第一回本邦研修の開始

2017年10月19日

2017年8月

2017年8月16日からキューバ国立穀物研究所の15名の参加の下、本邦研修を開始しました。研修では、日本の農業普及システムに関する知識の獲得を目的に、行政や研究、教育機関などの支援者、農業協同組合や生産法人、農家など生産者の協力を得て、講義や討議、視察訪問を行います。

15名の参加者のうち約半数は今回が初めての海外です。加えて、ロシア経由の30時間超の長い旅、キューバと日本の14時間の時差もあり、到着後は疲れが残る参加者でしたが、一週間もすると元気を取り戻し、ラテン人本来の明るさで研修、研修外活動の双方で積極的になりました。

米国の経済制裁下にあるキューバでは、市場に流れる商品が非常に限られています。他方、日本は物に溢れており、普通のコンビニエンス・ストア一軒でもキューバの大型スーパーを圧倒する数の商品が並んでいます。日本のみならず多くの国で極当たり前であるカップラーメンやドレッシングを初めて目にする参加者もいるほどです。

市場同様に農業の状況も大きく異なります。キューバの農業は国営企業を中核とし、農家当たり数十ヘクタールの大規模な耕地を大型機械で管理するのが一般的。近年は食料の輸入依存からの脱却のため政府が打ち出した未利用国有地の無償貸出などの優遇措置により新規就農者が増加しています。一方、日本の農業は、小規模集約的、増加する輸入農産物との競争激化、農家の高齢化と若年層担い手不足など様々な問題に直面しています。

市場、農業、もちろん文化も大きく異なる日本はキューバ人にどのように映るのか、そして異なる環境下の知識や経験をどう学び、自国の農業普及強化に活かすのか、非常に興味深いところです。研修はこれから本格化し、9月末まで続きます。次回は講義や訪問、様々な場面をお知らせします。(農業普及システム(普及実施促進):吉野倫典)

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成田空港に到着した研修参加者
出典:キューバ国基礎穀物のための農業普及システム強化プロジェクト・チーム