経済センサスに関するセミナーを開催しました。

2018年9月5日

短期専門家によるワークショップを開催しました。

CAPMASは、2017年人口・住宅及び事業所センサスにおける事業所分野の調査結果を母集団に、より詳細な経済活動の実態を把握するため、2018年10月初めから2019年3月末日にかけて「経済センサス」を実施する予定です。経済センサスの結果は国の産業構造やGDP(国内総生産)を把握するための重要な指標の一つとなり、経済開発等国の各種経済施策実施のための基礎情報となります。

これまでCAPMASは1991年以降5回の経済センサスを実施していますが、当初目標にしていた5年毎の調査が実施できなかったため、2018年経済センサス以降は定期実施を目標にしています。調査には多額の費用と調査員等の労力が必要なため、実施に当たっては的確な調査計画を作成することが必要です。日本は経済センサスの定期実施を実現していることから、エジプト経済センサス実施に当たっての知見の共有を目的とし、日本から二名の短期専門家(総務省統計局経済統計課の太田統計専門官(担当分野:審査・発表)、及び姉崎係長(担当分野:企画・指導))を招きました。

上記2名の短期専門家に加え、松尾チーフアドバイザーも含んだ3人体制で、2018年7月29日~8月2日の5日間、CAPMAS職員を対象にセミナーを行いました。また、一部の時間は実務者レベル中心のワークショップ形式とし、情報共有と意見交換だけではなく、具体的な指導をすることでCAPMAS担当職員の対応力の養成を目指しました。ワークショップでは、1)CAPMASの経済センサスの準備状況の把握、2)調査実施段階での品質管理手法、データ処理過程での集計データの審査・製表の計画の把握、3)日本の「経済センサス活動調査」の調査過程の説明、4)CAPMASが2019年9月に予定している公表に向けた各種作業(速報・確報)のスケジュール感のテーマについて議論し、それぞれのテーマにおける想定課題の洗い出しと解決策の検討を行いました。

セミナーでは日本の事例紹介だけではなく、CAPMAS側からも多くのプレゼンテーションが行われ、業務の状況が分かりやすく日本側にも伝えられました。具体的な実務指導を中心としたため、参加した若手のCAPMAS職員からの質疑・議論も活発でした。特に、来年9月に予定される公表はインターネットサイトへの掲載も予定していますが、ユーザー視点での使いやすさを考慮する必要があり、IT技術に関わる課題を中心に検討すべき事項が浮き彫りになりました。ITを利用した公表方法については、他の統計調査も含め今後の指導課題と考えています。

なお、セミナー4日目の8月1日には、CAPMASのKhairat Barakat総裁が会議室を訪問し、議論の状況をご覧になられました。同総裁からは、日本側のこれまでの協力に感謝しつつ、今後の継続的な支援協力への期待が語られ、CAPMAS職員に対しては日本の経験から多くを学び、自らの業務に活用し取り込むよう激励がありました。

最終日の8月2日には、CAPMASの調査実施を担当する現場でもある、地方セクターのカイロ圏事務所を訪問しました。担当職員より経済センサス業務にかかわる説明を受け、調査の現場が直面する実施上の課題の把握及び意見交換を行いました。日本側より「経済センサス活動調査」の調査手法の紹介を行うとともに、調査実施への助言・指導を行いました。調査実施の最前線にある地方事務所の意見を率直に伺う機会を得て、現場の意見をどのように制度にフィードバックするかも今後の活動の課題です。

【画像】

セミナー開会式の風景

【画像】

カイラット総裁(テーブル奥)によるセミナー視察

【画像】

カイロ圏事務所を訪問 右手3番目から松尾チーフアドバイザー、姉崎専門家、太田専門家