プロジェクトニュース_13

2015年4月1日

地域住民による鳥の観察と調査のための研修

私たちのプロジェクトでは、バラ・デル・コロラド野生生物保護区内にすむ住民の方たちに、身の周りの自然環境により興味を持ってもらうこと、そして、保護区の中で一番時間を費やしている人たちに、野生生物に関するデータを取ってもらうことができれば…と言うことで、住民参加型の自然観察・調査を進めています。

どのようなテーマで自然観察・調査を行うか、カウンターパートと住民で話し合った結果、まずは鳥の観察をしよう…と言うことに決まりました。なぜ鳥か…と言うことに関しては、地域住民の興味に加え、鳥の識別ができるようになると、バードウォッチングのガイド等、収入にもつなげられる可能性があることも一つの要因です。

鳥の観察に必要な技術の一つに、「正確に鳥を識別できる」と言うことがあります。そこで、昨年の12月から、鳥に興味のある住民の方に、鳥の観察についての研修を行っています。研修は、鳥の観察には不可欠である双眼鏡の使い方から、鳥の分類グループごとに種を見分けるための特徴についての説明等を行いました。研修は全て保護区の中で行い、実際に鳥を観察してもらうことも含んでいました。また、カウンターパートが自ら講師になるとともに、鳥観察の愛好会の方々にもコンタクトを取って、ボランティアで外部講師もお願いする形を取るなど、カウンターパートの積極的な姿が印象的でした。

そして今回、普段見慣れている地域以外の鳥を知ることと、また、研修の一つの区切りとして、3月21日、22日に、保護区の外で1泊2日の研修を行いました。

鳥の識別には、姿かたちを知っていることはもちろんですが、鳴き声を聞いただけで何の鳥か分かることも大切です。観察するときには、五感を研ぎ澄まして森を歩く必要があります。保護区に住んでいる人たちは、我々日本人専門家に比べて、とても視力が良いので、いつも先に鳥を見つけて居場所を教えてくれます。しかし、我々が視界にとらえる前に「あっ、飛んで行っちゃった!!」と言うことがしばしば。我々には悔しくて残念な場面がしょっちゅうです。

約4カ月に渡る研修を終え、参加者からは、「私たちが知っている黄色い鳥も、実は全て同じ種ではなく、いくつかの種がいることが分かって、鳥に興味が出た。」、「自分たちの身の回りにはとても貴重な自然環境があることに気付いた」、「これからも鳥の観察を続けていきたい」等の意見が聞かれました。

コスタリカで確認されている鳥の種類の数は、900種程度と言われており、600種あまりであると言われている日本に比べ野鳥の種類数も多く、すべての鳥を学ぶには日本で必要とされる以上の時間が必要だと考えられます。しかし、参加者の方々の熱意は高く、学習速度も速いことが期待されます。まずは身近な鳥から覚えることを目標に、家の周りで100種の鳥を記録してもらうことを宿題として、今回の研修を終えました。

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写真1:見つけた鳥を双眼鏡で観察。慣れないと、双眼鏡の視野に鳥を入れることも難しい。

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写真2:くちばしの黒いオオハシと言う鳥。

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写真3:くちばしがカラフルなオオハシと言う鳥。写真2の鳥と一見似ているが、くちばしの色で種が異なる。このような微妙な差を覚えるのも、鳥の観察の第一歩。

【画像】写真4:研修参加者の集合写真。彼ら、彼女らが中心となり、村で鳥観察の愛好者が増えることが期待されている。