オンライン合同研究室ゼミの開催(日本型の工学教育への取り組み)

2021年1月14日

E-JUSTプロジェクトでは、従来より少人数、研究室中心の日本型の工学教育の浸透に取り組んでいます。先行しているE-JUSTのエネルギー工学専攻(ERE)、環境工学専攻では、Japanese-style Laboratory Seminar-based Engineering Educationとしてガイドラインも作成中であり、複数の教員、大学院生、学部生を交えたゼミ形式での研究発表、研究指導が試行されており、双方向で多層的な教育スタイルが進められています。そうした中、日本からの短期渡航が困難な状況にあることも踏まえ、国内協力大学である東京工業大学と前述のE-JUSTの両専攻との間で、遠隔オンラインにて合同ゼミが12月に全8回開催されました。以下はその事例です。

12月17日は、東京工業大学で燃焼がご専門の小酒英範教授の研究室とEREのElwaldany准教授の燃焼研究室の間での合同ゼミが実施されました。E-JUST側の博士学生の発表に対し小酒教授および佐藤進准教授からの質問や助言があり、学生は今後の研究の方向性についてのヒントを得ていました。

12月18日には、E-JUSTの博士学生と、大川原真一特任教授の研究室に所属する日本人修士学生の発表があり、参加した齊藤卓志准教授から、風力発電用ローターの開発の発表を行ったエジプト人学生に対し、本研究のオリジナリティは何か、現実での適用規模はどうするのかなど具体的な質問があり、またエジプト人学生から日本人学生に対しては、使用したアプリケーションにかかる質問なども出て、双方にとって研究活動のブラッシュアップに役立つ機会となりました。

さらに、別途 関口秀俊教授の研究室との合同ゼミも開催されており、E-JUSTの博士学生の研究テーマにかかるディスカッションが行われました。

12月22日には、環境工学分野での合同ゼミが実施され、エジプト側はMona学類長、Hatem准教授が参加、日本側は藤井学准教授のリードの下、時松宏治准教授、村田涼准教授、吉村千洋教授に参加いただきました。E-JUST博士課程のエジプト人学生7人、東工大の研究者・学生3人(日本人、エジプト人、カンボジア人)の研究発表に対し、エジプト、日本双方から質疑およびコメントがあり、活発なディスカッションとなりました。また、村田准教授からは”Scope of Sustainable Architecture”のタイトルで特別プレゼンテーションをいただきました。

Mona学類長からは「従来から本邦大学の教授には、共同指導を行っていただいているが日本側研究室の学生が入ることでより多様な内容となり刺激にもなる、今後も継続をお願いできればありがたい」とのコメントがありました。

日本型の研究室中心教育は、研究室をベースに研究と教育が一体として行われる形態とされています。また、教員と学生の一対一の関係性だけではなく、教員、大学院生、学部生による多層的な構成により、教育・研究指導が進んでいくスタイルは日本に特徴的なものと言えます。さらに今回は合同ゼミとして、双方の教員と学生も交えた交流により、日本型ゼミの様子も伝えることができ、E-JUST側にとっても刺激になった様子です。研究室中心教育の在り方は多様ですが、インタラクティブな教育・研究活動はE-JUSTに大きな付加価値をもたらすものと考えられます。

【画像】研究計画の説明をするE-JUSTの博士課程の学生Mr. Omarと指導教官のDr. Elwaldany (写真後ろ側)

【画像】E-JUSTの博士課程の学生Mr. Ahmed Saadの発表に関し、コメントをする東工大齊藤准教授(右上)

【画像】関口秀俊教授研究室との合同ゼミ

【画像】JICA無償資金協力による太陽光パネルについて言及する環境工学の博士課程学生のMs.Lucienne