フィジー水産省職員対象の能力開発研修開催(2)

2022年9月16日

前回の記事にもありました通り、2022年2月14日より、フィジー水産省職員に向けたの能力開発研修が開催されました。

以前の記事では、大きく分けて、1)水産資源管理(沿岸資源管理および沖合資源管理)、2)養殖(ティラピア・ノコギリガザミ)および3)ポストハーベストの3科目で研修が実施されたことを説明しました。今回は、これら科目についての実施内容を具体的に説明します。

1)水産資源管理

沿岸漁業保全管理(2月14日から18日で実施)

本科目は、フィジーの沿岸資源管理の特徴、現状と未来の展望、そして、SDG14達成に向けた持続可能な沿岸資源管理について学ぶことを目的として実施されました。研修には、13名の水産省職員が参加し、USPのJoeli Veitayaki教授およびEsaroma Ledua先生が講義を実施しました。教室型の座学に加え、ディスカッション・プレゼンテーションや、ラウトカとモトリキ島での実習も行いました。実習では、参加者はデータ収集方法や漁業関係者に対する聞き取り調査の方法について学ぶことが出来ました。

沖合資源管理(2月21日から25日で実施)

本科目は主にフィジー水産省沖合漁業管理課の職員を対象に実施され、海洋保護区(MPA;Marine Protected Areas)に対する経済的な代替案について学ぶことを一つの目的として実施されました。沿岸漁業保全管理の研修と同様、Joeli Veitayaki教授およびEsaroma Ledua先生が20名の水産省職員に対し講義を実施しました。参加者からは、フィジー海域のMPAを取り巻く現状について学び、参加者間で議論を交わすよい機会となったという声が寄せられました。

2)養殖

養殖(ノコギリガザミの畜養)(2月21日から25日)

フィジーでは、5インチ以下のノコギリガザミの漁獲が禁止されている一方、既定のサイズに満たないものも多く漁獲され市場に出回っている現状があります。これらは、ノコギリガザミの資源にダメージを与え、資源量の減少も懸念されています。そこで、既定サイズ以下のノコギリガザミを畜養し、販売・放流することを実験的に行うことが、水産省内で検討されています。そのような現状から、本研修では、ノコギリガザミ畜養に関する知識を学ぶことを目的として、Rajesh教授が講義を実施しました。研修では、水産省が今後の畜養のサイトとして選定したVunuku村へのサイト訪問も実施、作成途中の池などの見学を行いました。このVunuku村での畜養は、本SDG14プロジェクトでも支援を進めていく予定です。

養殖(ティラピア)(2月28日から3月4日で実施)

本研修は、USPのChinthaka Hewavitharane先生のもと、効率的なティラピア養殖や種苗生産方法を学ぶことを目的として実施されました。21名の水産省職員が参加し、教室型の講義に加え、水産省ナンドロロ養殖所の訪問も行い、実際の効率的な種苗生産方法について体験することが出来ました。また、フィジー国内には、ナンドロロ養殖所を含め、バおよびデリケティの計3か所にティラピアを扱う水産省管轄養殖所があります。これら3つの養殖所の改善を目的とした小規模プロジェクトの計画・立案も行いました。

3)ポストハーベスト

ポストハーベスト(2月21日から3月4日で実施)

本研修は、水産物の付加価値増大の方法を学ぶことを目的として行われ、USPのJanice Natasha先生、およびBinesh Raj先生指導の下、21名の水産省職員が参加しました。参加者は、品質管理、包装、食品表示、HACCPを含む水産物加工の方法について学ぶとともに、実習では、魚のさばき方(リーフ魚、マグロ)、商品開発、刺身の調理、品質評価の方法について体験することができました。加えて、スバ魚市場の訪問や、市内のスーパーマーケットの訪問を行うなかで、付加価値増大につながる新商品の開発案について議論しました。

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ノコギリガザミ畜養の実地訪問

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ノコギリガザミの測定方法を学ぶ参加者

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マグロの解体

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マグロの燻製方法を学ぶ参加者

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ティラピア養殖場での実習

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種苗生産の方法を学ぶ参加者

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沿岸漁業保全管理の研修での実習

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モトリキ島の訪問