プロジェクト概要

プロジェクト名

(和)海水魚種苗生産技術向上プロジェクト
(英)Project for Improvement of Marine Aquaculture Seed Production Techniques

対象国名

カンボジア

署名日(実施合意)

2016年6月6日

協力期間

2016年11月20日から2019年11月19日

相手国機関名

(和)農林水産省水産局
(英)Ministry of Agriculture, Forestry and Fisheries, Fishery Administration

背景

カンボジア王国(以下、「カンボジア」という)において水産業は、人口のおよそ30%にあたる400万人が、直接または間接的に従事している産業で、同国のGDP全体の約1割を占めており、カンボジアの国家経済にとって重要な役割を果たしている。また、同国民は動物性タンパク質の65%を水産物から摂取しており、水産業は食料安全保障の面からも重要性が高い。

カンボジアにおける2014年の漁業総生産量は745,255トン/年であり、その内訳として、内水面漁業が全体の67%、海面漁業及び養殖(内水面及び海面)がそれぞれ16%を占める。そのうち、養殖業の伸びが顕著であり、過去10年(2004年〜2014年)における内水面漁業及び海面漁業の生産が約2倍の増加率に対し、養殖業では10倍となっている。近年ではとくに、沿岸地域の経済開発や気候変動、乱獲等の影響により、水産資源の保全が困難になっていることから、海水魚の養殖生産に対する需要が高まっている。

しかしながら、カンボジア国内の海面養殖魚(アカメ、ハタ類)の需要の増加に対し、養殖技術が未熟であり、国内の人工種苗生産業者が不足しているため、養殖業者及び養殖農家は天然種苗及び輸入種苗を使用せざるを得ない。そのため、天然種苗採捕による水産資源への圧力、また、輸入種苗由来の魚病発生等、更なる水産資源の減少が危惧されている。

このような状況を踏まえ、カンボジア政府水産局は、「国家戦略開発計画(National Strategic Development Plan :NSDP)」(2014年〜2018年)に基づく「水産分野の戦略的開発フレームワーク(Strategic Planning Framework for Fisheries)」(2010年〜2019年)を策定し、漁業生産の維持、稲田養魚及び養殖生産(内水面及び海面)の振興を通じて、持続的に利用可能な水産資源の管理、保全及び開発を目指している。

我が国は、同国への無償資金協力を通じて、海産種苗生産及び養殖技術開発、技術普及のための研修・教育を行う「海洋養殖開発センター(Marine Aquaculture Research and Development Center:MARDeC)整備計画」を実施するとともに、個別専門家「漁業制度改善アドバイザー(養殖)」(2011年〜2012年)を派遣し、同センターの運営支援を行った。さらに、同施設建設後3年間にわたり、短期専門家を同センターに派遣し、アカメの種苗生産及び魚類診断等の防疫体制の整備を支援した。その結果、アカメの種苗生産量は増加したものの、アカメの健全な種苗生産体制の確立及び新魚種の種苗生産技術の開発が必要なことから、カンボジア政府は我が国に技術協力を要請した。

目標

上位目標

カンボジア沿岸部において対象海水魚の国産種苗の生産・供給が増加し、海面養殖が振興する。

プロジェクト目標

MARDeCの海水魚種苗生産にかかる技術開発能力が向上する。

成果

成果1 MARDeCにおいて海水魚種苗生産を行うための管理運営能力が強化される。
成果2 MARDeCにおける対象魚種の親魚養成管理、生物餌料培養、幼生飼育、中間育成などにかかる種苗生産技術が種苗生産試験を通じて開発・改善される。
成果3 MARDeCにおける対象魚種の魚類防疫体制の基盤が築かれる。

活動

1-1.ベースライン調査を実施し、沿岸州における海面養殖の現状把握、海面養殖業者リストおよび分布地図を作成する。
1-2.MARDeCの施設・機材の維持管理計画、維持管理マニュアルを作成する。
1-3.MARDeCの種苗生産計画(資金、人員、販売計画などを含む)を作成する。
1-4.MARDeCおよびFiAにおける職員間の技術共有を図るために職員研修を実施する。

2-1.アカメの親魚養成管理にかかる既存技術を改善する。
2-2.アカメの生物餌料培養にかかる既存技術を改善する。
2-3.アカメの幼生飼育・中間育成にかかる既存技術を改善する。
2-4.アカメ稚魚の中間育成にかかる屋外実証試験を行う。
2-5.改善された種苗生産技術(親魚管理、生物餌料培養、幼生飼育、中間育成を含めた種苗生産マニュアルを改訂する。
2-6.新魚種(一種)の種苗生産試験(親魚養成管理、生物餌料生産、幼生飼育、中間育成)を行う。
2-7.MARDeC職員が普及員および養殖農家向けに養殖技術セミナーを実施する。

3-1.MARDeCの種苗生産にかかる防疫システム(ガイドライン・内規)を改善する。
3-2.MARDeCの対象魚種にかかる魚病診断マニュアルを開発・改善する。
3-3.MARDeC職員が普及員および養殖農家向けに簡易魚病診断、防疫対策研修を行う。

投入

日本側投入

1)専門家派遣
ア.総括/種苗生産計画/研修計画
イ.種苗生産技術(親魚養成管理/生物餌料培養/幼生飼育/中間育成)
ウ.魚類防疫
2)本邦又は第三国研修
種苗生産、餌料生物培養・管理、魚病診断・対策、養殖配合飼料

相手国側投入

1)カウンターパートの配置
ア.プロジェクトダイレクター:農林水産省水産局 副局長
イ.プロジェクト副ダイレクター:農林水産省水産局養殖開発部 部長
ウ.プロジェクトマネージャー:MARDeC所長
エ.カウンターパート:MARDeC職員(26人)
2)プロジェクト実施に必要な執務室及び施設設備の提供
3)維持管理費(施設維持管理費・光熱費等)

外部条件

・カンボジア政府の水産政策が本事業要請時のものから変更されない。
・MARDeCでOJT及び研修を受けたカウンターパートが大幅に離職しない。