保健人材養成校機能強化のためのスーパービジョン実施

2016年11月25日

コンゴ民における看護師や助産師、検査技師などを養成する学校は、大きく分けて2つのタイプから成ります。保健省が管理監督する中級保健人材養成校と高等教育省が管理監督する上級保健人材養成校です。プロジェクトでは、中級保健人材養成の中の助産教育にフォーカスし、これまでに先生向けの教育教材の作成支援を行ってきました。助産教育の国家標準が確立されていないコンゴ民では、各先生の裁量によって授業が行われ、必須科目や時間など学校によってカリキュラムはバラバラです。これでは一定レベルの知識を持った人材が養成されず、ゆくゆくは医療の質の低下につながります。このような現状の課題を解決するため、保健省では国際基準にならった新教育プログラムを導入し、保健人材としての知識・経験を身に付けてもらい、使命感を持った人材を養成すべく、2012年から全国16のパイロット校でその教育方法を実践しています。

この新教育プログラムの導入から4年が経ち、今年はその第1期卒業生が輩出される年にあたる事から、パイロット校のモニタリングと機能強化のためのスーパービジョを実施しました。プロジェクトの支援で作成された教育教材が有効に活用されているか、授業計画は適正か、生徒に必須科目をきちんと教授できているのかなどを調査するため、保健省職員が全国へスーパーバイズの旅に出ました。

そこで明らかになったことは…

カリキュラムは存在するものの計画通りに授業が進んでいない。教育教材や実習に必要な機材が不足している。新・旧の教育教材が混在しており、旧式のものを現在も使用している。ある学校では、新プログラムが導入されたにもかかわらず旧プログラムのまま授業が行われている。新教育プログラムというものを理解していないなどいうことが明らかになりました。また、助産学科の生徒数は多いとは言えず、いかにして生徒数を増やしていくかなど多岐にわたる課題が保健省基礎教育局内で共有されました。今回の結果を受け、どのような改善策を保健省が打ち出していくのか、プロジェクトは引き続きフォローを行っていきます。

さて、毎年全国で保健人材養成校の卒業試験が行われています。新教育プログラムを導入している保健人材養成校のうち、3校が4年間の課程を終えた学生を輩出しました。この学生達も卒業試験に臨みました。その試験の合格率は何と100%!!これは学生たちの努力の賜物だと思いますが、プロジェクトの支援で作成された教育教材が少しは貢献しているものと信じたいです。そして来年の結果はいかに!?こうご期待。

(コンゴ民中級保健人材養成校477校、そのうち助産学科のある養成校36校、そのうち新プログラム導入校16校 2016年11月調べ)

【画像】

スーパーバイザーによる実習指導(白衣を着用していない2名が保健省スーパーバイザー)

【画像】

プロジェクトが作成支援した助産教育教材の使用状況確認−助産学科学生は毎日この教材を持ち歩いています−

【画像】

学生の宿舎

【画像】

実習指導者とスーパーバイザーとの協議

【画像】

助産学科の学内実習の様子−スーパーバイザーによる実習評価の指導−

【画像】

助産学科学生の臨地実習の様子−新生児に対する蘇生処置に奮闘している−

【画像】

助産学科教員とスーパーバイザーとの協議