「都市救急救助研修I、II」を実施しました。

2015年11月19日

中南米カリブ諸国の防災人材の育成を目指す「KIZUNAプロジェクト」の一環として、「都市救急救助I、II」研修が2015年10月19日から31日まで、チリ国家消防アカデミーの研修センター(首都州タラガンテ県)で実施され、11ヵ国から36人が参加。同アカデミーのチリ人インストラクターたちの指導のもと、崩壊した建物から人命を救出する方法や犬を用いた捜索技術など、実技と講義を組み合わせた2週間の研修をこなしました。日本からは総務省消防庁の新村満弘専門家と東京消防庁の村山崇専門家を講師として派遣。両専門家は、日本の救急救助体制や阪神・淡路大震災や東日本大震災での経験とそこから得られた教訓について講義したほか、早期地震警報器など特殊機材を用いた捜索技術について紹介しました。

各国の研修員を前に新村専門家は「日本は高度な機器を用いているが、それを扱うのは人間であることを忘れないでほしい。一人の人間として日々、技術と精神面の鍛錬が必要」と話していました。また今回の研修員の中には、日本でJICA関西が大阪市消防局の協力で実施している「救急救助技術」研修に6年前に参加したウルグアイ人も参加しており、日本で学んだというロープワーク技術や安全管理の知識について他国の研修員に実演するなど、日本での研修効果を確認できる場面もありました。

本研修の実施に先立ち、日本の消防庁などを視察し、日本の救急救助技術について学んだ同アカデミーのアロンソ・セジュール校長は「日本からのインプットは、チリと中南米カリブ諸国の技術向上に貢献しています。チリでは国際援助の場でも活動できるように人材育成や機材整備を図っていきたいと考えており、新しい機材の取扱方法について日本からもっと学びたい」と話していました。

一方、本研修とは別に、10月24日にはチリ人消防士向けの公開セミナーをサンチャゴ市内のチリ銀行公会堂で開催し、約80人が参加したほか、同アカデミーがセミナーの様子をネット配信しました。セミナーでは、新村専門家が東日本大震災から得られた救急救助の教訓について述べたほか、2008年に起きた中国西部大地震に派遣された日本の国際緊急救助隊の活動を撮影したDVDを上映しながら、海外における日本の救助活動について紹介しました。チリ消防庁からは今年3月にチリ北部で起きた豪雨による大洪水災害での救助活動について説明があり、両国の救助体制や活動における教訓や課題などについて、会場の参加者も交えた活発な意見交換が行われました。

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チリ人消防士を対象に開かれたセミナーでの議論の様子(サンチャゴ市内のチリ銀行公会堂で)。