(和)エチオピア国 品質/生産性向上計画調査
(英)The study on quality and productivity improvement (KAIZEN) in the Federal Democratic Republic of Ethiopia
エチオピア
2009年6月4日
2009年10月21日から2011年5月21日
(和)貿易産業省
(英)Ministry of Trade and Industry
エチオピア(以下エ国)は、現在、5ヵ年の開発計画(PASDEP, Plan for Accelerated and Sustainable Development to End Poverty 2005/6-2009/10)の主軸として、「経済成長による貧困削減」を目指しており、農業・食糧安全保障、インフラ整備に加え、民間セクター開発や輸出振興を重点分野として掲げている。近年では、皮革・靴、繊維、コーヒーを含む農産物加工品、花卉の輸出が伸びつつあり、エ国経済は、2004年以降年10%前後の成長を続けているものの、製造業のGNI(国民総所得)比は下降傾向にある。また、近年貿易収支赤字は拡大傾向にある。このため、成長が伸び悩んでいる製造業をレベルアップし、品質・生産性向上活動の普及により製品の国際競争力(輸出振興と輸入代替双方で)を強化することが課題となっている。
現在、エ国は、国際連合工業開発機関(UNIDO)によるベンチマーキング(註:業務プロセスに着眼して他社の優れた事例を分析し、自社の業務効率向上へとつなげる経営手法)導入や、ドイツ技術協力公社(gtz)による技術者育成や工業力向上を目指したEngineering Capacity Building Programも受けている。しかし、支援が実施されている企業の業績は芳しくなく、エ国側はそれらの結果に十分に満足していない状況にある。また、2008年11月〜12月にJICAが実施した「産業クラスター支援(協力準備調査)」における企業訪問においても、生産管理・品質管理についての改善の余地が大きいことが判明している。
このような背景の下、2008年7月にアジス・アベバで開催された政策対話イニシアティブ・アフリカ部会において、JICAのチュニジア国品質/生産性向上ナショナル・プラン調査及びアジアの経験が紹介され、メレス首相が強い関心を示した。その後、メレス首相はチュニジアの事例に習い、企業単位でボトムアップすることによって品質・生産性向上に取り組むカイゼンこそが、エ国においても抜本的に経営を改善するものであるとして、上記チュニジアにおける協力事例を踏まえた技術協力、及び産業開発戦略の考え方やアジアの開発経験に基づいた提言についての意見交換を日本政府に要請した。この要請を受けて、JICAは品質・生産性向上計画及び産業政策対話を行うこととした。
品質・生産性向上計画では、首相の強いオーナーシップの下、日本側から出した要件に基づき、既に貿易産業大臣の直轄下に10名で構成されるカウンターパート機関(カイゼン・ユニット)が設置されている。エ国としては、本件調査の過程においてパイロット・プロジェクトを実施し、選定された特定企業に対し生産活動にかかる実証的な企業診断と提言を行い、その中でカイゼン・ユニットに対する人材育成についても期待している。
産業政策対話は、政策研究大学院大学と共同で別途実施しており、2009年から2年間にわたって合計8回(原則3ヶ月に1回)の対話を実施し、エチオピア政府の重点産業について、その業績を評価し、既存のナショナル・プランや調査報告書を分析したうえで、戦略や行動計画についての提言を行う予定である。
エ国製造業の品質・生産性が向上し、国際競争力が強化される。
調査実施の過程を通じてエ国C/P機関の品質・生産性向上にかかる人的・組織制度的キャパシティを強化する。