第4回数学の学び改善セミナー開催におけるパネルディスカッションの様子

2019年5月29日

5月17日(金)及び5月18日(土)の2日間にわたり実施した第4回広域セミナー兼ESMATE終了時セミナーでは6つのパネルディスカッションを実施しました。今回はその一部をご紹介します。

県教育事務所行政官により議論されたテーマは、「最低160時間の数学授業時間を保障する取り組み」。これまで行ってきたことに基づいて、年間指導計画の策定と月ごとの進捗管理、時間割の工夫、各学校の年間活動計画にない突発的な行事実施の制限、定期校長会における啓発等具体的な取り組みが共有されました。また、教材普及に係る教員支援では、EMSATEプロジェクトのフォローアップ体制についても言及され、プロジェクト終了後も各県担当カウンターパートを維持してほしいとの要望が出されるなど、各県教育事務所と良好な信頼関係を構築している様子が確認できました。

1,2年生の教員によるパネルディスカッションでは「ESMATE教材は算数の学び改善に貢献するか。」という質問が投げられました。パネリストは全員が貢献すると口をそろえ、中には「教科書の供与によって、経済的に恵まれない子どもに学ぶ機会を保障される。」、「教科書使用で、学習規律や学習習慣を改善でき、生徒だけでなく、教員、そして保護者の規律の改善にまで貢献できる。」、「算数の教科書を読むことで読解力がつき、国語にも良い影響を与えている。」といったコメントが寄せられたほか、6月に控える政権交代を見据え、教材配布継続の要望が全員からなされました。

中学・高校の数学教員のパネルディスカッションにはYouTubeで教材に関する動画をアップしている教員や研修ファシリテータ-が参加したほか、練習帳の丸付けを工夫して行っている教員が実際の練習帳を持参し、丸付けの方法を紹介してくれました。

その他、複式学級での教材使用や校長による授業時間確保の秘訣等が紹介され、国内のグッドプラクティスが共有されました。

今回にイベントを通じて感じられたのが、紹介されたすべての意見や実践が学びの改善戦略である、「良質な教材」、「能動的な学習時間」、「適切な教師の支援」に関連付けられて語られていたこと。教育省から、県教育事務所、そして教員に至るまでプロジェクトのメッセージが浸透している様子が感じられる終了時セミナーとなりました。

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県事務所代表者によるパネルディスカッションの様子。プロジェクトを担当していた技官が参加したため、非常に具体的な工夫が共有された。

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小学校教員によるパネルディスカッション。身振りを交え、感情のこもった熱い思いが共有された。

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パネリスト外のサンサルバドル市中学数学教員の実践例:問題を別紙に解かせ点検して返却。これを教員が評価を書き込んだ点検表と共にノートに挟む、張り付けておく。点検表には評価項目を明示し、4段階で評価。