プロジェクトニュース_07

2014年5月31日

例年であれば本格的な雨季に入っているこの時期ですが、今年はちょっと雨季の入りが遅いようです。

新政権

コスタリカでは5月8日に大統領の交代式があり、新政権が樹立されました。政権政党は市民行動党(PAC)と言う政党で、国の舵取りをするのは初めての政党です。大統領になられた方はもちろん政治経験がある方なのですが、その他の閣僚は、政治家としての経験がない方もおり、我々のプロジェクトが関係している環境エネルギー省の大臣も、大学の教授、それも生物統計学がご専門の方です。市民行動党は名前が示す通り、市民の政治参加を政治理念の根本としていますので、我々のプロジェクトが目指す、様々な人や機関の参加を促しながら生物多様性を保全していくという考え方と一致しております。先日、副大臣にお会いした時も、当プロジェクトへの高い関心が表明されました。期待にこたえられるよう、専門家、カウンターパート一同、気持ちを新たにしています。

昨年度の成果報告

早いもので、プロジェクト期間の20%、1年間が経ちました。昨年はプロジェクトの体制作りに腐心した1年間でしたが、多少の「成果」と呼べるような活動もありました。
一つは、カウンターパート機関である国家保全地域庁(SINAC)がこれまでに行ってきた市民参加を促す活動、協働型の活動の経験がどれぐらいあるのかを調査したことです。SINACの職員を集めたワークショップ形式による聞き取り調査を行ったのですが、それによると少なくとも行政機関であるSINACが促してきたものとしては、158の参加型事例があるそうです。今後、これらの事例からグッドプラクティスを抽出し、そこからの学びを得、国内外で共有することを目指しています。
もう一つの成果としては、バラ・デル・コロラド野生生物保護区内の土地所有状況の調査があります。現時点でも調査を継続中なのですが、我々が調査した42,899haの中には、1105枚の登記所に登録された図面があることが分かりました。それらの図面をパソコンで一つの図面に落としていくと、多くの重なった図面がある、すなわち、一つの土地に対して、複数の所有者が登録されている土地がいくつもある可能性があることが分かりました。今後、現場の調査によって、現在、誰がどこに住んでいて、その人の土地所有状況が法律に照らし合わせたときにどのような状態にあるのかを調査します。最終的にはこれらの調査を参考に、厳密言えば保護区内には違法に住む住民もいる現状に、どのように対処していけばよいかの指針を示すことを目指しています。
また、今年度は、コスタリカにおけるNGOの活動等に関して調査を行う予定です。

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”バラ・デル・コロラド野生生物保護区内の統合農家”と記された看板
バラ・デル・コロラド野生生物保護区内では、自分の農家内でエネルギーと物質を効率よく循環させて農業を営む“統合農家” と本プロジェクトとが協働で、保護区内のより良い土地利用方法を構築中。看板は再生プラスチック素材で作成されました。