カトリカ大学工学部(PUC)にて「2018年度地震工学セミナー-長周期地震動対策-」を開催しました。

2018年10月29日

10月2~3日の2日間、本プロジェクトの一環として、チリ・カトリカ大学工学部構造地盤工学科と共に「地震工学セミナー」を開催しました。本セミナーは、同学科修士コースの学生だけでなく地震工学分野の若手研究者や社会人等を対象とし、毎年夜間(18:30~21:30)に実施されております。今年度は「津波」と「高層建築物」をテーマに、両国の知見共有・学術交流を目的に、日本とチリの研究者が各々の研究分野について発表しました。

初日は「津波」を切り口に、チリ側から「地震発生源の複雑性が津波強度測定に与える影響」(Jorge Crempien氏)、「地震・津波による連続負荷を受けるRC構造のpushover解析」(Rosita Junemann氏)の講義を実施頂いた後、国土技術政策総合研究所の福山洋専門家より、2011年の東日本大震災時の被害状況を踏まえ「津波避難ビルの構造設計法」が紹介されました。二日目は「高層建築物」にフォーカスし、チリ側から「超高層建築物のための構造システム」(Tomas Zegard氏)、「チリにおける高層建築物設計の規範的な課題」(Ian Watt氏)、日本側からは福山専門家により「長周期地震動対策と天井落下対策」について発表されました。特に、上記講義内で紹介された20層RC造縮小建築物試験体の震動実験や免震部材の繰り返し加力実験等の大規模実験に係る動画は、参加者から高い関心がよせられました。

本修士コースでは、KIZUNAプロジェクトのカウンターパートであるチリ国際協力開発庁(AGCID)が中南米カリブ諸国の学生5人に対して奨学金を支給する一方、JICAは短期専門家を派遣して耐震工学に関するセミナーを毎年開催し、地震工学分野の最新の知見をチリと中南米カリブ諸国に広く普及することを目指しています。

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福山専門家講義風景