コロナ禍における生活改善活動の効果

2020年8月23日

エルサルバドルでも日本と同様に新型コロナウイルスの感染が拡大しています。8月23日までに国内の感染者総数が24,811人、死者数は669人となっています。それでも1日当たりの感染者数は、8月9日の449人をピークに減少し始め、8月23日の時点で189人となっています。感染拡大は、峠を越えたといえるかもしれません。しかしエルサルバドルの社会生活は大統領令により厳しく制限されており、国民の多くは自宅待機を余儀なくされています。買物は各家庭から1名が、週1回のみ可能となっており、製造業やサービス業の大半が営業できない状態が続いています。感染者数が減少しており、今後は社会活動が徐々に再開されることが計画されていますが、感染の第2波が懸念されます。

そのような状況でも、開発社会投資基金(FISDL)の生活改良普及員から「生活改善」が、日々の生活の大きな支えとなっていることが報告されています。

例えば、ティエラ・ブランカ集落のマリア・トランシトさんの家庭では、家の入口に水と石鹸を置いて、家の出入の際には必ず手洗いをすることにしました。家内清掃や毎日の入浴など、健康や衛生に気を使う人々が増えてきました。

また、自宅待機状態が継続し、家庭菜園や鶏の飼育などに力を入れ、会計や収入を補う活動に取り組む家庭が増えています。エリザベス・ソリスさんは、「家庭菜園で収穫した野菜を使って健康的なスープを作っています。もうこれらの野菜を買う必要はありません」と成果を述べています。

自宅待機が余儀なくされる中、家族で一緒に家庭菜園、ジャム作り、石鹸やシャンプーの手作り、マスク作り、縫製や刺繍のほか、電気・飲料水・お金の節約など、すぐに取り組める生活改善が実践されています。家族が一緒に生活改善活動に取り組むことで、家族関係がより親密となり、家族の大切さをより意識するようになったというコメントもありました。

開発社会投資基金(FISDL)で生活改良普及員を指導するカルロス・マルティネス氏は、コロナ禍において生活改善活動に取り組んできた集落では、「食料安全保障」「環境」健康」「社会連帯」「家計改善」という5つの生活改善活動の観点から、家庭生活に多くの好事例が見られると評価しています。その背景には、コロナ禍前から生活改善に取り組んできた人々の経験と知識、集落内や家庭内のチームワーク、共存と信頼関係、自信と責任など、成果を挙げる結果に結びついたいくつかのキーワードが確認されています。人々が責任を持ちつつ、良心的な活動と、健康や衛生管理に気を掛け、より良い生活を求めることで、好結果を招いていると分析しています。

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家庭菜園を活性化

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水源の清掃および衛生管理

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自宅待機の中で刺繍と植物管理