コミュニティ住民の救急救命に関する理解と参画の促進に向けた活動進捗(成果3)

2018年6月25日

成果3では、サンサルバドル首都圏に選定された5つのパイロット地区のコミュニティ住民を対象に、救急救命に関する理解と参画を促進するための啓発教育活動を計画しています。
2017年11月に実施した救急通報と応急手当に関するKAP調査(注1)の結果から、パイロット地区のコミュニティ住民は、すでに救急救命への参加に対する高い意思(態度)はもっていますが正しい知識を持つ人の割合が低いことが分かりました。よって実践につなげるためには、まず知識の向上が必要であることが分かりました。

プロジェクトでは、救急通報と応急手当に関する知識の普及のためのコミュニティ住民へ向けた研修を、持続性と効率性を考慮し下記のように3つの段階に分けて計画しました。
1.各パイロット地区でファシリテーターを養成する
2.ファシリテーターが、各パイロット地区内のコミュニティ住民に向け研修を実施する
3.研修を受けたコミュニティ住民が、研修で得た知識をさらに周囲の住民へ伝達し知識の普及を図る

2018年4月16日から19日まで、第1段階のファシリテーター研修を2グループに分け、各2日間の日程で実施しました。(写真参照)研修を受けたファシリテーターは、各パイロット地区で働く保健プロモーター(注2)やコミュニティ家庭保健所(UCSF)のスタッフから選定されました。研修は、救急医療システム調整センター(CCSEM)や病院前診療関連組織(エルサルバドル消防局やNPO団体など)で働く医師や救急救命インストラクターにより、以下の講義と演習の指導が行われました。

【講義】
・SEMの役割とファーストレスポンダーの役割
・緊急時と準緊急時
・ファーストエイドキット
・応急手当(出血、骨折と打撲、重症外傷、火傷、失神、下痢、発熱、痙攣、中毒、咬刺傷、窒息)
・家庭での災害時の備え
・ファーストエイドの指導方法

【演習】
・止血法
・副子を使用した四肢固定法
・三角巾を使用した包帯法
・窒息時の対処方法
・心肺蘇生法(心臓マッサージ)

また、ファシリテーター研修では、プロジェクトで作成したコミュニティ住民向け「ファーストレスポンダーと応急手当マニュアル」の草案を使用しました。マニュアルは、プロジェクト活動の第2期で印刷・製本し、今後のコミュニティ住民へ向けた研修で使用する予定です。(写真参照)

2018年5月14日、ファシリテーター研修を修了した56名の参加者に対する修了証、ならびに14名のインストラクターに対する感謝状の授与式を開催しました。(写真参照)授与式には、保健省保健サービス担当副大臣、JICAエルサルバドル事務所長、保健省救急医療局長のほか、保健省プライマリヘルス局、病院前診療関連組織、パイロット地区の自治区と県保健事務所(SIBASI)の代表者が参席しました。保健省保健サービス担当副大臣からは、コミュニティでの救急対応の知識の普及の重要性が触れられ、プロジェクト活動参加へ向けた激励の言葉が贈られました。

(注1)知識(Knowledge)・態度(Attitude)・行動(Practice)の情報を収集する保健調査の一つ。
(注2)保健プロモーターは、地域の保健施設に所属し、健康に関する啓発教育活動をコミュニティ住民に対し実施する役割を担っています。

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