プロジェクト概要

プロジェクト名

(和)エジプト日本科学技術大学設立プロジェクト
(英)Egypt-Japan University for Science and Technology ""E-Just""

対象国名

エジプト

署名日(実施合意)

2008年9月30日

プロジェクトサイト

ニューボルグ・エル・アラブ市

協力期間

2008年10月13日から2014年1月31日

相手国機関名

(和)エジプト日本科学技術大学(E-JUST)、高等教育省
(英)Egypt-Japan University of Science and Technology, Ministry of Higher Education

日本側協力機関名

本邦大学

プロジェクトの背景

エジプト・アラブ共和国(以下、「エ」国)では、質の高い人材を育成・輩出すべき国立大学において、授業料無料化に起因する高等教育就学者数の急増により、教育の極度の「マスプロ」化が進行し、教育の質の低下が顕在化している。例えば、同国のトップ大学であるカイロ大学においては、学生数が26万人を超え、工学部でも教員一人当たりの学生数が約30人となっている(日本や世界の工学系トップ大学では、教員一人当たりの学生数は1:10以下)。特に、理工系分野においては、「エ」国内に先端的な教育・研究を行う大学や研究機関がないことから、多くの優秀な学生が高度な専門教育を受けるために欧米等の海外の大学院や研究機関に進学して、卒業後も留学先の国で就職するケースが多く、高度な知識・技術を有する人材が国外に流出している。

高等教育のマスプロ化と教育の質低下という問題に直面し、「エ」国政府は経済社会ニーズを踏まえた質の高い教育を提供し、国づくりを担う人材を育成する政策を打ち出している。具体的には、大学評価と質の保証、大学院教育と研究活動の促進といった高等教育の改革に取り組んでいる。その改革の一環として、近年、欧米大学と連携した外国系大学(英、独、仏、加等)が新設されてきているが、(1)全て私立大学であり、授業料が極めて高いことから、入学者は一部の富裕層の子弟のみに限定されていること、(2)工学系に力を入れているのはドイツ大学のみであること、(3)学部中心の教育であることから、「エ」国の特に工学系の高等教育改革へのインパクトは限定的である。

上記のような状況に鑑み、「エ」国政府は既存の国立・私立大学とは全く異なる、日本型の工学教育の特長を活かした「少人数、大学院・研究中心、実践的かつ国際水準の教育提供」をコンセプトとする国立大学「日・エジプト科学技術大学(E-JUST)」を新設するための支援を日本政府に要請した。なお、E-JUSTの新設にあたっては、「エ」国側がキャンパス・施設建設を負担し、日本側は技術的指導(本技術協力プロジェクト)と研究・教育機材整備(無償資金協力として要請予定)への支援が期待されている。

目標

上位目標:

E-JUSTが「エ」国や中東・アフリカ諸国の経済・社会発展をリードする非常に優秀な人材を持続的に輩出するようになる。

プロジェクト目標:

【ステージ1】

E-JUSTにおいて2009年度中に修士・博士課程第一期生を受け入れる条件(基本計画・組織・教育内容・人員・施設・機材)が整う。

【ステージ2】

E-JUSTの基本理念を実践することにより、世界の科学技術系大学のなかでトップレベルの大学になるための基盤が確立する。

成果

【ステージ1】

  1. E-JUSTの運営体制と運営計画が策定される
  2. 教育プログラムの全体枠組みと修士・博士課程第一期生に必要な教育プログラム及び機材が整備される
  3. .キャンパスのグランドデザインと各施設整備の建築デザイン・実施設計・建設スケジュールが策定される
  4. 修士・博士課程の教育に最低限必要とされる教育内容・指導方法・機材使用方法を習得した優秀な教員が確保される
  5. E-JUSTの新設と大学の特長が関係者に十分に周知される
  6. 「エ」国内外の優秀な学生が修士・博士課程第一期生として定数確保される;
  7. ステージ2の協力内容の詳細が決定される

