プロジェクト名
(和)東ティモール国立大学工学部能力向上プロジェクト
(英)Capacity Development of the Faculty of Engineering, Science and Technology, the National University of Timor-Lorosa'e
対象国名
東ティモール
プロジェクトサイト
ディリ県ヘラ準県
署名日(実施合意)
2011年1月31日
協力期間
2011年2月1日から2016年3月31日
相手国機関名
(和)教育省
(英)Ministry of Education
日本側協力機関名
長岡技術科学大学、山口大学、岐阜大学
背景
2000年11月に開校した国の唯一の公的高等教育機関である東ティモール大学は、国造りを担うべき技術系人材の育成の観点からインドネシア時代の旧東ティモール・ポリテクニックを母体とした工学部を設置したが、教官が指導に十分な知識を有していないことや、独立に伴う1999年8月の直接投票後の混乱によって教育機関施設を含む物的インフラの7割以上が破壊されて使用不可能であることから、教育の質が著しく低く、これまでに無償資金による機材供与や技術協力による専門家派遣、教官の長期研修(国費留学)等の支援が行われた。さらに2006年4月から2010年3月には、同大学工学部の強化に不可欠な教官の能力向上を目的とした「東ティモール大学工学部支援プロジェクト」を実施し、工学部教官の知識・技能の習得、修士号の取得を促した。
他方で、東ティモール大学工学部は教育の質の向上を目指して現行の3年制学士プログラムから4年制学士プログラムへの移行を計画しており、学部・学科の組織としての管理運営体制の強化と、東ティモールの地域社会に貢献する実践的な調査研究活動に基づく更なる教育能力の強化が確認されている。
また、2010年の国家優先課題(National Priorities)や現在策定中の戦略的開発計画(Strategic Development Plan)において、人材開発はインフラ整備と並ぶ重点課題として位置づけられているように、特に高等教育分野では市場ニーズに対応した高度技術者の育成のニーズは高く、東ティモール大学は、国のリーダーとなりうる人材育成の拠点として当該国の経済社会の発展に貢献することが期待されている。
このような状況下、東ティモール政府は引き続き我が国に対してUNTL工学部への支援を要請した。
目標
上位目標:
工学部から地域社会に貢献する高度技術を有する人材が輩出される。
プロジェクト目標:
工学部が適切な管理運営のもとで質の高い教育を提供する。
成果
- 工学部における授業(講義・実験)の実施環境が改善する。
- 実践的な調査・研究活動に基づいて卒業研究指導が行われる。
- 学部の管理体制が改善される。
活動
- 0-0
- 工学部がプロジェクトの進捗を把握するためのベースライン調査を行う。
- 1-1
- 工学部3学科が全国標準カリキュラムに沿った4年制学士プログラムのカリキュラムを作成する。
- 1-2
- 工学部が4年制学士プログラムの実施に向けて適切な教官の配置を行う。
- 1-3
- 教官が4年制学士プログラムのカリキュラムに沿ったシラバス、教材等を作成する。
- 1-4
- 教官が新たに導入されたプログラムに基づき、適切な指導方法を習得する。
- 1-5
- 教育能力向上委員会(Faculty Development Committee)がカリキュラム、シラバスの内容を 定期的にレビューする。
- 1-6
- 教官が教育能力向上委員会の指揮下で授業評価を実施する。
- 2-1
- 教官が地域の調査・研究ニーズを把握する。
- 2-2
- 教官が実践的な調査・研究活動を実施するための研究計画書を作成する。
- 2-3
- 教官(学生)が実践的な調査・研究活動を実施する。
- 2-4
- 教官が実践的な調査・研究活動の経験を広く共有する。
- 2-5
- 教官(学部)が学生に指導をするための調査・研究実施方法を確立する。
- 2-6
- 学部で学生に対する卒業研究指導が行われる。
- 2-7
- 教官が学生による卒業研究発表を通じて適切に審査を行う。
- 2-8
- 各学科が卒業研究の成果を対外向けに公表できるようまとめる。
- 3-1
- 工学部が学則に基づき、教育・指導体制改善のための学術委員会を組織する。
- 3-2
- 工学部が学則に基づき、学部の管理体制改善のための検討委員会を組織する。
- 3-3
- 学部管理の検討委員会が工学部内の管理体制改善に向けた年間活動計画を設定する。
- 3-4
- 工学部が活動計画に基づき、教職員の管理能力強化を行う。
- 3-5
- 学部管理検討委員会は学部(学科)内の管理状況を定期的にレビューする。
投入
日本側投入:
- 長期専門家:
総括1名(30MM程度)、業務調整1名(48MM程度)
- 短期:
機械工学、土木工学、電気・電子工学(各学科、年間0.6MM程度)
- 学部運営(年間1MM程度)、第三国専門家(各学科、年間1MM程度)
- 本邦研修:機械工学、土木工学、電気・電子工学(各学科、年間4MM程度)
- 現地でのプロジェクト活動に必要な費用の負担
相手国側投入:
- カウンターパートの配置(学部長、教官、事務職員)
- 専門家の事務室、什器等の提供
- プロジェクト実施に関する諸経費等の負担