プロジェクトニュース_16

2016年2月22日

リンダ・ビスタ村へようこそ!!

私たちのプロジェクトでは、コスタリカのカリブ海側北東部に位置するバラ・デル・コロラド野生生物保護区と言うところで、参加型の保護区管理を進めています。その中の活動の一つに、少しでも環境に対する負のインパクトを減らすことができる生活の糧を、一緒に考えていく活動があります。
これまでの活動の中心はこの地域の主な産業である牧畜をより循環的なものにするにはどうすればよいかを考え、家畜の糞の利用技術等を紹介してきました。そして、さらにはそのような技術で生産した農作物やチーズ等に「自然に優しい」という付加価値をつけて、経済的も潤うことができるようにする、という途方もない(!)命題に現在チャレンジしています。
さて、そのような活動の中で、リンダ・ビスタと言う村の人たちから、「循環型の農牧業に加え、是非とも村に観光客を呼びたい」という希望が一昨年あたりから出されました。エコツーリズムやルーラルツーリズムは自然環境に配慮した経済活動としての常とう手段です。もちろん、それだけを生活の糧にするには、条件が揃う必要がありますが、「収入手段の多様化」、と言うのも、小規模村落の開発におけるもう一つの常とう手段です。その脈絡から、今行っている牧畜業に加えて、人を迎えることができる環境を整えておくことも重要なことなのかもしれない、という考えで、村に観光客を迎えるための土台作りをお手伝いしてきました。
この度、2年越しの準備が整い、村の人たちが中心となって、関連省庁や旅行会社、地元マスコミなどを招待したお披露目式がありました。
私たちプロジェクト側の人間も招待者なのですが、活動を支援して来た者の立場としては、やはりお客様を迎えると言うのは、ドキドキものです。
招待者は朝6時に首都のサンホセを出て、途中トイレ休憩をした後、9時ごろにリンダ・ビスタ村に到着しました。最初の活動はアナ・カスティージョさんの家で朝食です。メニューはコスタリカの朝食の定番、ガジョ・ピントです。バナナの葉を飾りに使って、ちょっとしたアクセントを加えています。アナさんは料理が好きで、自分の作ったものをお客さんに食べてもらうのが以前からの夢だったと語ります。朝食の後は、バスで10分ほどのマリア・ルイサさんの家へ移動、そこでお披露目式の簡単なイベントを行いました。環境エネルギー省と一緒にプロジェクトの活動を支えてくれている農牧省の方、村の代表者の方、そして、環境エネルギー省の代表の方たちの挨拶がありました。マリア・ルイサさんは「ずっと前からの夢であった村に観光客を迎えると言う活動が、ようやく実現し、本日スタートを迎え、本当にうれしく思う。また、この活動により、村の組織化も進み、村の活動として観光が根付くために、さらなる努力をしていく」という趣旨の言葉がありました。
その後、バスで20分ほど移動し、「美しい港」を意味するプエルト・リンド村からボートに乗って、コロラド川クルーズを楽しみました。中米で一番大きな湖であるニカラグア湖から流れ出すサンフアン川が途中に二つに分かれ、そのうちの一つがこの、コロラド川です。グランドキャニオンで有名な米国のコロラド川と同じ名前ですが、コロラドと言うのはもともとスペイン語で、「色のついた」とか「赤い」という意味ですが、その名の通り、コロラド川の水は赤茶けた色です。川をさかのぼるボートからは、ワニや水鳥が観察でき、自然豊かな流域の様子を伺うことができました。
ボートクルーズが終わると、先ほどのマリア・ルイサさんの家に戻って昼食です。これ
またコスタリカの代表的なお昼の定食である「カサード」です。カサードは、白いご飯、塩味の豆、ウリやカボチャを細かく切ったものの煮つけ、肉料理、そしてサラダなどが一つのお皿に盛られた料理です。この日の肉料理はトリ肉料理でした。また、デザートとして、「アロス・コン・レチェ」も出されました。アロス・コン・レチャも中米の代表的なデザートで、お米を牛乳と砂糖で甘く煮込んだものです。日本人の中には口にあわない人もいますが、この日使われた牛乳は、マリア・ルイサさんの家の乳牛「エルモサ(=美人)」から搾った、搾りたての牛乳を使っています。美味しくないはずがありません。このように、自分たちの活動や商品にストーリーをつけて紹介することも、商品価値を高める大切な技術の一つです。
お昼を食べて少し休憩した後は、いよいよ最後の活動、森の中の散策です。村の人が、ゆっくりゆっくり森の中を歩きながら、森の成り立ちや「アルメンドロ」というもうあまり残っていない木材として貴重な木についての説明をしてくれます。30分ほど薄暗い森の中の道を登り詰めると、突然視界が開け農牧地とその先に広がる平野林の見事なパノラマが開けました。ちょっと汗ばんだ身体に心地よい風が通ります。みんなで記念写真を撮った後、来た道をゆっくり下り、再び朝食を取ったアナ・カスティージョさんの家でお別れのコーヒーを飲んで、お披露目のイベントを終了しました。
首都のサンホセから片道3時間かかる上、道も悪くまた宿泊施設もないなど、観光を発展させていくにはまだまだ課題が山積みです。一方で、コロラド川や森林などの自然資源はたくさんありますし、村人のおもてなしも最高です。また、観光を唯一の収入源と考えておらず、あくまでも生産手段の多様化のための一手段と考えています。そして、何よりも、村を愛する若い人たちも一所懸命に盛り上げようとしていることもあり、今後、この活動を軌道に乗せられるよう、我々プロジェクトも引き続き応援していきたいと思います。皆さんも、是非、コスタリカに来る機会がありましたら、リンダ・ビスタ村を始めとした、バラ・デル・コロラド野生生物保護区の自然と人に親しんでいただければと思います。

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コロラド川クルーズの様子。天気にも恵まれ、多くの野鳥やワニを観察できた。

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薪でつくるアナ・カスティージョさんの料理は、まさにリンダ・ビスタ版おふくろの味!!

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リンダ・ビスタ村へようこそ!! 観光客を受けいれてくれる村のスタッフたち。

【画像】森の散策路の先にある見晴らし台での記念写真。