プロジェクトニュース_23

2017年4月20日

国際会議でイベントを開催

2016年12月4日から17日の間に、メキシコのカンクンで、生物多様性条約第13回締約国会議 が開催されました。この会議ではいわゆる本会議の他にサイドイベントと呼ばれるシンポジウムやセミナーが行われますが、我々のプロジェクトもこのサイドイベントの枠を使って、3つのセミナーを開催しました。

最初のセミナーは「経験の体系化を通したナレッジマネージメントによる生物多様性保全への貢献」と言うタイトルで、SINACが主導した参加型保全活動の体系化(とりまとめ)の結果をカウンターパートが発表し、その後、経験を取りまとめることがどのように生物多様性保全に貢献できるかと言うことを、パネルディスカッションで討議しました。

プロジェクトマネージャーのルイス・ロハス氏が今回のイベントの趣旨と、経験の体系化とはどういうことかについて説明した後、「グアナカステ保全地域における生物教育活動の経験」、「チリポ火山国立公園における地域住民とのエコツーリズム活動の経験」、そして「オスティオナル野生生物保護区におけるウミガメの卵の持続可能な活用と地域開発」という3つの参加型の活動を紹介しました。

その後、「経験の体系化はどの様に生物多様性保全への貢献をしているのか?」というテーマでパネルディスカッションを行いました。その結果、経験の体系化を行い、経験を文書として残すことにより、経験を通して得た教訓が個人のものから組織のものとなる、行政監察等のコントロールが行われる際に説得力のある説明ができる等、行政組織の能力向上と言う視点での貢献、また、「行政が行っている生物多様性保全活動を地域住民に説明しやすくなる」、「生物多様性が地域住民にどのような恩恵をもたらしているのかが、具体的に説明しやすくなる」、「それにより地域住民が生物多様性保全活動を行うようになる」など、説明責任を通して地域住民が生物多様性保全活動に加わるようになることが上げられました。

また、来場者からは、「ウミガメ卵の利用について、どのように衛生管理をしているのか」、「チリポ火山国立公園におけるガイド等の許可を、外部者ではなく地域住民団体が取れるようにするにはどうしたのか?」といった質問や意見が出ました。
他の2つのセミナーは、CEPA(Communication, Education and Public Awareness)という生物多様性に関する社会の意識向上を促すイニシアティブが行っているサイドイベント内で、プロジェクト活動の発表を行いました。一つは、保全地域システム庁と教育省が協同で行った環境教育に関するプレゼンテーション、もう一つは、カメラ・トラップを使った参加型生物モニタリングに関しての発表でした。

環境教育に関するプレゼンテーションでは、ニコヤ半島とバラ・デル・コロラド野生生物保護区における活動紹介を行い、会場からは、「JICAの投入に対してコスタリカ側はどのような対応をしているのか」と言った質問が出ました。それに対してコスタリカ側からは「研修に参加した教師が責任をもって、各学校で環境教育を実践している」との回答がなされました。

また、カメラ・トラップを使った参加型生物モニタリングに関する発表では、活動の概要説明、3つの保全地域における活動事例発表、そして、「地域住民の参加は生物モニタリングにおいてどの程度有効か?」というテーマでパネルディスカッションを行いました。パネル・ディスカッションでは、「科学的面での有効性を高めるには、調査方法、経験を積むための持続性等の条件を整える必要がある」、「調査に参加することにより住民の意識が高まるため、調査はもとより、保全活動という視点からも大変有効である」、「有効と言うことだけでなく、必要なことである」、「地域住民を調査活動に巻き込むことによって、地域経済開発への貢献が可能である」等の幅広い意見がきかれました。

今回は、三つのイベントを開催したと言うことで、カウンターパートの参加も10名と大規模なものでしたが、多くのカウンターパートはこのような国際会議の場に居合わせた経験が無く、我々の直接的な活動以外にも、「生物多様性に関する政治が国際場裏でどの様に動いて行くのかを知る良い機会となった」等、大変有意義な会議への参加であったとの意見を聞くことができました。

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COP13会場内に設置されたコスタリカの展示ブースにて、コスタリカカウンターパートと。

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条約加盟国の国旗が並ぶ中で、コスタリカの国旗を見つけて記念撮影。

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経験のとりまとめに関したサイドイベントのパネルディスカッションにおいてパネラーを務めたカウンターパート達。

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サイドイベントの会場の様子。スペイン語圏であるメキシコで行われたことにより、スペイン語圏のコスタリカのサイドイベントには多くの人が訪れた。