プロジェクトニュース_22

2017年3月30日

2016年のバラ・デル・コロラド野生生物保護区の参加型野鳥数モニタリング調査(バードカウント)

2016年10月22日(土)に、バラ・デル・コロラド野生生物保護区内で、参加型野鳥数モニタリング調査(バードカウント)が行われました。このイベントは、ACToの参加型モニタリング調査の担当職員が中心となって企画運営し2012年から始まり、2016年で5回目の実施を迎えることができました。毎年地元の人を多数巻き込んで行っている、地元でも評価の高い参加型の活動です。

2016年のバードカウントへの参加者数は、外部参加者と地元の参加者併せて51名でした。2013年にプロジェクトが始まってから実施した参加型環境モニタリング活動の研修(鳥の識別に関する研修)の成果と、通年で行っている参加型モニタリング(MAP)活動の成果により、参加する地元の人の、鳥を探す能力、色や鳴き声などから鑑定する能力が格段に上がっており、たくさんの鳥を確認し、自分の住む場所の多様性を感じているようです。

場所への公共アクセスの困難さからか、バラ・デル・コロラド野生生物保護区のバードカウントは、現地までの送迎や宿泊、食事全てがコーディネートされているため、一般公募による外部からの参加者も多数おりますが、そのほとんどがバーダーと呼ばれる野鳥観察愛好者です。彼らの豊富な野鳥への知識や経験、情熱が、活動を共にする地元の人たちへの良い刺激になっていると感じます。また、彼らがバラ・デル・コロラド野生生物保護区で見聞きしたもの、プロジェクトについて聞いたものを、他地域の国立公園や野生生物保護区等での同様の野鳥観察会に参加した時に、同様の参加者へ宣伝してくれる素晴らしい媒体になるだろうとも感じています。

2016年は、バラ・デル・コロラド野生生物保護区内全域に観察ルートを7か所設け、1グループ5人から8人のメンバーで、ルートごとに観察を行いました。各グループにおいて、決められている最低5地点の観察場所においてそれぞれ10分間の観察を行い、その観察が終わると200メートル離れた次の地点の観察場所に移動し、次地点でも10分間の観察を行うという手法を今年から取り入れました。

私が参加した海岸沿いのルート「Samay」と呼ばれる河口付近は、宿泊したバラ・デル・コロラド生物保護区レンジャーステーションから離れており、最初のポイントまでボートで移動し、そこから海岸沿いを歩いてバードカウントを行いました。

残念ながら、天候は雨という最悪の状態で、全てのルートにおいて、朝から土砂降りの大雨、雷がなっている状態でした。しかしながら、結果は合計で210種類の鳥がカウントされ、2015年の225種(天候は晴れ)、2014年の242種(天候は曇り)から比べるとやや少なくなりましたが、2013年の175種(天候は晴れのち雨)、2012年の135種(天候は雨)と比べると、天候が雨でありながらかなり多くの種が観察されたことがわかります。ここ3年間は観察された野鳥が200種を超えています。天候が同様に雨であった2012年と比べても、記録された種はかなり多く、ここ3年で観察ルートを増やしていることと、参加者の質が上がっていることが功を奏していると感じます。

2016年の野鳥観察会におけるトピックの1つが、私が参加したSamayのルートにおいて、コスタリカではほとんど見ることのできないAmerican Avocetというセイタカシギの仲間を観察し、写真に収めることができたことでした。この種のコスタリカ国内におけるカリブ海側での発見は2002年のトルトゥゲーロ国立公園での報告から実に14年ぶりでした。このような滅多に見ることのできない種の記録があることが、バラ・デル・コロラド野生生物保護区への興味関心を呼ぶ材料の一つになり、エコツーリズムの良い材料になると感じます。そして野鳥観察愛好者を中心とした外部からの参加者と、地元住民が観察会での交流により野鳥観察技術を磨き、農村ツーリズムやエコツーリズムに貢献できるキーパーソンに育っていくのは、継続的な活動へのひとつの道筋になるのではないかと感じました。

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野鳥観察会の様子(雨間に観察する参加者)

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雨を避けて休憩する参加者

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Samayルートで観察されたAmerican Avocet