短期専門家によるワークショップを開催しました。

2018年1月30日

2018年1月14日から1月18日まで、総務省統計局から4名の短期専門家を迎え、1)経済センサス、2)労働力調査、3)精度検証手法の3科目について、ワークショップが開催されました。

初日の開会にあたって、JICAエジプト事務所の岩崎次長からは日本の経験から多くを学んでいただきたい旨挨拶をいただきました。CAPMAS(中央動員統計局)のEl-Gendy総裁(1月16日付けで地方開発大臣に就任のため退任)からは、統計データを政策策定において有効活用することが重要である旨発言があり、CAPMAS職員には多くを学ぶよう激励がありました。

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El-Gendi総裁(中央奥)からの挨拶

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プロジェクト関係者とEl-Gendi総裁

経済センサスは、佐藤政策統括官付研究官及び渡邊経済統計課係長が担当されました。経済センサスはエジプトの経済活動の実態を把握し、国民所得統計の推計にも極めて重要なデータソースであり、今後の各種経済政策の実施のためにもより精緻で迅速な情報が必要とされています。CAPMASは、2017人口・住宅センサスにおける事業所調査の結果を受けて、より詳細な経済活動の実態を把握するため、なるべく早期に「経済センサス」を実施したいとしています。今回のワークショップでは、日本におけるの「経済センサス活動調査」の調査手法を紹介するとともに、エジプトにおける最適な調査手法を意見交換し、調査実施への助言・指導を行いました。

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佐藤・渡邉専門家による経済センサスワークショップ

労働力調査は、永井労働力人口統計室課長補佐が担当されました。労働力調査については、2017人口・住宅センサスの結果を受けて新たなサンプリングを行うとともに、現在四半期ベースの調査を月次調査に改定することを検討しているところです。失業率データが月次化されることにより、より適切で迅速な雇用政策のための基礎データが得られることとなります。今回のワークショップでは、日本の労働力調査の調査手法を紹介するとともに、エジプトで月次化するに当たっての最適な調査手法を意見交換し、日本の知見から助言・指導を行いました。

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永井専門家による労働力調査ワークショップ

精度検証手法は、阿久津国勢統計課係長が担当されました。阿久津専門家は今回のエジプト派遣が通算で3回目となり、これまでも精度検証について講義してきました。今回のワークショップでは、2017人口・住宅センサスにおける人口調査結果の精度検証をテーマに、CAPMAS担当職員とともに具体的な結果データを使用した分析作業の実習、加えてセンサスに関するGeneral Reportの作成手法について意見交換しました。実習においては、CAPMAS職員の更に学びたいという姿勢が強く、今後もプロジェクトが同様の実習を提供していくことを検討しています。General Reportの作成については、今回のセンサスが大人口を対象としたタブレット主体のe-センサスであったことは世界的に特筆すべき事例です。調査各段階での実施状況やその結果の検証や取りまとめは、エジプトにおける10年後のセンサスのみならず、同じくe-センサスの導入を計画する国にとっても貴重な財産となります。阿久津専門家はこれまでもGeneral Report作成の重要性を繰り返し説明してきましたが、今回のワークショップでは、CAPMASが類似の報告書の作成を予定している旨が言及されました。今後は、General Report作成の段階でもプロジェクトから具体的な助言をしていきたいと考えています。

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阿久津専門家による精度検証の実習風景

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阿久津専門家による精度検証の実習風景