プロジェクト活動

事業概要

事業目的(協力プログラムにおける位置づけを含む)

本事業は、DAISY図書を製作・普及するための人材育成と、DAISY図書に関する啓発を通じたDAISY図書を製作・普及するための基盤整備を目的とする。その結果、本事業により教育、雇用、保健、観光、防災など様々な分野の出版物における障害者の情報アクセシビリティが改善され、障害者の社会促進に寄与するものである。

本事業の受益者(ターゲットグループ)

直接受益者:
情報通信省(MICT)、国立図書館(NL)、アレキサンドリア図書館(BA)、その他DAISY図書製作者および普及に関係する機関の関係者
最終受益者:
プリントディサビリティのある人

総事業費(日本側)

約1.6億円

環境社会配慮・貧困削減・社会開発

1)環境に対する影響/用地取得・住民移転

1)カテゴリ分類:C
2)カテゴリ分類の根拠:本事業は「国際協力機構環境社会配慮ガイドライン」(2010年4月公布)に掲げる影響を及ぼしやすいセクター・特性および影響を受けやすい地域に該当せず、環境への望ましくない影響は最小限であると判断されるため。

2)ジェンダー平等推進/平和構築・貧困削減

本事業は、アクセシブルな図書の提供を通し、長期的には障害者の教育や雇用への機会を拡大することを目指しており、貧困削減に資するものである。

3)その他

特になし

関連する援助活動

1)我が国の援助活動

BAをカウンターパートとして、アラビア語版DAISY図書作成ソフトウェアの開発や研修を行う民間連携普及促進事業(「アクセシブルなマルチメディア普及促進事業(2018年1月~2019年1月)」)の実施が計画されている。当該事業の実施機関であるシナノケンシ株式会社が開発するソフトウェアを本プロジェクトの供与機材として調達することを検討するとともにしているため、当該事業の進捗状況を随時確認しつつ、当該事業で実施される現地セミナーや、本邦活動と相乗効果が生まれるよう、必要な調整を行う。

2)他ドナー等の援助活動

  • UNICEFが2010年から2016年まで、インクルーシブ教育推進のための包括的なモデルを実施するためのプロジェクトをMCITとの連携により実施した。同プロジェクトではカイロを含む3地域で120校を対象に、1)教師への研修 2)リソースルームの機材供与 3)障害のある児童の受入促進などの支援を実施した。今後はMCITとMOUを結び、対象校を250校に拡大し、教師へのオンライン指導などを行う予定。また、企業のCSRを活用し、アクセシブルデバイスの導入も実施する。
  • ILOとUNDPは2016年9月まで障害者就労に関する協力(企業など組織の能力向上および、ICT活用を通じた障害者の労働市場へのインクルージョンの促進)を実施していた。第2フェーズが実施されることが決定しており、エジプト政府からの承認を待っている状況である。
  • ITUは、MCITと協力して障害者のICTアクセシビリティを向上させるため、MCITと協力して「障害者のICTアクセシビリティに関する地域イノベーションセンター」をカイロのスマート村(Smart Village)に開設する予定である。センターの目的は以下の通り。
    a)ICTアクセシビリティに関する政府や関連者へのアドバイスの提供
    b)アラビア語でのICT支援機器の開発
    c)ICTアクセシビリティに関するICT技術者の能力強化

協力の枠組み

協力概要

1)上位目標

DAISY図書が、教育、雇用、保健、観光、災害などの様々な分野で利用されるようになる。

2)プロジェクト目標

アラビア語や他の言語のDAISY図書を製作し普及するための人的、技術的資源が整備される。

3)成果

成果1:DAISY図書製作者のコアグループ及びDAISY図書製作者が育成される。
成果2:DAISYの利点が広く理解されるようになる。

前提条件・外部条件

(1)前提条件

日本人専門家がエジプトで活動を行うために必要な許可証等、エジプト政府とのプロトコルが滞りなく実施される。

(2)外部条件(リスクコントロール)

