エクアドル国チンボラソ県は、人口の約40%を有し、シエラ(山岳)地域のほぼ中央部に位置する、シエラ10県の内でも深刻な貧困問題を抱えている県である。特に、県人口の約60%が居住し、先住民が多い農村部の貧困が大きな社会問題となっている。
貧困の主な要因は、農業所得の低さと劣悪な生活環境(教育、医療、基礎インフラ面など)が挙げられている。またこれらに加え、農村を取り巻く重大な問題として、自然資源劣化(過度な伐採による流域荒廃を原因とする水源涵養力の低下、土壌浸食)がある。この劣化によって農業と農村生活に最も重要な「水と土」という資源が失われていることが、貧困の悪循環につながっている。…