プロジェクト活動

1.事業概要

(1)事業目的(協力プログラムにおける位置づけを含む)

本事業は、アボボコミューン及びヨプゴンコミューンにおいて、公平性や透明性を確保した計画策定、包括性に配慮した公共事業の実施管理・住民参加を含めた施設の維持管理に関する手法を確立・定着させることにより社会統合の促進に寄与するものである。

(2)プロジェクトサイト/対象地域名

アボボ市役所及びヨプゴン市役所

(3)本事業の受益者(ターゲットグループ)

アボボ市役所及びヨプゴン市役所職員、公共サービス事業に参画するアボボコミューン住民及びヨプゴンコミューン住民

(4)事業スケジュール(協力期間)

2017年10月31日から2021年6月30日

(5)総事業費(日本側)

6.0億円(暫定)

(6)相手国側実施機関

内務・治安省分権化・地方開発総局、アボボ市役所、ヨプゴン市役所

(7)投入(インプット)

1)日本側

  1. 専門家派遣:総括、コミュニティ開発、社会調査、地方行政、積算/調達管理/施設維持管理/インフラデータベース、業務調整・コミュニケーション・研修等
  2. 国内研修
  3. 現地リソースを活用した社会調査
  4. 供与機材等

2)コートジボワール国側

  • プロジェクト・ダイレクター:内務・治安省分権化・地方開発総局長
  • プロジェクト・コーディネーター:内務・治安省地方開発局長
  • アボボ市役所技術局長、社会文化事業・人間促進局長、コミュニケーション局長
  • ヨプゴン市役所技術局長、人間開発局長、コミュニケーション局長

(8)環境社会配慮・貧困削減・社会開発

1)環境に対する影響/用地取得・住民移転

  1. カテゴリ分類(A,B,Cを記載):C
  2. カテゴリ分類の根拠;

本事業は「国際協力機構環境社会配慮ガイドライン」(2010年4月公布)に掲げる影響を及ぼしやすいセクター・特性および影響を受けやすい地域に該当しないため。

2)ジェンダー平等推進・平和構築・貧困削減

ジェンダー平等推進に関しては、パイロット事業実施前に、コミュニティ毎の民族構成や既存の住民組織を把握したうえで、女性グループの代表性を確保した住民組織を構成し活動を行うように配慮する。平和構築・貧困削減については、社会統合の弊害となっている行政サービス提供能力の強化や、住民間の関係強化、若年層への配慮等を配慮しながら、プロジェクト運営を実施する。

(9)関連する援助活動

1)我が国の援助活動

【技術協力プロジェクト】

  • 大アビジャン圏社会的統合促進のためのコミュニティ緊急支援プロジェクト(技協)(2013年7月~2016年6月)
  • 中部・北部紛争影響地域の公共サービス改善のための人材育成プロジェクト(技協)(2013年11月~2017年4月)

2)他ドナー等の援助活動

プロジェクト概要 「背景(4)他の援助機関の対応」のとおり。

2.協力の枠組み

(1)協力概要

1)上位目標と指標(暫定)

上位目標:対象地域における社会統合及び調和が促進される。
指標1:対象コミューンにおいて市役所が継続的にCOSAYメソッドを活用する。
指標2:対象コミューンにおいて、住民間及びコミュニティ間の協働活動・交流の数及び種類が増加する。
指標3:対象コミューンにおいて、住民が「住民間の関係がよくなった」と感じる。
指標4:対象コミューンにおいて、住民が「安心して生活できる」と感じる住民が増加する。
指標5:対象コミューンにおいて、住民が「市役所が実施する公共サービスに満足している」と感じる。
指標6:対象コミューンにおいて、住民が「市役所が社会統合及び公平性を考慮した公共事業を実施している」と考える。

2)プロジェクト目標と指標(暫定)

対象地域において社会統合に配慮した公共サービス提供の手法が定着する。
指標1:対象コミューンにおいて各市役所がCOSAYメソッドを使って年2件以上プロジェクトを実施する。
指標2:パイロット事業地において、住民間及びコミュニティ間の協働活動・交流の数及び種類が増加する。
指標3:パイロット事業地において、住民が「住民間の関係がよくなった」と感じる。
指標4:パイロット事業地において、住民が「市役所が実施する公共サービスに満足している」と感じる。
指標5:パイロット事業地において、住民が「市役所が社会統合及び公平性を考慮した公共事業を実施している」と考える。

3)成果

成果1:対象地域において社会統合に関する情報が整備される。
成果2:対象地域において社会統合促進のための手法が確立される。

3.前提条件・外部条件

(1)前提条件

  • 対象コミューンにおいて治安状態がプロジェクト活動を阻害するほどに悪化しない。
  • 市役所及び対象地域の住民からプロジェクトへの理解と協力が得られる。

(2)外部条件(リスクコントロール)

  • コートジボワールにおいて、社会的統合促進を阻害する事象が発生しない
  • 対象コミューンの社会政治状況が悪化しない。

4.評価結果

本事業は、コートジボワール国の開発政策、開発ニーズ、日本の援助政策と十分に合致している。また、基礎調査でのフォーカル・グループディスカッション、詳細計画策定調査での関係者との協議を通じて計画の適切性が認められることから、実施の意義は高い。

5.過去の類似案件の教訓と本事業への活用

(1)類似案件の評価結果

先行案件である「大アビジャン圏社会的統合促進のためのコミュニティ緊急支援プロジェクト」は、コートジボワール国内務省地方分権化総局、アボボ・ヨプゴン市役所と共に、アボボ・ヨプゴンコミューンを対象に、インフラ整備事業を通じた住民間の関係修復・社会統合を促進させる手法を提案・試行し、その成果をハンドブックに取りまとめた。
しかしCOSAYフェーズ1の終了時評価では、パイロット対象地域は各コミューンの人口比に対して限定的であることから、より広範囲に社会統合を促進させるためには、COSAYフェーズ1で構築したプロセスや仕組みを、各コミューンの状況に適応した形で活用することが提言された。

1)本事業への教訓

(ア)COSAYメソッドの強化に向けた支援

COSAYフェーズ2では、包摂性や公平性に配慮したCOSAYメソッド を公共サービスの計画・実施段階に定着させることで社会統合の促進を目指すこととする。COSAYフェーズ1からの教訓を踏まえて、1)社会統合にかかる理解促進、2) 住民のニーズに基づいた計画策定プロセスの強化、3)より広い住民代表を確保した住民組織の形成、4)広報活動の強化、を通じてメソッドの強化を目指す。社会調査については、現地事情に精通する専門機関の知見の活用も検討する。

(イ)3か年計画へのCOSAYメソッド適応に向けた支援

前述の通り、2通りのパイロット事業(1)市役所予算の3か年計画、2)JICA予算)にCOSAYメソッドを適応させることで広範囲での社会統合の促進を目指す。市役所の3か年開発計画予算にCOSAYメソッドの定着を支援することで一層の持続性を担保する。

6.今後の評価計画

(1)今後の評価に用いる主な指標

協力概要のとおり。

(2)今後の評価計画

事業開始直後 社会調査
事業開始6か月後 B/L調査
活動終了4か月前 E/L調査
事業終了3年後 事後評価

(3)実施中モニタリング計画

事業開始6か月毎 モニタリングシート及びJCC時に相手国実施機関との合同レビュー