第4回「都市救急救助技術」研修が修了しました。

2018年10月20日

今年度で4回目を迎えた第三国研修「都市救急救助技術(Rescate Urbano)」が、10月8日から20日まで、実施機関である国家消防庁消防アカデミー(ANB)の研修センターにて行われました。都市型災害を想定した救急救助技術の向上を目的とした本研修では、アルゼンチン、ボリビア、ブラジル、コロンビア、コスタリカ、エクアドル、エルサルバドル、グアテマラ、メキシコ、パナマ、パラグアイ、ペルー、ドミニカ共和国、ウルグアイ、ベネズエラの15ヶ国から34名の海外研修員が参加し、救助の国際基準や救助機材の使用方法、様々な状況下での危険度分析等について座学や実技訓練を通して学びました。

本研修には消防庁より布川賢治専門家が来智し、日本の救急救助体制や過去の災害から得た教訓、日本の国際的な取組み等について講義、また、実技訓練(ロープレスキュー訓練、リフティング訓練(注1)、ショアリング訓練(注2)等)では、二次災害を防ぐ安全確保の視点から重点的に助言・指導しました。最終日には、実技訓練を写真で振り返りながら現場に潜む危険性についてインストラクター・研修員と対話形式で問題点の洗い出しを実施。実技訓練中に自分達の写真が撮られていたことに驚きや恥ずかしさも感じつつ、活発な意見交換がなされ、研修員からは「普段自分の活動を客観的に見ることが少ないため、大変良い機会となった。技術的なことにばかりに目が行きがちだが、チーム内の安全確保の積み重ねがあってこそはじめて救助活動が可能となる。今回自分達の活動を振り返ることで初めて気づいた点も多い。」というコメントもあり、振り返りの重要性を実感していました。なお、この研修実施機関のインストラクターは全員無報酬のボランティアであることも特筆すべき点です。

チリは、2017年11月に中南米で初めてINSARAG(国際捜索救助諮問グループ)より「ミディアム」クラスに認定され国際緊急救助の能力が高く評価されております(注3)。本プロジェクトで得た知識・経験をベースに、今後、ますます中南米への支援が期待されます。

(注1)瓦礫等の障害物を持ち上げ進入路を確保する救助技術のひとつです。
(注2)地震等の災害によりダメージを受けた建物の二次倒壊を防ぐため、外壁や開口部等を木材を使用し支えて安定化させる技術です。建物内での救助活動や要救助者を二次倒壊の危険から守ります。
(注3)捜索救助チームの国際ネットワークであるINSARAG(国際捜索救助諮問グループ)が実施する国際緊急援助の能力を評価する制度INSARAG External-Classification(IEC)により「ミディアム」クラスに評価されました。日本の救助チームは、2010年にさらに高い能力が求められる「ヘビー」の評価を取得しており、5年毎に求められる再評価(IEC)においても再度「ヘビー」の認定を受けております(2015年)。

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ショアリング訓練を指導する布川専門家

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布川専門家を囲む研修員・インストラクター一同