母子手帳全国展開のための州講師養成研修の実施

2018年5月28日

プロジェクト専門家2名が携わり本年2月に行った「母子手帳全国展開のための第1回州講師養成研修」(2018年2月20日~23日)に続き、2018年5月9日~11日の3日間の日程で第2回州講師養成研修をイースタン州コフォリデュアで実施しました。この研修は、全国の州レベルの講師を育成し、郡レベルの主要母子保健関係者(郡講師)に手帳のコンセプトと継続ケアへの貢献、効率的・効果的使用法を伝えることを目的に実施し、ガーナヘルスサービス(GHS)本部、各州・郡保健局や保健施設で指導的立場にある助産師・保健師・栄養士22名が参加しました。研修開始にあたり、会場となったイースタン州の州看護主任(Chief Nursing Officer)エヴリンさんがスピーチし、母子手帳が全国で確実に使われていくために、本研修の参加者が要となることを強調しました。萩原チーフアドバイザーは、母子手帳を全国規模で効果的に活用するアフリカ初のモデル国となることを期待するとスピーチし、参加者を激励しました。

【画像】記念撮影をする参加者とJICA専門家

実践的な研修

研修第1日目は、母子手帳のコンセプトや継続ケアといった基本的な知識の習得から始まり、産前健診・分娩・産後健診・乳幼児健診時の母子手帳の記入法や、母親に対する母子手帳の説明の仕方のポイントや注意点を学びました。第2日目は母子の健診時の身長・体重測定、成長曲線の記入と解釈、妊産婦と子どもの栄養、個別カウンセリングの技術とステップについて講義が行われました。最終日の3日目には、保健施設でのカウンセリング実習とその振り返り、母子手帳全国展開の計画とモニタリングの仕組みと方法の説明といった、研修全体のまとめが行われました。この研修は、講義で学んだ知識・技術を参加者にしっかり身につけてもらうために、母親に母子手帳を説明するロールプレイや、母子の基礎情報や健診結果の記入の練習問題、母子の身長・体重の計測や成長曲線の記入の練習等の実践的な内容を多く取り入れました。前回の州講師研修では母子に研修会場に来てもらって身長・体重測定を練習しましたが、今回の研修では参加者全員が病院に出向き、産前・産後健診、乳幼児健診に来ている母子を対象に母子手帳を使ったサービスの提供を体験しました。こうした工夫への参加者の反応は非常によく、積極的に講師への質問や参加者同士での意見交換を行い、使用法の明確な理解に努めていました。研修中に参加者から出された提案の一部は、母子手帳の使い方を説明する母子手帳ユーザーガイドの内容の改善や今後の研修にも活かされます。

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熱心に講義をするナショナルファシリテーター

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母親と父親へ母子手帳を紹介するロールプレイ

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母親に母子手帳の説明をする参加者たち

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子どもの身長測定の練習をする参加者たち

研修を核とした母子手帳全国展開

2018年度内は、第1回、第2回の州講師養成研修で養成された講師が中心となって郡講師養成研修を各州で進めていきます。そこで養成された郡講師には、各郡内の保健施設の母子保健サービス従事者を対象に母子手帳の使い方を広めていくことが期待されます。それと同時に、母子手帳の展開に様々な形で関わることになる州・郡保健局、州内の伝統的首長やクイーンマザーといった各地域の有力者などを対象に、母子手帳を紹介するための説明会を各地で開催する予定です。さらに郡講師は、導入された母子手帳がきちんと使われていくよう、定期的にサービス提供側と母親に対するモニタリングを実施します。モニタリングを通して素晴らしい母子手帳の使い方をしている施設を見つけ出して全国のモデルとして表彰し、母子手帳のよりよい使い方を国内の母子保健人材に浸透させることを目指します。ガーナならではの母子手帳の新たな使い方も見出せるのではないかと、プロジェクトからも期待しています。