【ステージ2】

  1. E-JUST教員の研究能力が国際水準まで向上する;
  2. E-JUST学生の実践的・創造的な研究能力が研究中心教育により涵養される;
  3. 研究活動を支援する有能な技術職員が確保され、機能する;
  4. E-JUSTと在「エ」国の産業界の連携が推進される;
  5. E-JUST学長を中心とする経営層及び事務局の大学運営能力が向上する
  6. E-JUSTの組織・研究・教育について世界に向けて活発な情報発信がなされる。

活動

【ステージ1】

《成果1》

  1. 組織運営体制の制度設計
  2. 大学経営層・事務局幹部の人選基準の策定と有能な人材の確保
  3. 大学経営層に対する日本の有力・先進的大学の視察と議論の機会提供
  4. 中期(5年)及び長期計画(15年)(財務計画、産学連携含む)の策定
  5. 事務職員の人選基準の策定と有能な人材の雇用
  6. 事務職員に対する大学運営事務・教務に係る研修の実施

《成果2》

  1. 既設大学(「エ」国内・近隣諸国)の教育内容の調査
  2. 教育プログラム全体方針と各プログラムの基本方針の策定
  3. 学士・修士・博士課程それぞれに対応するカリキュラム骨子の策定
  4. 全7プログラム のうち、修士・博士課程の第一期生で開始すべき3プログラムの選定
  5. 上記3プログラムの修士・博士課程第一期生に係るカリキュラム・シラバス・教材の作成
  6. 学士・修士・博士課程それぞれに必要となる機材・設備のリスト作成
  7. 上記3プログラムの修士・博士課程に必要とされる最低限の機材の整備
  8. 本邦大学との遠隔教育システムの確立に向けた準備

《成果3》

  1. 学術面のみならず産学地連携も考慮したキャンパス計画の基本構想の策定
  2. 各プログラム教員の意見や必要機材の配置を考慮した各教育・研究スペースの整備計画策定
  3. 各施設の配置、動線、基盤設備に係る詳細な実施設計

《成果4》

  1. 教員の人選基準の策定と有能な人材の雇用
  2. 修士・博士課程指導に最低限必要なファカルティ・ディベロップメント(教育内容・指導方法・機材使用方法等)の実施

《成果5》

  1. E-JUSTに係るパンフレットや広告資料の作成
  2. 国内外のマスコミ、Web、Mailing List等を活用した広報キャンペーンの実施
  3. E-JUST組織設置を記念した国際シンポジウム等の開催

《成果6》

  1. 修士・博士課程に係る入学者選抜基準及び入学要項の策定
  2. 主要大学におけるE-JUSTに係る説明会の実施
  3. 出願書類の受付と入学者選抜の実施要項作成に基づいた審査実施(2009年秋学期入学の修士・博士課程第一期生)

《成果7》

  1. 準備の進捗状況や新たに判明した状況を勘案した、本格実施ステージに関するPDM、PO、投入案に係る点検評価・議論と改定案の策定
  2. ステージ2のPDM、PO、投入に係る議論を取り纏めたM/Mの署名

投入

日本側投入:(総額 約21.5億円)

  1. 長期専門家派遣:7名
    プロジェクト・アドバイザー、3分野専門家、業務調整員 等
  2. 短期専門家派遣:約34名/年(7プログラム教員×4名/年+事務局3名+技術職員3名)
  3. 専攻支援(業務委託契約):7専攻(各12人月相当/年)
  4. 研修員受入:約10名/年(7プログラム教員×1名+経営層2名+事務局1人)
  5. 機材供与:修士・博士課程の研究・教育用機材(ムバラクシティ研究所(MuCSAT)所有機材の補完
  6. 在外事業強化費:日常活動経費、共同研究費、第三国奨学金等

相手国側投入:(総額 約100億円)

  1. E-JUST職員の雇用・配置:経営層、教員、技術職員、事務職員
  2. E-JUSTのキャンパス・施設の建設
  3. 大学運営予算:人件費、研究・教育経費、維持管理費(施設・機材)
  4. プロジェクト事務局関連経費(執務室、公共料金、等)