プロジェクト概要

プロジェクト名

(和)就学前の教育と保育の質向上プロジェクト
(英)The Project for Quality Improvement of Early Childhood Development

対象国名

エジプト・アラブ共和国

プロジェクトサイト

カイロをプロジェクト拠点とし、5地域(カフルシェイク、ポートサイード、スエズ、イスマイリア、カリオベイヤ(Kafr El Sheik, Port Said, Suez, Ismailia, Qalyubi))を普及対象地域とする。

署名日(実施合意)

2017年2月7日

協力期間

2017年6月29日から2020年6月28日

相手国機関名

(和)社会連帯省
(英)The Ministry of Social Solidarity(MOSS)

背景

(1)エジプトにおける就学前教育の現状と課題

エジプト・アラブ共和国(以下、「エジプト」)において就学前教育を担う保育園は、義務教育で且つ無償である基礎教育(小・中学校)とは異なり、保育料の支払いが求められる。このため、保育料が保育園のへのアクセス率にも大きく影響しており、2015年の保育園在籍率は7.4%となっている(Egypt in Figure 2015(Population)、及び社会連帯省2015年統計)。また、エジプト全国の11,901保育園の内、NGOが4,847園、私立が6,954園、その他100園である(社会連帯省2015年統計)。

社会連帯省によると、同国の保育園における課題として、乳幼児期の保育の重要性に対する認識不足、家庭貧困による保育料支払能力の不足、保育士の能力不足、地方行政の調整不足等を挙げている。また、私立保育園での利益重視の姿勢に対して、NGO保育園は、自立経営が困難な状況にあり、NGO保育園4,847園の内、2,524園が政府による補助金支給対象となっている(保育園全体の21.2%を占める。2015年社会連帯省統計)。このように、同国における保育園制度・体制は脆弱であり、保育士の能力不足等の要因とも相まって、乳幼児の発達改善を促す保育園の質向上が求められている。

2016年2月、エルシーシ大統領は日本を公式訪問し、安倍首相と共同声明を発表した。その中で、教育・人材育成が国造りの基礎であり,未来に平和と繁栄の社会を築くため最も重要な事業であるとの信念に基づき、エジプト・日本教育パートナーシップ(EJEP)を策定し、教育分野で協力を促進することで一致した。EJEPの中では、保育園及び幼稚園における「遊びを通じた学び」の推進が掲げられている。多数を占める私立保育園が学力重視の運営方針をとる中、NGO保育園の保護者もこれに類する保育を望む傾向にあり、子どもの興味・関心を重視した「遊びを通じた学び」を同国に導入・展開することは、エジプト政府側、ひいては社会連帯省側のニーズと合致し、同国の子どもたちの健やかな育ちを助長するものである。

(2)当該国における教育セクターの開発政策と本事業の位置づけ

エジプトの総合的な開発指針を示す「持続可能な開発戦略2030」(2015年3月対外発表)においては、経済開発、市場競争力強化、人材開発、市民の幸福の4つを達成すべき目標としている。この達成のために、主柱として教育研修、この中の人材開発において教育が重点項目として選ばれている。特に人材育成における教育の質改善は、エルシーシ大統領が掲げる教育方針のコアともなっており、係る背景から、基礎教育への効果的な橋渡しとなる保育の質向上を図るものである。特に本事業においては、「遊びを通じた学び」の実践を通じて、乳幼児の発達に資する保育の質も高めることを予定している。

目標

上位目標

「遊びを通じた学び」を通じてエジプト国内の保育園における保育の質が向上し、乳幼児の発達を促す。

プロジェクト目標

パイロット地域において、「遊びを通じた学び」を通じて保育園における保育の質が向上し、乳幼児の発達を促す。

成果

成果1:「遊びを通じた学び」を実践する保育士の能力が向上する。
成果2:保育士の質を確保するための保育園に対するモニタリング制度が改善される。
成果3:「遊びを通じた学び」を実施するための周辺環境が改善される。

活動

成果1:「遊びを通じた学び」を実践する保育士の能力が向上する。

1-1. JOCVが開発した過去の教材のレビュー
1-2. MOSSにおける保育園及び教育・教育技術省における一部の幼稚園に関する標準仕様のレビュー
1-3. 「遊びを通じた学び」をエジプトの保育園に導入するため標準仕様案の作成
1-4. 選定されたパイロット園での標準仕様の試行的実践
1-5. 標準仕様の完成
1-6. 既存教材のレビュー
1-7. 「遊びを通じた学び」の教材(視聴覚教材含む)の開発
1-8. パイロット園での能力開発の実施
1-9. 「遊びを通じた学び」を実践する保育士への研修
1-10. 選定された保育士による選定されたパイロット園での能力開発の実践

成果2:保育士の質を確保するための保育園に対するモニタリング制度が改善される。

2-1. 開発した評価ツール及び教育・教育技術省の幼稚園の評価ツール等のレビュー
2-2. 地方事務所の既存モニタリング・ガイダンス制度のレビュー
2-3. 「遊びを通じた学び」の導入を確保するためのモニタリング・ガイダンス制度のレビュー
2-4. パイロット園での改良されたモニタリング・ガイダンス制度の実践
2-5. モニタリング・ガイダンスの完成
2-6. モニタリングを実践する地方局職員への研修
2-7. モニタリング・ガイダンス制度を通じた保育園からの継続的データ収集
2-8. NGO保育統計の発行
2-9. 「遊びを通じた学び」の実践者(保育士)に対するインセンティヴ・メカニズムの開発

成果3:「遊びを通じた学び」を実施するための周辺環境が改善される。

3-1. 意識向上キャンペーン(ワークショップ等)の実施
3-2. プロジェクト成果を踏まえた普及実施計画の作成

投入

1)日本側投入

・専門家派遣(総括、教育開発/業務調整、就学前教育、視聴覚教材、教育評価/モニタリング)
・機材(車両、事務機器機材供与)
・その他(研修費、教材の印刷・配布、翻訳)

2)相手国側投入

・カウンターパートの配置
・設備・機材(執務室及び付帯機材、活動機材倉庫等)
・その他(研修費等)