プロジェクト概要

プロジェクト名

(和)国産米の生産強化による農家世帯所得向上プロジェクト
(英)Project for Increasing Farmers Households' Income through Strengthening Domestic Rice Production in Timor-Leste

対象国名

東ティモール

署名日(実施合意)

2016年5月25日

プロジェクトサイト

各成果におけるプロジェクトサイトは以下の通り。
成果1:ボボナロ県マリアナI灌漑スキーム(1,050ヘクタール、受益農家1,467戸)、バウカウ県ブルト灌漑スキーム(780ヘクタール、受益農家600戸)及びその周辺地域
成果2:ボボナロ県マリアナI灌漑スキーム(1,050ヘクタール、受益農家1,467戸)及びバウカウ県ブルト灌漑スキーム(1,050ヘクタール、受益農家1,467戸)
成果3:ディリ県、ボボナロ県及びバウカウ県
成果4:コメ備蓄倉庫(ディリ県、リキサ県)

協力期間

2016年9月12日から2021年9月11日

相手国機関名

(和)農業水産省、商工環境省
(英)Ministry of Agriculture and Fisheries / Ministry of Commerce, Industry and Environment

背景

(1)当該国における農業セクターの開発実績(現状)と課題
東ティモール民主共和国(以下、「東ティモール」という。)において、農業分野は石油を除いた輸出額の約80%を占め、就業人口の約65%が従事する重要な基幹産業である(State Budget 2016, Budget Overview Book 1)。現在GDPの約80%を占める石油や天然ガス等の天然資源は、早ければ2021年頃には枯渇する可能性があるとされており、資源産業に過度に依存する東ティモールにおいては、農業を基盤とした産業の育成を進めていくことが重要な課題である。
こうした中、東ティモール政府は、2030年までの国づくりの基本となる「戦略的開発計画(Strategic Development Plan 2011-2030:SDP、2011年)を策定し、農業セクターを重点開発分野の一つと位置付けている。同計画では、開発目標として営農技術の向上や食料生産の増加、主食であるコメの自給率向上等を掲げ、2020年までの食料自給達成を目標としている。しかしながら、2013年におけるコメの自給率は約35%であり、国内のコメ消費量の約65%を輸入米が占めている。輸入米の流入量は年々増加を続けており、食料自給率向上に向けたコメの生産増加が急務となっている。
しかし、コメ増産を目指す上で、コメ生産農家の営農意欲低下が大きな課題となっている。コメ生産による現金収入が極めて少ないことから、農家は営農技術の改善に積極的な意義を見出せず、粗放的栽培が改善されない現状にある。更に、既存農家の耕作放棄や若年層の都市流出も進行しており、国内のコメの作付面積は2008年(46,000ヘクタール)をピークにその後減少を続けている。
コメ生産による現金収入の低迷の原因として、極めて低いコメの生産性(3.35トン/ヘクタール)及びコメ販売経路の未整備が指摘されている。すなわち、1)投入資材(優良種子、肥料等)や栽培技術の不足、2)灌漑施設の不適切な管理による取水不足、3)国産米市場販売流通網の未整備、4)政府による国産米買い取り制度の運用能力の不足が課題となっており、かかる状況がコメの生産性低下/低迷、国産米の流通停滞をまねき、コメ生産による農家所得低迷の原因となっている。東ティモールの食料自給向上のためには、コメの生産・加工・流通・販売のプロセスを一貫して機能させ、コメ生産を通じた農民の適切な収入を実現することにより、農家のコメ生産に対する意欲を向上させていくことが必要である。
上記に鑑み、本事業では、同国の農業全般を担う農業水産省(Ministry of Agriculture and Fisheries:以下、「MAF」という。)と国産米の買い取り制度を実施する商工環境省(Ministry of Commerce, Industry and Environment:以下、「MCIE」という。)を対象に、1)選定地域コメ生産農家の営農技術の改善、2)灌漑施設維持管理能力の強化、3)国産米流通・販売モデルの構築、4)政府による国産米買い取り/配布システムの改善に取り組み、コメのバリューチェーンの改善を通して、コメ生産による農家世帯所得の向上を図る。

(2)当該国における農業セクターの開発政策と本事業の位置づけ
東ティモールは、第6次立憲政府プログラム(2015年〜2017年)の農業部門における方針においてアグリビジネスの創生を掲げており、本事業における国産米の生産商業化推進は、同プログラムに記載される「アグリビジネスの強化(ビジネス研修・市場調査・市場戦略開発・技術支援/指導)」に合致している。
またSDPを受けて、5つのメガプログラム(1)生産と生産性、2)市場と価値の付加、3)政策環境(政策・制度・インフラ)、4)組織強化、5)天然資源保全管理)で構成される農業省戦略計画(MAF Strategic Plan 2-14-2020、2012年)が策定され、本事業は同プログラム1)〜4)に合致する内容となっている。

