バヌアツKu-bandリモートサイト調査の実施

2011年3月5日

USPのキャンパスネットワークにおける他国キャンパスとのリンクには、衛星通信が利用されています(USPNet)。大洋州諸国は、経済規模が小さな国々であるため、海底光ケーブルでの接続がない国々が多く、通信の多くを衛星通信に頼っているのが現状です。ここ数年少しずつ海底光ケーブルの敷設が進んできてはいますが、12カ国のUSP加盟国のなかでは、フィジー、そして昨年サモアのみに海底光ケーブルが接続されています。しかしながら、それぞれの国に海底光ケーブルが接続されたとしても、恩恵を被るのは主に本島のみで離島地域にはあまり影響はありません。USPは、それぞれの加盟国の本島にリモートキャンパスを持っていますが、離島地域にも学習センターを設けており、本島まで通学ができない学生に対しても遠隔教育で高等教育を提供しています。本プロジェクトにて支援するKu-bandという衛星通信帯域を利用した通信は、現在利用しているC-bandよりもより小型のアンテナ機材で、そしてより安価に離島地域へブロードバンド接続を提供することができるようになります。Ku-band衛星通信を利用して、主目的である高等教育提供品質の改善と高等教育機会の拡大に付随して、ブロードバンドインターネット接続は様々な恩恵を大洋州離島地域にもたらすことが想定され、デジタルデバイドの解消に貢献することを狙っています。

本調査は、これから開始されるKu-band衛星通信対象候補地の事前現地調査です。離島学習センターの電源を含めた各種インフラ、アンテナ設置場所やケーブリング状況、コンピュータの台数や利用状況など、今後の導入および運用をスムーズに進めるための重要な調査となります。USP ITS(情報技術サービス部)の副部長、および福島チーフアドバイザーが2011年3月1日〜3月5日にわたり、バヌアツにおける現地調査を実施しました。

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バヌアツにおけるUSPキャンパスおよびセンター

バヌアツには、首都ポートビラ(エファテ島)にあるUSPエマルスキャンパス以外に、北方のエスプリッツサント島にUSPサント学習センター、アンバイ島にUSPアンバイ学習センター、そして南方のタンナ島にUSPタンナ学習センターの3つの学習センターが存在しています。このうち、USPエマルスキャンパスとUSPサント学習センターは、既にC-band衛星通信でUSPNetに接続されていますが、アンバイおよびタンナ学習センターは、それぞれ1台のパソコンがダイヤルアップでインターネットに接続されているのみで、IT化が進むUSPの遠隔教育が提供できていないのが実情です。今回はサイクロンの影響でアンバイ島行きのフライトがキャンセルされ、訪問ができず、エマルスキャンパス、サント学習センター、タンナ学習センターの調査となりました。タンナ学習センターでは予定していた調査をすべて実施し、エマルスキャンパス、サント学習センターにおいては、現状の遠隔教育提供環境を調査、ステークホルダーからのヒアリングしたところ、数多くの課題が明確化されました。これらは本校に持ち帰り、改善・解決策を検討します。

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USPタンナ学習センター

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USPタンナ学習センター Ku-band衛星通信アンテナ設置予定位置

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USPサント学習センター(AusAIDの支援で建設)

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USPサント学習センター C-band衛星通信アンテナ