祝!コンゴセントラル州保健人材データベース完成

2016年1月28日

2015年2月、プロジェクトとコンゴセントラル州医務局、コンゴ民保健省が力を合わせて始めた保健人材データベースの作成作業が、5ヶ月のフィールドワーク、2ヶ月のフォローアップ期間を経て、このほど完成しました(おめでとう!!)。

これまでも皆様にお伝えしておりますが、コンゴ民主共和国では保健人材の偏在や正式な任命を受けていない人材が勤務しているなど、様々な問題が指摘されていましたが、一方でそれらの明確な根拠がなく、具体的な政策を打ち出すことが難しい状況が続いていました。

そこで、プロジェクトではこの問題を解決し、説得力のある保健人材計画を打ち出すために、コンゴ民国内の26州の先陣を切って「保健人材データベース」の作成に乗り出しました。

2015年5月15日付けのニュースレターでは、プロジェクトの石嶋専門家がコンゴセントラル州(旧バコンゴ州)のあちこちを巡りながら、データベース作成作業を支援していることをお知らせしましたが、過酷な作業もついに終わりました。

フィールドで集められたデータベースを集計し、コンゴセントラル州医務局が中心となってその結果を報告書にまとめたところ、次のような驚くべき結果がわかってきました。
1)80%以上の職員が正式な配属手続きを経ずに配置されている
2)約3分の1の職員が給料を受けていない
3)WHOの基準から算出される必要な保健人材数で、看護師がかなり過剰となっている反面、助産師などの医療人材が不足している

今回、州内の保健人材の実態がわかってきたことで、コンゴセントラル州保健人材委員会では州内30の保健区での人材配置を、具体的に検討し始めました。人材の適正配置によって、人的資源の有効活用や今後の人材育成計画にもとても役立つと期待されています。

一方で、この活動は他の州にも大きな反響を呼んでいて、これまでにカサイセントラル州やマニエマ州などでも保健人材データベースが作成されています。また、プロジェクトでも2015年12月からは、コンゴ最南部のオーカタンガ州でのデータベース作成のための準備が始まったところです。石嶋専門家は西部から南部へ大きく移動していきました(…がんばってぇ〜!)。

なお、このデータベースはコンゴ民保健省のデータベースに統合され、国家保健人材政策の策定や実施などにも活用されます。

プロジェクトでは、これまでのコンゴセントラル州での活動とこれらの集計結果から見えてきた実態を、2015年11月に開催された日本国際保健医療学会で添付のポスターを使って発表しました。

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コンゴセントラル州医務局にて、人材データベースの作成を一通り終了して、データの統合・集計などについて協議中

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データベース集計中。職種や公務員格付け、正規手続きで配置されていないなど、多くの問題がわかってきました

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2015年10月の保健人材委員会にてデータベース集計結果の報告