潜在的普及員に対する研修の実施(Sancti Spiritus県)

2019年6月25日

2019年3月

SEGRANOSでは、基礎穀物の生産を取り組む様々なステークホルダーと連携しながら、農業普及の実施体制を確立・強化を目指しています。特にキューバの穀物生産において重要なのは穀物公社の存在です。キューバでは個人農家は日本でいう農協のような組合に所属し、その組合が穀物公社と生産契約を結んで、生産から販売を行います。穀物公社は約40社あり、これらの公社と生産契約を結んでいる生産組合は約300にものぼります。また、それぞれの公社には技術担当者がおり、生産計画のモニタリングや管理を行っています。SEGRANOSではこうした公社の技術担当者を潜在普及員と捉え、生産管理だけでなく、技術指導を行っていける存在として育てられるような、人材育成を進めています。

そのための試みとして、2019年3月19日~3日間、Sancti Spiritus県の穀物公社を対象に、第一回潜在的普及員に対する研修を実施しました。この研修には穀物公社の技術部員や、地区コーディネーター、また農業組合の代表者など、計25名の潜在的普及員が参加しました。この地域はコメを中心に栽培していることから、研修プログラムは、コメの品種や種子の品質のほか、水田雑草の管理・除去についてや、コメの代替作物、有機肥料など、事前に確認した参加者のニーズにもとづいて構成したものとなりました。研修の2日目以降は、冒頭に前日の講義の復習を行うことで、参加者の理解の促進を狙いました。また、最終日には参加者が自らの取組みについて発表し、潜在的普及員同士における情報共有や意見交換を行う良い機会となりました。穀物公社技術部長のリーダーシップもあり、参加者の集中度合いも高く、初回研修としては全体的に満足のいくものとなりました。

今回の研修は、穀物研究所(IIGranos)地域試験場(ETIG)主催、穀物公社協賛で実施し、日本人専門家を含むIIGranos本部は側面支援に徹する形での実施を試みました。これには本部C/Pの自立を促すこと、また、現段階では何かと本部の指示待ちになりがちな傾向にあるETIGの主体性や自覚を促す狙いがありました。準備段階では少し不安も見られましたが、好評に終えられたことで、皆の自信に繋がっている様子が伺えます。IIGranos本部の人員は限られていることから、今後このように、一人一人が責任をもって自立的に活動を展開できるようになることを目指していきます。
(総括/農業普及システム(企画・管理):大形いずみ)

【画像】

コメの品種の特徴、条件に応じた適正品種の講義を行うETIG Sur de Jibaroの研究員
出典:キューバ国基礎穀物のための農業普及システム強化プロジェクト・チーム

【画像】

3日間の研修参加者及び講師
出典:キューバ国基礎穀物のための農業普及システム強化プロジェクト・チーム