コロナ禍におけるオンラインによるリベラルアーツ教育への協力活動

2021年2月8日

コロナ禍でエジプトへの本邦教員の渡航が制限されるなか、E-JUSTリベラルアーツ・カルチャーセンター(LACC)においては、本邦協力大学からオンラインによる途切れないリベラルアーツ教育への協力活動が続けられています。

筑波大学 渡部宏樹先生の『日本文化』の授業

渡部先生(人文科学系 国際日本研究 助教)には、LACCとの共同講義の活動として『日本文化』の授業をオンラインで実施していただきました。

『日本文化』の授業は、学期の前半で、LACCのハムザ先生(教授、リベラルアーツ・カルチャーセンター長)が、日本の文化や社会を理解するための基本的な知識を講義し、学期の後半では、渡部先生が日本文化の実際的な側面に焦点を当てて解説されています。

今期の渡部先生の授業では、全7回の講義を通して、6本の日本のアニメ映画を鑑賞し、「3・11以降の日本」、「日本の近代化」、「第二次世界大戦の記憶」、「高度経済成長」、「1990年代以降のポップカルチャー/サブカルチャー」、「日本のソフトパワー」など幅広いトピックが取り上げられました。

各講義では、アニメ映画の文化的・社会的・歴史的背景が解説され、学生の理解を助け、学期の前半でハムザ先生の授業で登場した日本文化・社会の特徴などが、映画の中にどのように反映されているのかが議論されています。

また、「日本の近代化」を取り上げた回では、JICAと放送大学が協力して作成した『日本の近代化を知る第7章』も当時の日本の状況を理解するための教材として活用されました。

筑波大学 川村藍先生による『経済学と持続的な開発』の授業

川村先生(ビジネスサイエンス系助教)には、LACCとの共同講義の活動として『経済学と持続的な開発』の授業をオンラインで実施していただきました。

『経済学と持続的な開発』の授業では、学期の前半で、エジプト人教員のアベッド先生が講義を実施し、学期の後半で川村先生が講義を実施されました。前半のアベッド先生の講義では、エジプトの経済の課題などがトピックとして取り上げられ、後半の川村先生の講義では、日本の経済発展の経験をトピックとして取り上げるなど、エジプト人教員、日本人教員双方の視点がコースの中に取り入れられています。

今期の川村先生の授業では、全6回の講義を通して、「貧困とは何か」、「開発経済学におけるパラダイムシフト」、「1950年から1970年代にかけての日本の経済発展」、「SDGs」など広範なトピックが取り上げられました。

各講義では、グループワークが実施され、オンライン環境でも学生が主体的に学ぶ環境を提供していただきました。また、グループワークを実施するにあたり、「帰納法」や「演繹法」、情報の検索方法、引用の方法についてなど、エジプト人学生が普段の授業では指導を受ける機会が少ない基本的な学習スキルについても指導いただきました。

このように本プロジェクトでは、LACCが提供するコースの支援を通じて、エジプトの国立大学としては先駆的なリベラルアーツ教育の全学体制での導入を目標に掲げています。それにより、E-JUSTが創造性に富んだ教育・研究環境を提供し、エジプト国内のトップレベルの研究大学として発展するよう支援を行っています。

【画像】渡部先生の授業の様子1)

【画像】渡部先生の授業の様子2)、『日本の近代化を知る第7章』

【画像】川村先生の授業の様子、グループワーク