E-JUSTによる新型コロナウイルス感染拡大への対応

2020年8月3日

エジプトにおいても新型コロナウイルスの影響は深刻であり、感染確認者は2020年8月現在、9万人を超える状況となっています。E-JUSTでも3月以降、キャンパスでの授業・実験は中断、オンラインによる授業が行われ、感染対策をとって期末試験等が慎重に実施されています。一方、E-JUSTは大学独自の取り組みとして新型コロナウイルス対策にかかる社会への貢献をめざし、感染拡大防止のための資機材の製作やウイルス検査にかかる考案を積極的に進めています。エジプト政府もコロナ対策のための研究資金を提供しており、E-JUSTでは3月以降これらの競争的研究資金を4件獲得し研究プロジェクトを実施しています。以下は具体的事例の紹介です。

事例1

Novel cost-effective eco-friendly hybrid membranes as antimicrobial disposable breathing bio-filter(低コストかつ環境負荷が少ない使い捨てバイオフィルターの試作・研究)

(Academy of Scientific Research & Technology(ASRT)のファンドにより840,000EGP 約555万円)
Hassan Shoukry准教授 (環境工学)は、微生物およびウイルスによる感染を低減させるため、医療マスクに取り付けるバイオフィルターの作成に取り組んでいます。ナノスケールの人工組織、生体膜で構成された多孔構造のフィルターが汚染物質を吸着し、体内への取り込みを防ぐもので、現在、材料の試作を重ねています。今後は実際の患者を使ったテストにかかる承認プロセスが課題です。プロジェクトには、工学系のみならず、国際ビジネス人文学部のSara助教もビジネス化の観点で参画しており、将来の商品化が期待されます。

事例2

Local manufacturing of 3D printed antimicrobial medical personal protection kit 3Dプリンターを活用した新型コロナ対策用防護具の最適化のための試作・製作

(ASRTのファンドにより540,000EGP 約357万円)
Ahmed Khalil准教授(材料工学)は、医療従事者のためのゴーグル、マスク、フェイスカバー、人工呼吸器のパーツの試作を3Dプリンターを使って行っています。それぞれの医療現場のニーズに応じた形状や耐久性などを考慮しながら工夫を重ねています。今後、実地で有効性の検証を行っていくとともに、さらに材質の特性を生かした抗微生物、抗ウイルス効果なども研究していく予定です。このプロジェクトには国際ビジネス人文学部のHeba Badwy准教授も財務面で参画しています。

事例3

Design and Implementation of a Mobile Disinfection Airlock for Mass Production モバイル型消毒用エアロックの設計と開発 (ASRTのファンドにより100,000EGP 約66万円)

産業・生産工学のMohamed Nassef助教はSohag大学のProf. Mohamoud Abdelatyと協力し、モバイル型消毒用エアロックの作成を進めています。医学ラボや宇宙ステーションの前室からヒントを得ており、このスペースの中で一定時間、消毒剤を用いることにより、微生物、ウイルスなどを消滅させるしくみとなっています。スペースは六角形で、消毒剤噴霧の最適化のために設計されています。噴霧装置の形状や位置は特に重要で、実際のシステムではディスプレイや音声により消毒プロセスの進行を示すなどのしくみも必要となります。この設備を改良しエジプト国内で生産することを目指しています。

以上のように、E-JUSTではこれまで培ったノウハウや人材、設備を活用し、研究・製作活動を通じて新型コロナウイルス対策に貢献することを目指しています。

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事例1:バイオフィルターの試作・研究

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事例1:バイオフィルターの試作・研究

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事例2:3Dプリンター活用した新型コロナ対策用防護具

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事例2:3Dプリンター活用した新型コロナ対策用防護具

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事例3:モバイル型消毒用エアロックの開発