プロジェクト概要

プロジェクト名

(和)中国西部地区林業人材育成プロジェクト

(英)Project on Forestry Human Resource Development in Western Region of China

対象国名

中華人民共和国

プロジェクトサイト

北京、四川省、陝西省、広西チワン族自治区、寧夏回族自治区

署名日(実施合意)

2009年11月3日

協力期間

2010年3月1日から2014年2月28日

相手国機関名

(和)国家林業局

(英)State Forestry Administration

日本側機関名

林野庁

背景

中国は森林被覆率が20.36%(2010年)と森林資源が乏しく(世界平均は29.6%)、砂漠化した面積は173万9,700平方キロ(日本の面積の約4.6倍)に達するなど厳しい環境条件にある。1998年に4,000人以上の死者を出した長江の大洪水は森林等の自然環境の悪化が原因で被害が大きくなったと言われており、中国政府は自然環境を改善するために1999年に「全国生態環境建設計画」を策定し、森林被覆率を2050年までには26%とする目標を掲げ、森林をはじめとする自然環境の改善に力を注いでいる。

中国の森林の大半は集団所有の集体林もしくは国有林場であり、森林の適切な保全を図るためには集体林及び国有林場が適切に管理される必要がある。そのため、中国政府は集体林権制度改革や国有林場改革といった改革を推進している。集体林権制度改革は集団所有の林地の経営権と材木所有権を農民に委譲し、林地経営に対する農民のインセンティブを高め、適切な森林経営を促進しようとするものであり、2008年に中国政府は「中国共産党中央委員会・国務院の集体林権制度改革の全面的推進に関する意見」を公布し、5年間で集体林権制度改革を全国で完成させることを打ち出し、強力に改革を推進している。国有林場改革は国有林場を「生態公益型林場」と「商品経営型林場」に分け、それぞれに適した管理を促進しようというものであり、2008年に「中国共産党中央委員会・農村改革発展を推進する若干な重大問題の決定」が出され、国有林場の改革を拡大することが提案された。また、国務院からも国有林場改革の加速に関する意見が出される予定である。

中国の西部地区の面積は686.7万平方キロで、国土面積の71.5%を占める。人口は約3.63億人で、全人口の27.9%を占める。西部地区は長江、黄河、瀾滄江(メコン川)と中国の主な河川の発祥地で重要な水源区であり、環境保全が極めて重要である。一方、水土流失、砂漠化・砂地化の最も深刻な地区で、生態状況は極めて脆弱である。西部地区の環境保全は中国全土にとっても重要であるが、乾燥・高地・寒冷などの気候条件の厳しさや社会経済条件の立ち遅れからくる人材不足などのため、環境保全事業が困難に直面している状況にある。集体林権制度改革においても先行しているのは東部の省であり、国有林場についても生態林の多い西部の林場の多くは経営状況が悪く、改革が遅れている。両改革において実際の実務を担うのは県レベル以下の人材であるが、彼らに対する研修機会は非常に限られており、十分な人材育成が行われていない。そのため、改革を効果的に実施し、森林の適切な保全を図るために県レベル以下の人材の育成が急務となっている。

2004年から2009年までの5年間、JICAは「日中林業生態研修センター計画プロジェクト」を通じて、西部地域を含む8つの省(自治区)(注4)の林業研修機関及び北京の林業管理幹部学院を対象に県レベルの林業職員を対象としたモデル研修の開発・実施にかかる協力を実施したが、西部地区における林業の人的資源の質・量の不足の解決にはなお相当な時間と支援が必要となっているうえ、県の下の郷鎮(注5)、村レベルの人材育成は同プロジェクトではカバーしていない。また、同プロジェクトでは六大林業重点事業 (注6)に関連した研修を開発・実施したが、集体林権制度改革や国有林場改革などの近年の重要テーマに対する人材育成には必ずしも十分対応できておらず、新しい制度に即した人材育成の必要性が高い。そのため、「西部地区林業人材育成プロジェクト」が要請され、2009年度新規案件として採択された。

(注4)黒龍江省、山西省、陝西省、四川省、湖北省、貴州省、福建省、新疆ウイグル自治区の8つ

(注5)郷鎮は中国の行政区分で県の下のレベル(中国の行政区分は省−市−県−郷鎮である)。

(注6)天然林保護、退耕還林、北京天津風砂源整備、防護林、早生多収穫林、野生動植物保護の6事業

目標

上位目標

西部地区において、集体林権制度改革及び国有林場改革を推進するための県レベル以下の林業関係者を対象とした研修方式(注)の普及を通じて、両改革の円滑な実施が促進される。

(注)プロジェクトでいう「研修方式」とは、研修形式、研修カリキュラム、研修方法、研修教材及び研修評価方法等を指す。

プロジェクト目標

パイロット省(自治区)における試行を通じ、西部地区に適用可能な、集体林権制度改革及び国有林場改革を推進するための県レベル以下の林業関係者を対象とした研修方式が整備される。

成果

  1. パイロット省(自治区)において、両改革にかかる研修のための連携が省(自治区)林業庁(局)関連部門間で強化される。
  2. パイロット省(自治区)において、研修実施を通じて、両改革を推進するための県レベル以下の林業関係者を対象とした研修方式が整備される。
  3. 多様な方法で両改革に関する政策、優良事例、参考情報及び研修方式に関する情報共有・交流が促進される。

活動

1-1.
パイロット省(自治区)における両改革にかかる研修の現状を把握する。
1-2.
両改革にかかる研修に対する関連部門の役割について、各省(自治区)林業庁(局)と共通認識を形成する。
1-3.
関係部門間で、両改革にかかる研修の連絡・調整を行う。
2-1.
パイロット省(自治区)における両改革の方針、進捗状況及び課題、研修ニーズを把握する。
2-2.
パイロット省(自治区)において代表的な集体林及び国有林場を複数タイプ選定し、改革及び森林経営の現状と研修ニーズ等についての分析を行う。
2-3.
上記2-1、2-2に基づき、対象者別に研修コースを開発する。
2-4.
上記2-3の研修を実施する。
2-5.
研修参加者による研修評価結果を踏まえ、研修を改善する。
2-6.
研修参加者の普及研修実施を支援する。
2-7.
研修効果のモニタリングを行い、結果を研修内容にフィードバックする。
3-1.
西部地区の省主管部門の幹部向け研修を実施し、両改革の政策・実施に関する理解を促進する。
3-2.
セミナー等を開催し、知見・経験に関する情報交換、プロジェクト成果の共有、発信を図る。
3-3.
プロジェクト成果や両改革に関する参考情報をインターネット、プロジェクト・ニュースレター等を通じて発信する。

投入

日本側投入

  • 長期専門家
  • 短期専門家
  • 研修生受入れ
  • 機材供与
  • ローカルコストの一部負担

相手国側投入

  • 専門家執務室、研修場所の提供
  • カウンターパートの配置
  • ローカルコストの一部負担