2012年6月27日
2012年6月17日から22日にわたり、地中海にあるマルタにて、第24回FIRST国際会議が開催されました。FIRSTとは”Forum of Incident Response and Security Teams”の略で、世界中のCERT組織やセキュリティチームの集まりです。サイバークライム、サイバーインシデントは、国境を超える事件であり、1つの組織では対応できないのが現実です。国や地域を越えた枠組みとして1990年に11の組織で設立され、2012年1月現在では、世界各地から252の組織がメンバーとして参加している非営利団体です。
発足したばかりのPacCERTにとっては、まず今まで空白地帯であった22カ国にわたる大洋州地域にCERT組織が設立されたことを伝え、そのうえで他国・他地域で活躍する同様の組織と関係を確立、信頼関係を構築していくことが必要となります。FIRST国際会議は、各国・各地域のCERT組織、情報セキュリティ関連組織が一堂に会する機会ですので、またとない重要なチャンスとなります。さらに、6日間にわたって、数多くの講演やパネルディスカッションが行われ、大洋州地域では入手することが難しい、情報セキュリティやサイバーインシデントに関する最新事例や最新動向、技術などに関する情報収集・情報交換の場ともなっています。
今回、本プロジェクトは、上記目的のために、PacCERTマネージャであるMr. Patrick QueetをこのFIRST国際会議に派遣しました。本プロジェクトで専門家として活動いただいているJPCERT/CCの方々も本会議に出席するということで、出発前および現地におけるサポートをいただきました。参加したMr. Queetは、「政府機関から金融機関に至る色々なセクターのセキュリティプロフェッショナルからの、情報セキュリティに関する幅広く、質の高い講演に加え、GoogleやFacebook、MicrosoftなどのICT企業からも、彼らが実際に経験した実際のインシデントに関して興味深いプレゼンテーションを聞くことができました。こうした多くの技術的な知識を増やすことができたのも成果ですが、PacCERTにとってもっとも成果があったのは、CERT組織間の関係構築です。例えば、CariCERTのマネージャと懇意になることができました。CariCERTは、カリブ海地域で活動する発足して6ヶ月のCERTであり、PacCERTと似た課題を抱えています。また、オーストラリアのAusCERTのマネージャとも会うことができ、今後の支援につき、協議を続けていく方向です。FIRST会議は、CERT組織が業務を実施するにとって、とても重要なイベントであり、毎年継続して参加していく意義を強く認識しました」と参加の感想を述べ、これから徐々に運営体制を確立していくPacCERTが、この会議への参加から大きな成果を得ることができたことを実感しています。