ミッション完了!−Haut Katanga州保健人材データベース−

2016年12月2日

今年の2月から開始したHaut Katanga州での保健人材データベース作成作業が、8月に完了しました(ご連絡遅くなりました)。

コンゴ民主共和国の最も南西の州でこの活動を開始した時に、
難1 電気がない(→データベースを立ち上げられない)
難2 道なき道の果てまで行く(→どうやって行くんだ?)
難3 雨が降ったら、行けません(→乾季を狙って行くしかない)
難4 まだ反政府ゲリラに支配されている地域がある、山賊が出る(→危ない!)
とお知らせしたとおり、様々な困難を前に途方に暮れることもありました。以前にもご紹介したとおり、この州は本当に巨大(132,425平方キロメートル)で、関西から九州までの西日本(120,309平方キロメートル)がすっぽり入るほどの広さがあるのに、道路がほとんど整備されいないので、人材登録の拠点となる郡保健事務所にたどり着くだけでも大変な行程です。あまりの悪路で腰を強打、負傷者が出たりして一時はどうなることかと思いました。

その一方で、そんな道なき道の果てにも、保健スタッフが働いているのには感動を覚えます。そんな彼らが、何時間もかけて郡保健事務所に人材登録にやってきてくれるのですから、我々も気合いを入れて取り組まなければなりません。ある時は、別働隊を編成して、郡保健事務所での登録作業と並行する形で、コミュニティレベルの保健所まで出張して作業を行ったりもしました。このレベルになると、頑強な4輪駆動車では入っていけないので、パソコンを背中に抱えて、オフロードバイクで奥地を目指すことになります。

これほどまでにして作り上げたデータベースですが、やはりこの広大な面積とアクセスの困難さは如何ともしがたく、州内の全ての保健スタッフの人材登録が完了したかどうか、精度の点からは改良の余地がありそうです。

人材データベースは作ったらそれで終わりというわけではなく、定期的な更新を通じて徐々にその精度を高めてゆくのが自然なやり方です。ですので、今後はデータベースからわかってくる様々な課題への取り組みと併せて、データのアップデートの仕組みを作ってゆく必要があります。

現在はデータベースから読み取れるHaut Katanga州での保健人材の実態を解析しながら、報告書の形でまとめているところです。主要な点をご紹介しますと…
・看護師、一般事務職などが大きく過剰となっているのに対して、助産師、理学療法士などがほとんどいない
・全体の6%もの人材が退職対象年齢以上
・給与や各種手当てを受けていないスタッフが半数以上に昇る
・任命権者ではない者による人材の任命が行われている
・正式な公務員登録を受けてない者が半数以上存在する…

これらの問題は、昨年データベースを作成したKongo Central州とほぼ同様です。実は、このような問題については、皆が気付いていたことなのですが、具体的な数字で示されることはありませんでした。
ですので、今後はこの数字を基に、より説得力のある人材政策を進めてゆくことが期待されています。

なお、これらの概要を基にして、プロジェクトではHaut Katanga医務局と協働で、2016年度日本保健医療学会でのポスター発表を行いました。

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道なき道

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作業開始

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書類確認

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待つ人々

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進捗確認

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人材登録

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待つ人々

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人材登録

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登録内容確認

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夕方まで続く作業