第一期TICAD7留学生へのインタビュー

2021年11月4日

2020年より、アフリカにおける科学技術人材の育成を通じて将来の科学技術ネットワーク構築に貢献することを目的として、アフリカ諸国からの留学生を3年間で合計約150人、E-JUSTの大学院に受け入れるプログラムが開始されています。
これは2019年8月に横浜で開催された第7回アフリカ開発会議(TICAD7:The 7th Tokyo International Conference on African Development)で発表された「横浜行動計画2019」に基づくもので、エジプト、日本両国政府の協力により留学生の受け入れが実施されています。

今回は実際にE-JUSTで学んでいるTICAD7奨学生の修士2年生4名より、彼らがどのような思いで学び、過ごしているのか、また彼らが思い描く将来像について伺いました。

(聞き手)今日はお時間いただき、ありがとうございます。皆さんにお話を伺えるのを楽しみにしていました。早速お伺いしたいのですが、なぜE-JUSTを選んだのですか。

(ムワイさん/マラウイ/Mechatronics and Robotics Engineering)母国で卒業した学部時代の経験をもとに、より研究に力を入れたいという思いがあったからです。さらなるリサーチスキルの習得・向上を期待していたので、研究に主眼が置かれている大学としてE-JUSTが適切だと思いました。

(アモスさん/ウガンダ/Mechatronics and Robotics Engineering)正直なところ、他大学への留学も視野に入れていました。しかしカリキュラムや教育方針を細かく調べたうえで、自分が選びたいのは授業を中心とした大学ではないことに気が付きました。E-JUSTで取り入れられているような日本式教育、充実した資機材を活用した研究中心かつ少人数での教育を知り、ここで学びたいと思うようになりました。

(アルフレッドさん/ケニア/Energy Resources Engineering)日本とエジプト、双方の文化に触れながら学ぶことのできる大学は他になく、初めてE-JUSTのことを知ったときは驚きました。同時に複数の異文化に触れられることにも関心があり、E-JUSTを選びました。

(ジョシュアさん/ガーナ/Chemicals and Petrochemicals Engineering)私の場合は、母国ガーナにE-JUSTからの訪問があり、その存在を知ったことがきっかけです。E-JUSTでは教育の質にこだわって授業が行われていることや豊富な機材があることを知って、研究を進めるにためには、これ以上ない恵まれた環境だと思いました。

(聞き手)皆さん、E-JUSTの特徴をよく捉えたうえで選んでくださったのですね。では、実際にこちらでの学生生活を過ごす中で感じている、E-JUSTで学ぶことのメリットを教えてください。

(ジョシュアさん)教授陣が丁寧に研究をサポートしてくれるところだと思います。日本の教授からもオンラインで指導を受けており、毎月進捗報告をしてコメントがもらえる場があることも励みになっています。研究を通じて自分に自信を持つことができるようになりました。

(アモスさん)指導教員の希望を提出する際に、教授全員から自身のバックグラウンドや強み、専門分野に関する紹介を受けることができました。1人1人の教授陣の紹介があったことで、専攻分野の中でもどの教授から教わりたいかが明確になり、詳細な研究目的や計画を立てることができました。今では希望した教授のもとで、研究に励んでいます。

(ムワイさん)日本人、エジプト人問わず、教授の実務や研究の経験が豊富なところです。彼らはいつも有意義な情報やアドバイスをくれるので、非常に丁寧な指導をしてくださっていると感じています。また母国よりも研究機材や研究環境が整っており、恵まれた環境で学ぶことができています。

(アルフレッドさん)アラビア語と日本語、2言語の習得がカリキュラムに含まれていることは特徴的だと思います。言語を2つ同時に学ぶことは非常に挑戦的ですが、個人的に言語を学ぶことは好きなので、興味深く学んでいます。

(聞き手)なるほど。教授陣や言語面、また研究環境などいろいろな要素に魅力を感じてくださり、とても嬉しく思います。そんなE-JUSTで勉強された後、卒業後にどのような人材になりたいか、将来のビジョンを聞かせてください。

(アモスさん)現在、E-JUSTにて技術や研究手法を学んでいる最中ですが、将来的には自分の研究経験を生かし、ロボットがどのように人間と交流していくかという点に関して、テック系企業や自国の関連コミュニティに知見や経験を提供したいと思っています。留学後は基本的にウガンダに戻る予定ですが、研究を通じてさらに学びたいと思えば博士課程に進むことも視野に入れています。研究を進めることで、将来のキャリア形成にも有意義にはたらくと思います。

(ジョシュアさん)私は博士課程に進み、より分野に特化した知識を付けたうえで、将来的には産業界で活躍できる人材になりたいです。特に自身の研究分野であるセルフヒーリング素材については、他国で学んだ技術や知見を持ち帰ることで、母国に貢献したい思いが強いです。

(アルフレッドさん)学術的な地位確立のため博士課程に進み、優秀な人材が集う質の高い教育が受けられる場所で学びたいと思っています。その後は母国に帰り、他の人を巻き込みながら、国レベルで直面している問題に貢献する動きを起こすことで、世界中にインパクトをもたらせるようになりたいです。

(ムワイさん)E-JUSTでの学びを通じて、入学前から変わらずに持っていた、機械工学・ロボティックス分野に引き続き携わっていきたいという想いがより一層強くなりました。まずはより研究を深めるべく、日本など技術の進んでいる国で学びたいと考えていて、その後は学んだ技術や知見、経験を持ち帰り、母国の発展に貢献したいです。

(聞き手)皆さんが留学生活を通じて感じていること、また母国の発展に貢献したいという強い想いや将来像を伺い、強く感銘を受けました。今後も皆さんのような留学生を多く受入れ、E-JUSTがより国際的に価値を持つ大学になっていけるよう、プロジェクトとしても引き続きサポートしていきたいと思います。本日はお時間いただき、ありがとうございました。

多くの留学生にとって、E-JUSTでの留学が初めての海外渡航や海外生活となり、かつエジプトと日本の文化が混ざり合った特徴ある環境で学ぶことに対して、多少の不安や緊張はあったようです。また、使いたい実験用設備が整備中であったり、当初のイメージとは少し違ったプログラム内容だったりと、思い描いていた留学生活とギャップがあり困惑したこともあったようです。しかし、彼らは母国の代表として、自分の研究を通じて母国や世界に対して何を貢献できるのかという視点や目的意識を常に持ちながら、E-JUSTでの勉学に励んでいる様子がうかがえました。

同プログラム第二期は、今年度秋からE-JUSTでの学生生活を始める予定であり、厳しい選考を経て選ばれた58名(内博士課程1名)が順次E-JUSTへ到着しています。プロジェクトではE-JUSTを通じて、引き続き、さらなる留学生の受け入れや、彼らがエジプトで健やかに、充実した研究生活を実現できるような支援を行っていきます。

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Mechatronics and Robotics Engineeringに所属するマラウイとウガンダの留学生

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実際に授業を受ける留学生の様子

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E-JUSTでの生活や将来についてインタビューを実施

【画像】聞き手による留学生へのインタビュー