第3回中米広域数学教育セミナーその2「すごいぞエルサル!」

2018年12月7日

各国発表の後はエルサルバドル国内からの発表。校長先生、県教育委員会、教員の代表それぞれ1名がグッドプラクティスを共有しました。特に教員を代表として発表した数学の先生は、今年中学校1~3年生まで全ての学習内容を教えきったコツを共有しました。途上国では、すべての学習内容を教えることは至難の業ですので、エルサルバドル国内で実際にこのような先生がいるということを目の当たりにしたこと自体が、参加者に大きな刺激となったようです。また、学習内容の終了のコツの他にも、丸付けの工夫、授業時間の管理のコツなど自らの工夫を惜しみなく披露し、拍手喝さいを浴びました。

昼食をはさみ午後そして2日目の午前中は分科会を実施。「学びの改善戦略」「学校運営(校長の職務)」「県教育委員会の随伴指導」「新規教員養成課程」「学習時間の増加と学習習慣定着」等のテーマごとに分かれて、それぞれの経験を共有し、議論する機会を持ちました。参加した教員の中には、2018年中学校数学教科書全国普及の講師を務めた人もいて、「研修講師として(時間がかかるかもしれないが)必ず学びの改善に結びつくのだ、と自分に言い聞かせ、しっかりと勉強してから研修を実施することが重要」「研修参加している教員よりも自分が上位だと思ってはいけない。謙虚な姿勢で研修をすることが肝要」等の経験談が共有されていました。さすが手弁当で研修講師を務めたエルサルバドルの先生方だなと感心させられました(エルサルバドルでは今後の持続性を考えて2018年中学校数学教科書導入全国研修において講師謝金等は一切支払いませんでした)。

インパクト評価2年生の経験共有では学年初めの読み書き能力の欠如による苦労、それを根気強く教員の手本の後に読ませる、一緒に読ませる、リレー読みなどの活動を積み重ねて学習習慣をつけたという経験談、宿題の実施率を増やすために保護者への啓発として授業参観を行い教材の意図を説明したこと、保護者会に出てこない家庭には学校運営委員会と協力して家庭訪問を実施したこと等、ここでは書ききれないほどの素晴らしいグッドプラクティスを共有してくれました。

エルサルバドルでは今回全国の代表教員が一堂に会し、多くの仲間と知り合えたことで、次年度以降の継続的な中学校数学授業の改善、更には来年度の小学校算数、高校数学教科書の全国普及に向け、引き続き“手弁当”で頑張っていくことを誓い合っていました。

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学習時間を増やすテクニックを共有する中学校数学教員。問題提示の仕方、宿題の出し方、指示の出し方、生徒の動かし方など細部にこだわる姿勢は素晴らしいの一言。

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今年中学校教材導入研修でファシリテーターとなって活躍した教員の経験座談会。来年小学校導入研修を控える参加者に教訓を教示しました。