プロジェクト概要

プロジェクト名

(日)新疆天然草地生態保護と牧畜民定住プロジェクト
(英)The Project for Protection of Natural Grassland and Nomad Settlement Model in Xinjiang Uygur Autonomous Region
(中)中国語のプロジェクト名称

対象国名

中華人民共和国

署名日(実施合意)

2007年3月6日

プロジェクトサイト

新疆ウイグル自治区ウルムチ市、昌吉市、富蘊県

実施期間

2007年6月4日から2012年3月31日

相手国機関名

新疆ウイグル自治区科学技術庁

日本側協力機関名

農林水産省
中華人民共和国 乾燥地における生態環境の保全プログラム 国内支援委員会

背景

中国の乾燥・半乾燥地の80%にあたる262.2万 km2(日本の面積の7倍)では主に過放牧などの人為的な要因で砂漠化が進んでおり、現在でも31万km2の面積が砂漠化の危機に瀕している。砂漠化は黄砂現象を引き起こし、黄砂による被害は中国ばかりでなく日本や韓国など近隣国にも及んでいる。

中国政府は1999年に全国生態環境建設計画を策定し、砂漠化が進行している新疆や内蒙古・黄土高原において禁牧・休牧・輪牧等による放牧制限により過放牧を緩和する等の国家レベルのプロジェクトを実施している。

本プロジェクト対象地域である新疆ウイグル自治区は中国全土の1/6の面積と2010万人の人口を有し、人口の60%を少数民族が占めている。降水量は北部200〜300ミリメートル、南部10〜100ミリメートルとほとんどが乾燥地・半乾燥地であり、天山山脈、アルタイ山脈(いずれも5000m級)に広がる天然草地を利用した遊牧が伝統的に行われており、牧畜民は年間数百キロを移動しながら遊牧を行ってきた。

しかしながら、1950年代以降の人口増加により、5倍近くに増加した家畜が天然草地(特に冬草地)に大きな負荷を与えており、天然草地の85%が砂漠化の危機に瀕している。これに対し、自治区政府は冬季を中心に畜舎飼育を導入する新しい営農の構築によって、牧畜民の生活の安定と天然草地の保護・回復を図ろうとしている。この政策では定住地を建設して一戸当たり1.5ha程度の耕作地を配分し、冬季に畜舎飼育を行い、その他の季節は天然草地の使用可能量に合わせて放牧を行うといった方法がとられている。

しかしながら、遊牧を行っていた牧畜民は畜舎飼育の経験は無く、技術普及員の育成も十分ではないため、定住後の一人当たりの純収入は250ドルと低く、結果として新たな営農スタイルに順応することが出来ず、再び遊牧に回帰するものが後を絶たない状態にある。かかる状況をうけ、牧畜民の生活向上と天然草地の回復のために、定住地における有効な水利用技術、栽培技術、畜舎飼育技術にかかる牧畜民への技術普及体制を整備するとともに、既存の天然草地の持続可能な利用量及び定住地における飼料作物の栽培可能量に基づく飼養頭数を設定するモデル営農体系づくりなど、牧畜民への農業支援サービスの充実とその実施体制作りに対する支援が日本政府に要請されたものである。

目標

上位目標:

北新疆の類似地区の定住地域において天然草地の保護と牧畜民の生計向上が図られる。

プロジェクト目標:

天然草地の保護と牧畜民の生計向上が両立しうる持続可能な定住事業のためのモデル的な取り組みを通じ、定住牧畜民に対する技術支援体制が強化される。

成果

  1. モデル地区における活動を通じ、天然草地の保護と牧畜民の生計向上が両立しうる持続可能な定住事業のための技術および計画策定・実施・評価手法が改善される。
  2. モデル事業を通じて天然草地の保護と牧畜民の生計向上が両立しうる持続可能な定住事業のための技術研修が強化される。

活動

1-1.
モデル地区において、プロジェクトに関連する天然草地および水資源等の自然資源調査、牧畜民の家族構成および生計等の社会経済調査、営農調査、灌漑施設等のインフラ整備の現状および将来計画に係る調査等を実施し、現状と課題を把握するとともに、一部課題を改善するための活動を行う。
1-2.
1-1の結果を踏まえ、モデル地区の現状に応じた適切な天然草地保護利用計画、土地利用計画、営農計画、水利用計画を策定する。
1-3.
モデル地区の天然草地の保護利用計画、農地利用計画、営農計画、水利用計画に基づき、モデル地区の一部で実施する天然草地の保護と牧畜民の生計向上のための対策を含むパイロットプロジェクトの内容を決定し、活動計画を策定する。
1-4.
活動計画に基づきパイロットプロジェクトを実施する。パイロットプロジェクトの内容は次のとおり。
1-4-1.
牧草、飼料作物、自給・換金作物等の栽培技術および水管理技術を改善する。
1-4-2.
飼料調製技術および家畜の飼養生産技術を改善する。
1-4-3.
天然草地保護回復のための対策を実施する。
1-5.
パイロットプロジェクトのモニタリング、評価を行う。
1-6.
モデル地区における活動の計画策定マニュアル、技術マニュアルを作成する。
2-1.
モデル地区の技術普及体制(草地管理、畜産、節水灌漑、営農等)に係る現状および課題を把握し、モデル地区における技術普及体制整備計画(研修計画を含む)を策定する。
2-2.
研修計画に基づきモデル地区市・県、郷レベル行政管理者を対象として牧畜民定住事業の計画策定および実施に関する研修を実施する。
2-3.
研修計画に基づきモデル地区市・県、郷レベル技術普及担当者を対象として牧畜民への技術指導を強化するための研修を実施する。
2-4.
研修計画に基づき市・県、郷レベルの技術普及担当者によるモデル地区牧畜民を対象として草地管理、畜産、節水灌漑、営農等に関する研修を実施する。
2-5.
実用的なカザフ語教材を作成する。
2-6.
モデル普及計画を策定する。

投入

日本側投入:

  • 専門家派遣
    (総括/草地管理、栽培/飼料生産、家畜飼養、研修計画/普及体制整備、水利用計画/水管理、農家経営/市場調査等)
  • 本邦研修
    畜産振興、畜産技術等 年間4〜5人程度
  • 機材供与
    車輌、事務機器等
  • プロジェクト現地活動費
    研修経費(教材作成費、講師謝金等)、パイロットプロジェクト実施経費、専門家交通費等

相手国側投入:

  • カウンターパートの配置(自治区レベル25名、市・県レベル20名)
  • 施設の手配
  • 研修経費(研修参加者交通費、会場費等)
  • プロジェクト実施運営費
  • その他