上位目標達成のための外部条件

  • エジプト政府が障害者への情報保障に関して継続的に努力する。
  • 42名のDAISY図書製作者がDAISY図書の製作を継続する。
  • DAISY図書製作に使用するコンピューターやソフトウェアが、必要に応じて適切なタイミングでアップデートされる。

プロジェクト目標達成のための外部条件

  • MCITのコミットメントが持続し、本件に係る予算が継続的に確保される。
  • NLおよびBAからの協力が継続する。
  • MCITが効果的な啓発活動を継続して実施する。

成果達成のための外部条件

  • 本プロジェクトに必要な予算が確保される。
  • 選定された研修生が研修に参加するための時間を十分に確保する。
  • 研修を通じてDAISY化する図書の電子データがテキスト形式で提供される。

評価結果

本事業は、エジプト国の開発政策、開発ニーズ、日本の援助政策と十分に合致しており、また計画の適切性が認められることから、実施の意義は高い。

過去の類似案件の教訓と本事業への活用

(1)類似案件の評価結果

本事業は、これまでに類似の事例がない新しい試みであるため、慎重に計画し、実施段階においては丁寧なモニタリングを行うことが重要である。共通点のある障害と開発分野の別案件から本事業に活用しうる教訓は、(2)の通り。

(2)本事業への教訓

  • 様な関係機関が関わるプロジェクトへの教訓:関係機関が多岐にわたる場合、それぞれの役割が認識されていないと、活動の効果発現に影響を及ぼす可能性がある。そのため、詳細計画策定調査を通して多岐にわたる関連機関の役割を明確化するとともに、実施段階においては連携・調整が適切に行われるよう、丁寧なフォローを行っていくことが重要である。
  • パイロットサイト選定に関する教訓(エジプト側の条件が整い、次フェーズ等でパイロットサイトを選定してDAISY図書の活用を支援する場合):対象となる障害者がいることが確認されているサイトをパイロットサイトとして選定する。パイロットサイトの選定にあたっては、DAISY教科書のユーザーである、プリントディサビリティや学習障害のあるユーザーがいるサイト(学校等)を選定する必要がある。プリントディサビリティの概念が浸透しておらず、統計などで状況が把握されていない可能性が高いため、様々なソースから情報を得ながら適切なパイロットサイトを選定する。

今後の評価計画

(1)今後の評価に用いる主な指標

「協力概要」のとおり。

(2)今後の評価計画

事業開始3か月以内 ベースライン調査
事業終了3年度 事後評価

(3)実施中モニタリング計画

2回/年:JCCにおける相手国実施機関との合同レビュー
事業終了1か月前:JCCにおける相手国実施機関との合同レビュー

広報計画

(1)当該案件の広報上の特徴

1)相手国にとっての特徴

エジプト政府は2018年を障害者年としている。今次調査で聞き取りを行った中では、具体的な活動計画は確認できなかったが、本プロジェクトを障害者年の目玉としたいという意向は一致していることが確認できた。本プロジェクトの広報を効果的に実施することで、情報アクセシビリティに関する各種課題に対する認知度を高め、情報アクセシビリティ改善促進に向けたモメンタムの醸成に寄与する。

2)日本にとっての特徴

本プロジェクトはICT技術を日本語という特殊言語に適合させてきた日本の技術や経験を、同じく特殊言語であるアラビア語を使用しているエジプトに移転することを通して、障害者の社会参画促進を図るものである。この技術移転には、情報保障のための支援機器開発で優れた実績を持つ日本の中小企業の技術を活用する。アラビア語でDAISY図書が製作されるようになれば、例えばエジプト周辺国や欧州諸国などで難民として生活しているアラビア語を母語とする子どもへの教育への活用など、活用の幅は非常に広く、活用されれば大きなインパクトをもたらすものである。本プロジェクトの実績を日本国内・国外に向けて効果的に広報していくことで、様々な分野でDAISYが活用されるようになることを目指す。

(2)広報計画

  • プロジェクト活動に係るプレスリリース
  • ウェブサイト、ソーシャルメディア等を通じたプロジェクトの紹介