高校数学教員対象の伝達研修スタート

2018年11月29日

2019年1月の高校数学教科書の全国配布を控え、10月に養成した100名あまりの研修講師と県教育事務所の技官が中心となり、全国およそ1,200名あまりの高校数学教員を対象とした伝達研修が11月19日にスタートしました。初日は学びの改善戦略など理念の共有や教材の構成・使用法を中心に4時間、2日目は学習プログラムの改訂に伴いこれまで高校では扱っていなかった新出の学習内容を中心に考察する4時間の計8時間の研修です。

今回はサンサルバドル県の初日を視察しましたが、県教育事務所技官が講師となり、教員たちに理念を熱く説く姿には感動を覚えました。もともとの資質にもよるでしょうが、1年間継続してプロジェクトの理念を伝え、随伴指導してきた成果とも言えるでしょう。何よりすごいのはその熱意が教員に伝わること。「数学教育情報共有のためのSNSグループを作ろう」、「学習時間の増加と教材の使い方につては保護者会で数学教員が説明しなければ」といった前向きな発言を教員から引き出していました。

エルサルバドルの国土は小さいですが各県ごと独自性があり、今回の高校研修もそれぞれの県の方針を踏まえて柔軟な計画策定をしています。例えばサンサルバドル県では高校の数が多いということもあり、県内に4会場を設置し公立学校のみの教員を集めて実施しています。他方、サンタアナ県やアウアチャパン県では私立高校の教員も招待して県内1か所に集め、公立私立の隔てなく学生の学びを改善しようという計画を立てています。中には数学の中身をもっと考察したいと8時間を超えて実施する県もあります。

残念なことに、11月16日に3学期が終了し、現在成績整理、終業式、教員研修と多くの活動が重なっていることも影響したのか、伝達研修の出席率は低くなってしまいました。しかし、そのあたりはフットワークの軽いエルサルバドル。1月2,3週目の授業開始前の期間を活用して、未参加者に補習するよう公式通達が出される見込みです。

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サンサルバドル県教育事務所技官による研修の様子。1年間継続してプロジェクトの理念を伝え、随伴指導いてきた結果、理念を熱く語れるまでになりました。

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サンミゲル県では数学教員に先立って校長への研修を実施し、学びの改善戦略の中の校長の役割、特に授業時間の確保について説明しました。