「誰も取り残さない世界」を目指してプロジェクトがスタート!

2019年3月20日

みなさんは「読書障害」についてご存知でしょうか?視覚障害、ディスレクシア、学習障害、身体障害により腕や眼球をうまく動かすことができないなど、様々な原因により印刷された本などを読むことに困難のある人は数多くいます。たとえば日本では、全国の通常学級に在籍している児童生徒の2.4%(約24万人)に読み書きの困難があるといわれています(注1)。そのような困難がある人が情報にアクセスし知識を得ることの助けとなる国際規格として、DAISY(=DigitalAccessibleInformationSystem:アクセシブルな情報システム)(注2)があります。学校でDAISYを活用することで、テストで10点しか取ることができなかった児童が、80点を取ることができた、というような事例が数多く報告されており、日本の学校でもDAISYの活用を普及する取り組みが広がっています。

一方エジプトでは、一説には25パーセント以上の人が非識字であるといわれています(注3)。特に障害のある子どもが教育を受ける機会は非常に限られており、アラビア語に対応するDAISYのような支援ツールの不足も一因となっていると考えられています。そこでJICAは、アラビア語と同じく特殊言語である日本語に対応するDAISYの開発を行ってきた技術と経験を持つシナノケンシ株式会社との連携により、エジプトで世界初(!)のアラビア語対応マルチメディアDAISY図書製作ソフトウェアの開発を行ってきました(注4)。

そして、アラビア語のマルチメディアDAISY図書を製作できる人材を育成し、普及するための技術協力プロジェクトが先日ついに始まりました!プロジェクトでは、人材の育成に加え、カウンターパート機関の幹部の方々に日本の情報アクセシビリティの好事例を知っていただき、エジプトにおける戦略策定に役立てていただいたり、日本でDAISY教科書を使って学び、進学の目標を達成した方などとの交流を促進することで、エジプトで読みに困難がある人が一人でも多く、情報にアクセスできるようになることを目指します。さらには、アラビア語圏諸国の人々や、アラビア語を母語とする移民・難民などへもサービスが届くようになることを視野に入れながら、プロジェクトを進めていきます。プロジェクトの活動の様子は、今後このページでも紹介していきますので、ご注目ください!

(注1)平成24年12月「通常の学級に在籍する発達障害の可能性のある特別な教育的支援を必要とする児童生徒に関する調査について」文部科学省初等竜東教育局特別支援教育課」
(注2)スイスに法人格を持つ国際NPO「DAISYコンソーシアム」が国際共同開発した規格で、読むことに障害がある人々のためのアクセシブルな電子図書の国際標準規格として多くの国々に普及しています。日本とスウェーデンの図書館関係者が主導で開発が始まりました。
(注3)エジプト中央動員統計局(CAPMAS)の発表として、The Cairo Postが2014年9月9日に報道。

(注4)読書障害者用DAISY図書製作ソフトウェア普及促進事業(開発途上国の社会・経済開発のための民間技術普及促進事業)

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RD署名に先立つカウンターパートとの協議(2018年10月)