「建築物の地震リスク管理(地震後の応急診断)」研修を実施しました。

2015年11月20日

建築物の耐震基準や地震挙動、災害後の建築物の診断方法などを総合的に学ぶ「建築物の地震リスク管理(地震後の応急診断)」研修が10月19日から11月5日まで、チリ・サンチアゴ市内を中心に実施されました。本研修はチリ公共事業省が企画運営し、メキシコやペルー、セントルシアなど、中南米カリブ諸国の11ヵ国から20人のエンジニアや建築士らが参加。約3週間にわたって、地震学、耐震基準、建築物の地震挙動、診断技術などのテーマに関する講義を受講したほか、チリカトリカ大学の実験設備を見学し、最新の耐震技術の開発などについて学びました。また、サンチアゴ市内の免震装置を導入した建築物や、バルパライソ州の住宅地を含む山火事被災地における復興住宅の視察なども行いました。
JICAはこれまでのチリに対する研究協力で、チリにおける建築物の耐震基準改定に貢献し、過去に起きた大規模な地震でも多くの建築物が一部損壊にとどまるなど、一定の成果をあげてきました。また近年では、被災建築物の危険度判定手法の開発にも協力しており、本研修はこれまでの協力実績を広く中南米カリブ諸国に広げていくことを目的にしています。
日本からは国立研究開発法人建築研究所の小豆畑達哉専門家と国土交通省国土技術政策総合研究所の福山洋専門家が「応急危険度判定」「耐震の改修事例」などのテーマについて講義し、日本の事例と最新技術について紹介しました。研修員の中には、日本で研修や留学を経験した人も多く、片言の日本語で専門家たちに話しかけ、意見交換する場面もありました。
最終日のアクションプラン発表では、今回の研修で学んだことを元に、各国で用いられている災害後の建築物の応急診断表の改定に取り組む意向を示す内容が目立ちました。本研修のコースリーダーを務めた公共事業省の土木技師、カルロス・メンデスさんは、6月から8月にかけてJICA東京で実施された本邦研修「建築防災(地震、津波、火災、台風等に対して)」に参加。日本で学んだ知見も活かしながら本研修を運営し、災害に強い地域づくりを目指す日本とチリ、中南米カリブ諸国の研修員と関係者との絆を深める役割を果たしていました。

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建築物の地震挙動について解説する福山専門家

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チリカトリカ大学の実験設備の視察