日中友好環境保全センター20周年式典の開催−5フェーズに亘る技術協力の成果を振り返り、今後のさらなる日中協力を考える−

2016年6月7日

2016年6月

日中友好環境保全センターは、1988年に日中平和友好条約締結10周年を記念して当時の日中総理の間で設立が合意されました。この合意に基づき、日本の無償資金協力と中国政府の資金により建物や機材を整備し、1996年に北京市内に開所しました。1992年以来、日本は計42名の長期及び短期の専門家派遣や285名の中国側専門家の訪日研修などによる技術協力プロジェクトを行っております。また、日本は環境観測・分析技術の移転やセンターを担う人材育成を行うとともに、日中共同での調査研究や研修能力の向上をはかることで、環境政策の立案やセンターの能力建設にも寄与してきました。

2016年6月7日、その日中友好環境保全センターにおいて、中国環境保護部、日本環境省の支援を得て、同センターとJICAの共催により、設立20周年式典を開催しました。日中友好環境保全センター設立と発展の歩みを回顧・記念し、また日中環境協力の促進を目的として、午前は開幕式、午後には「協力によるイノベーションとグリーン発展の推進」国際シンポジウムという構成で、元JICA専門家16名を含む約300人が参加する盛大な式典となりました。

式典の開幕式には、中国側より環境保護部陳吉寧部長、外交部楊宇アジア司参事官、センター任勇主任、日本側より丸川珠代環境大臣、?M地雅一外務大臣政務官、竹下亘議員、北橋健治北九州市長、横井裕在中国特命全権大使、JICA柳沢香枝理事等が出席しました。開幕式では、陳部長から、「環境保護は日中協力における重点分野である。特に日中友好環境保全センターの建設や施設使用によるプロジェクトは、環境分野における二国間国際協力の成功モデルともなっている。」と述べられました。丸川大臣は、「環境協力は両国の戦略的互恵関係を象徴する柱だ」と応じました。

柳沢理事は発表の中で、JICAの対中環境協力の歴史、5フェーズに亘るセンターへの協力の歴史を振り返りました。センターの若手職員と日本人専門家が地方出張に赴いた際、地方政府や企業から、直面する問題について相談を受ける機会が多く、はじめは日本人専門家が答えていたものの、徐々にセンターの若手職員が自分たちで回答するようになったというエピソードも紹介しました。また、円借款による環境設備の更新というハード面と、日中友好環境保全センターでの人材育成というソフト面の協力の組み合わせにより、貴陽、重慶、大連の三都市における酸性雨防止対策、脱硫副産物の有効利用等、大気汚染対策の成功例を紹介しました。式典に出席していた元JICA専門家を紹介し、会場から元JICA専門家に対し大きな拍手が送られる場面もありました。最後に、JICAからの期待として、日中双方の人材ネットワークの維持、センターが日中の環境分野のあらゆる関係者の交流・協力の拠点となることの2点を伝えました。

午後の国際シンポジウムは5つの分科会に分かれ、日中双方の関心の高いテーマ(環境ガバナンスシステム、グリーン・サプライチェーン、環境ビッグデータ、環境モニタリング、環境リスク管理)について、専門家による講演・意見交換が行われました。日本からは、プロジェクトに携わった元専門家が中心となって挨拶・講演を行い、日本の公害経験の歴史や日本企業による最新の環境対策の取り組み等を紹介しました。

現在、日中友好環境保全センターでは、2016年4月よりフェーズ5にあたる「環境にやさしい社会構築プロジェクト」を実施しています。中国における環境課題への総合的な対応強化のため、政策制度・法律制度の整備促進、必要な環境汚染防治技術協力の促進、市民の意識向上・能力育成・交流活動を進めて行きます。既に同センターには2名の長期専門家が派遣されており、大気・水環境汚染対策、電子廃棄物処理、環境教育、環境情報公開など多岐に亘る分野の短期専門家が派遣される予定です。今後の活動状況は、JICAホームページ、中国事務所微博、ニュースレター等でもご紹介していきます。

主な報道

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20周年式典開幕式の様子

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当日は300名を超える参加者

【画像】環境省丸川大臣、環境保護部陳部長など集合写真

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式典に参加した元JICA専門家

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午後の分科会(環境ガバナンス)

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午後の分科会(グリーンサプライチェーン)

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午後の分科会(環境モニタリング)