの評価(2-12のベースライン情報に基づくジェンダーインパクトを含む)をする。
2-18
PGM手法ワークショップを通じて、2-17の評価結果に基づいて、州女性局および州連携局が政策提言を作成する。
2-19
2-18で作成された政策提言の結果を、WCCCおよびTWG-G WEEサブグループに共有し、各政策や計画への反映を提案する。女性省/局による予算獲得の促進もおこなう。

観光産業に関するパイロットプロジェクト実施体制の整備

3-1
選定されたパイロット州において、WEEワーキンググループが設立される。メンバーとして、民間組織(企業家ネットワーク、大学、研究機関等)の参加を促進する。WEEワーキンググループのアクションプランを策定し、WCCCの年次計画や州開発計画と統合される。

観光産業に関するパイロットプロジェクトの計画

3-2
女性省/局のファシリテーションによるPGM手法ワークショップを通じて、PGM手法のステップ(1から4)に沿って、州女性局と州連携局がWEEに関する政策分析、ジェンダー分析をおこなう。
3-3
2-2でとりまとめた手法を用いて、観光産業に関するジェンダー視点に立ったバリューチェーン分析を、PGM手法ワークショップを通じて州女性局と州連携局がおこなう。マーケティングに関する調査や分析(地域資源の発掘や活用の分析)もおこなわれる。
3-4
PGM手法ワークショップ(ステップ5)を通じて、州女性局と州連携局が観光産業に関するパイロットプロジェクトの計画を策定する。
3-5
3-4で決定されたパイロットプロジェクトの対象事業および対象者に関する、ジェンダー視点に立った社会経済ベースライン調査(ジェンダー課題の抽出を含む)を実施し、取りまとめる。

観光産業に関するパイロットプロジェクトの実施・モニタリング

3-6
3-4で策定された計画に基づき、州女性局および州連携局が、各セクターの活動を実施する。
3-7
2-7で作成されたガイドラインに基づいて、州女性局と州連携局によりモニタリングが実施され、WEEワーキンググループにおいて、モニタリング結果が定期的に共有され、活動の調整、課題の解決、改善に向けた検討がおこなわれる。また、WEEワーキンググループ会議の結果はWCCCの月例会議に共有される。
3-8
観光産業のマーケティングのためのジェンダー視点に立った活動がおこなわれ、他の地域への普及のためのツールとして取りまとめられる。

パイロットプロジェクトの評価結果の反映

3-9
PGM手法ワークショップを通じて、州女性局および州連携局が、パイロットプロジェクトを評価し(3-5のベースライン情報に基づくジェンダーインパクトを含む)、エンドライン調査として報告に取りまとめる。
3-10
PGM手法ワークショップを通じて、3-9の評価結果に基づいて、州女性局および州連携局が政策提言を作成する。
3-11
3-10で作成された政策提言の結果を、WCCCおよびTWG-GWEEサブグループに共有し、各政策や計画への反映を提案する。女性省/局による予算獲得の促進もおこなう。

投入

日本側投入

  1. 専門家派遣
    総括/ジェンダー主流化、副総括/ジェンダー主流化、組織強化/ガバナンス、女性の経済的エンパワーメント、市場ビジネス開発、業務調整/研修管理
  2. 研修員受け入れ:本邦ないしは第三国での実施を想定

相手国側投入

カウンターパート人件費、プロジェクトオフィス、その他