データベース大活躍!(Kongo Central州保健人材データベースを活用した取り組み)

2016年11月28日

皆様、ご無沙汰しておりました。久しぶりにPADRHS地方活動の情報です。

2015年にKongo Central州(旧Bas Congo州)で、コンゴ民主共和国で初となる保健人材データベースが作成されたことは、既にご報告の通りです。このデータベースが作成されたことで、保健人材の配置が地方や都市部で大きく異なること、医療行政官や看護師などの職種がとても多いのに、助産師や臨床検査技師は極端に少ないこと、公務員としての任命や配置の手続きが正しく行われていないこと、給与や手当がきちんと支払われていないこと等々、具体的なデータから抱える問題がはっきりとしてきました。

保健人材に関する各種課題に取り組むKongo Central州医務局の医療資源課では、2015年のデータベース作成作業を開始して間もなく、こういった問題が具体的に急浮上してきたため、直ちに州保健大臣や州知事に報告をしました。
特に、人材の任命や正式な配置については、州知事だけがその権限を持っているというのに、地方の権力者、有力者などが勝手に職員を任命・配置しているという状況が明らかになりました。そこで、データベース作成開始からわずか2ヶ月というスピードで、勝手な任命や配置を禁止する州知事令が出され、人材配置に関する無秩序な動きにストップがかかりました。

データベース完成後、本格的にこれを活用しながら、以下のような取り組みが開始されています。

1)給与及び手当の未払いリストを作成し、公務員省や中央保健省に改善の申し入れを行う
2)公務員番号の未登録者や正式任命書の未発行のリストが作成され州政府に共有され、このうち徐々にではあるが、正式任命書の発行や公務員番号の発行などが開始されるようになった
3)州保健行政改編に伴い、旧体制下で勤務していた職員が再配置された
4)州内31の保健郡区や、その傘下の郡病院、保健センターなどの人材配置状況が、データベースと人員配置基準に照らされて、具体的かつ詳細に見直された

要するに、どこにどんな職種の人材が、どれだけいて、どんな状況で勤務しているのかがデータベースによってわかってきたことで、人材の偏りの解消、勤務環境や待遇の改善に向けた動きが大きな波を起こすことに成功しました。データベース作成をお手伝いしてきた我々としても、使い倒すくらい活用してもらえて、うれしい限りです。

もちろん、どの課題も、州医務局だけで解決できるようなものではありませんし、一朝一夕で解決できるようなたやすいことはありません。中央政府や州政府、関係する省庁や機関、団体との粘り強い努力が必要になります。保健人材開発の活動は本格的に始まりました。

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Kongo Central州保健人材委員会の様子。データベース完成の前後からプロジェクトの介入で活性化され、ほぼ毎月開催されるようになりました。これまでは、根拠に乏しい議論でしたが、データベースの完成によってより具体的な話し合いができるようになりました。

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完成したデータベースのデータを基に、各医療施設での職種ごとの人材の過不足状況を細かくまとめた報告書。

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この報告書の中身はこんな感じ。横に職種、縦に各医療施設。データベースからこんなに細かく状況を解析してくれるなんて、うれしい限りです。ただ、ものすごく細かいので、虫眼鏡が必要?

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こちらの表は、2016年版人材年鑑のためにアップデートされた人材データ。やはり、看護師(Infirmiers)は突出していますね。一方で、助産師などの人材は極端に少ない状況には、大きな変化はありません。時間をかけて取り組まなければならない課題です。

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そして完成した2016年版のKongo Central州保健人材年鑑。保健人材開発の取り組みは始まったばかりで、昨年からの改善状況はわずかですが、改善に向けた波が起きていることは確かです。