目標

上位目標

コメ生産向上による収入増加を通して、プロジェクト対象地域の農家世帯の生計が向上する。

プロジェクト目標

コメのバリューチェーン(生産、精米・加工、流通、販売・消費)改善を通じ、プロジェクト対象地域の選定農家世帯のコメ生産による農業所得が向上する。

成果

成果1:プロジェクト対象地域において、コメ増産に向けた栽培技術が向上する。
成果2:灌漑施設の維持管理能力が強化される。
成果3:コメのブランド化を通じ、国産米流通・販売モデルが構築される。
成果4:政府のコメ買い取り/配布システムが改善される。

活動

0-1.プロジェクト実施に要する詳細なデータ・情報を収集するため、ベースライン調査を設計・実施する(プロジェクト開始後6か月)。
0-2.プロジェクト実施に向けたRice Working Groupの活動、機能化を支援する。 プロジェクトドキュメント(PDM、PO等)の改定を行い、JCCの承認を得る。
0-3.プロジェクトの結果を評価するため、エンドライン調査を実施する(プロジェクト終了前6か月)。

1-1.MAF農業園芸普及局の制度強化及び人材育成計画を立案する。
1-2.改良稲作システム(IRCS)等の改良稲作技術の普及計画を立案する。
1-3.MAF職員に対して改良稲作技術研修を実施する。
1-4.対象ライスボウル地区より対象となるSucoを選定する。
1-5.対象Sucoにおいてプロジェクト参加に意欲的な農家の選定を行う。
1-6.各対象Sucoにおける作付計画を立案する。
1-7.選定農家に対して改良稲作技術のためのパイロットプロジェクトを実施する。
1-8.1-7の結果に基づき、改良稲作技術を改良する。

2-1.MAF灌漑水管理局の制度強化及び人材育成計画を立案する。
2-2.地域条件に適した灌漑維持管理のために、灌漑維持管理政策及びマニュアルを改良する。
2-3.プロジェクト対象県の灌漑スタッフに対し灌漑維持管理研修を実施する。
2-4.研修を受けた灌漑スタッフを通じて、各プロジェクト対象地区の水管理グループに対して灌漑維持管理研修及び組織マネジメント研修を実施する。
2-5.灌漑施設管理及び水管理グループの組織マネジメントをモニタリング・評価し、各プロジェクト対象地域の灌漑施設維持管理を改善する。

3-1.MAF農業通商局の制度強化及び人材育成計画を立案する。
3-2.各プロジェクト対象県において、直接販売及び市場又はMCIEを通じた民間セクターによる販売を通じた国産米流通販売モデルを立案する。
3-3.各プロジェクト対象県において、農家、民間セクター及びMAF/MCIE職員に対するコメ流通販売モデル導入に関するワークショップを実施する。
3-4.コメ販売のための農業協同組合マネジメント研修を設計・実施する。
3-5.農家、民間セクター及びMCIE職員に対してマーケティング研修、精米・加工・パッキング研修を実施する。
3-6.プロジェクト対象県において国産米流通販売モデルのパイロット事業を実施する。

4-1.MCIE国家流通センター局の制度強化及び人材育成計画を立案する。
4-2.コメ備蓄管理ガイドライン、標準操作手順書(SOPs)、備蓄追跡システム、及びコメ備蓄管理マニュアルを整備する。
4-3.ディリ及びティバールのコメ備蓄倉庫を改修する。
4-4.備蓄倉庫職員に対してコメ備蓄管理に係る5S(整理、整頓、清掃、清潔、しつけ)研修を実施する。
4-5.害虫、カビ、ネズミ害に対応する品質管理研修を実施する。
4-6.現在のコメ買い取りシステムを分析・改善する。
4-7.備蓄米の買取り・配布を実施する。
4-8.活動4-7の結果を基に政府のコメ価格標準化ガイドラインを立案する。

投入

日本側投入

1)専門家派遣
長期専門家3名(チーフアドバイザー60MM、農産物流通・販売60MM、業務調整60MM)、短期専門家(コメ備蓄倉庫5S管理、灌漑施設維持管理/水利組合、稲作営農等;8MM/年程度)
2)本邦・第三国研修(灌漑維持管理、営農技術、農産加工、マーケティング、ブランディング、倉庫マネジメント、コメ備蓄、カイゼン等)
3)機材供与(車両、トラクター、精米機、パッキング資機材、備蓄倉庫改修等)
4)プロジェクト活動経費

相手国側投入

1)カウンターパート配置
プロジェクト・ディレクター(MAF農業総局長)、共同プロジェクト・マネージャー(MAF政策計画モニタリング法務局長、MCIE国家流通センター部長)、プロジェクト・サブマネージャー(成果1:MAF農業園芸普及局長、成果2:MAF灌漑水管理局長、成果3:MAF農業通商局長、成果4:MCIE調達倉庫在庫局長)、上記各部局職員、対象県農業事務局職員及び普及員
2)プロジェクトオフィスの提供
3)ローカルコスト負担(光熱費、水道料金、インターネット接続、C/Pの国内旅費等)
4)必要資機材(JICA供与分以外)の導入・拡充