プロジェクト概要

プロジェクト名

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媒介虫技官の家庭訪問

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媒介虫技官による講習会

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住民によって組織された殺虫剤散

(日)シャーガス病対策プロジェクトフェーズ2
(英)Chagas Disease Control Project Phase 2

対象国名

エルサルバドル

署名日(実施合意)

2008年1月29日

プロジェクトサイト

アウアチャパン県、ソンソナテ県、サンタアナ県、ラ・リベルタ県、モラサン県、サンミゲル県、ウスルタン県

協力期間

2008年3月1日から2011年2月28日

相手国機関名

保健省

背景

シャーガス病は中南米においてマラリアに次いで深刻な熱帯病とされ、750万人以上の患者がいると推定されている。中米では、感染者は人口の約9%、約244万人と推測されており、エルサルバドル国では、人口の約4.3%、約32万人もの人々が感染しているとされている。

シャーガス病予防は、マラリア熱、デング熱等他の媒介虫感染症に比べて恒常的な成果を挙げやすい。シャーガス病を媒介するサシガメは、現在のところ殺虫剤に対する感受性が強く、また、近い将来耐性を発達させる可能性も低いとされている。したがって、(1)殺虫剤散布、(2)住居の改善、(3)住民教育を通して消滅可能な病気であることが実証されている。実際に南米のチリ、ウルグァイでは、感染の断絶が宣言されており、南米での成果を受け、中米7カ国(グアテマラ、ホンジュラス、ベリーズ、エルサルバドル、ニカラグア、コスタリカ、パナマ)及び米州保健機構(PAHO/WHO)は、「2010年までに中米におけるシャーガス病の感染を中断する」という目標をあげて中米シャーガス病対策イニシアティブを開始した。この目標達成のため、毎年「中米地域シャーガス病対策連絡会議」が開催され、各国の取り組みが評価されている。

JICAは、2000年より実施された対グアテマラ協力の経験を活かして、エルサルバドルにて技術協力プロジェクトを2003年9月より実施した。2007年5月に実施した終了時評価では、対象3県におけるパイロット地区5地区のうち、4地区における在来種の減少(5%以下)を確認した。また、パイロット地区では住民参加型シャーガス病監視システムを試行導入しており、セクター連携による監視システムが構築されつつある。

今般、同監視システムの検証を更に重ね、パイロット地区での経験・知見を基に、保健省中央及び地域事務所、県保健組織(SIBASI)が監視システムの運営に必要な能力を身につけ、戦略的に他地域へ普及させることを促すべく、保健省関係者の能力強化を主眼とした本プロジェクト(フェーズ2)を実施するに至った。なお、本フェーズではシャーガス病感染リスクが高いと推測される東部地域を新たに対象県に含め、殺虫剤散布を中心としたアタックフェーズを進める予定である。

目標

上位目標:

エルサルバドルにおいてT.d種によるシャーガス病の感染が大幅に減少する。

プロジェクト目標:

対象県において、アタックフェーズの地域が拡大され、メンテナンスフェーズにおける住民参加型シャーガス病監視システム (以下、監視システム)が確立される。

成果

  1. 中央地域・東部地域の対象県の高リスク地域におけるアタックフェーズの第1回殺虫剤散布が終了する。
  2. パイロット地区 において、監視システムが定着する。
  3. シャーガス病対策の啓発・推進活動が強化される。
  4. 保健省(中央、地域、県、ローカルの各レベル)の主導により、西部地域のパイロット地区以外の高リスク 地域において、監視システムが導入される。
  5. シャーガス病対策の経験・知見がプロジェクト対象県の間で共有される。

活動

1-1.
ベースライン調査(血清検査と昆虫学的調査)を実施し、高リスク地域を同定する。
1-2.
ベースライン調査結果に基づき、第1回殺虫剤散布を計画し、実施する。
2-1.
複数のコミュニティにおいて、T.d種によるシャーガス病感染の中断に関する閾値を検討するため、(1)16未満児の血清陽性率(2)家屋内生息率(3)原虫保有率の全数調査を実施する。
2-2.
パイロット地区において監視に携わるステークホルダーの役割と責任を規定する。
2-3.
パイロット地区において監視システムの業績評価手法を構築し、評価を行う。
2-4.
業績評価の結果を踏まえて研修を実施する。
3-1.
保健従事者の間でシャーガス病対策に関する継続的な研修を実施する。
3-2.
教育省との連携によるシャーガス病対策に関する教育活動を継続する。
3-3.
マスメディアを使い行動変容のための啓発を推進する。
3-4.
他の関係者と協力してシャーガス病対策活動(住居改善等)を推進する。
4-1.
パイロット地区におけるステークホルダーの種類、疫学・昆虫学・社会経済的特徴を勘案し、監視システム構築までの経過を分析する。
4-2.
分析結果を参考に、高リスク地域における監視システムの導入計画を作成する。
4-3.
高リスク地域において監視システムを導入し、2-3で開発された方法で業績評価を行う。
4-4.
業績評価の結果を踏まえて研修を実施する。
5-1.
プロジェクト対象県で得られた経験・知見に基づき、シャーガス病対策のパッケージ(実施ガイドライン、モニタリング・評価ツール、行動変容のための啓発用資材、研修教材等)を開発する。
5-2.
プロジェクト対象県の間で経験・知見を共有するためのセミナーを実施する。

投入

日本側投入:

  • 専門家派遣
    • 長期専門家(プロジェクト運営、シャーガス病対策)
    • 短期専門家(モニタリング・評価、疫学分析、啓発など)
  • 機材供与
    • バイク、車両、殺虫剤散布器、プロジェクター、ELISA用テストキット、簡易血清検査キット等
  • 在外事業強化経費
    • 教材印刷費、セミナー・研修経費、マスメディア用資材作成および普及にかかる経費等

相手国側投入:

  • 人材の投入
    • 保健省本省職員、対象県の地域事務所職員、県保健組織(SIBASI)職員
    • 対象県の保健所職員殺虫剤散布員
  • 機材
    • 車両、バイク、殺虫剤散布器のスペアパーツ
  • 建物・施設
    • プロジェクト事務所・駐車場
  • 必要経費
    • 車両燃料代、プロジェクト事務所の運営費(電気代・水道代・通信費)、殺虫剤等