アシャンティ州11郡で990名の保健医療従事者への研修完了

2020年1月23日

2019年9月から、アシャンティ州重点11郡において、母子保健サービスに携わる保健医療従事者を対象とした3日間の研修を実施してきました(研修の様子については、プロジェクトニュース「アシャンティ州11郡の保健医療従事者研修開始」参照)。2020年1月23日、990名の保健医療従事者が研修を受講し、母子手帳の活用及び栄養カウンセリングサービス、リスペクトフルケアについて、現場での実践のために必要な知識と技術を習得したことをもって、本研修は完了しました。プロジェクトでは、アシャンティ州重点11郡において、母子保健・栄養サービスに関わる全ての医療従事者に本研修を行い、その後、医療現場でのモニタリングやスーパービジョンを行うことで、母子手帳を効果的に活用した母子継続ケアのモデル地域を実現しようとしています。

研修完了までのスケジュール

アシャンティ州重点11郡は、2019年の新郡創設で2分割した4郡を含むものの、あたらしく出来た4郡の保健局がまだ十分に機能していないことから、11郡対象の研修は分割前の7郡の体制で実施しました。各郡の母子保健に携わる医療従事者の数によって、2回から9回の研修が実施され、990名が研修を受講しました。

表1.各郡の研修回数と参加者総数
Atwima
Nwabiagya
Atwima
Kwanwoma
Amansie
West
Adansi
South
Adansi
North
Atwima
Mponua
Amansie
Central
合計
研修回数 9 5 4 4 3 3 2 30
参加者総数 308 152 132 119 97 106 76 990

アマンシエ・ウエスト郡で最初の研修が10月9日に開始されてから、毎週複数の郡において同時並行で研修を進め、3か月後の2020年1月23日にアティマ・ムポヌア郡の研修が終わるまで、3か月間で30回の3日間研修を実施しました。その間、JICA専門家と州講師は、各郡講師が中心になって実施する研修への技術面・運営面の支援のため、ほぼ毎週出張を繰り返しました。表2にあるように、11月中は、11研修を別々に実施しており、週によっては、4研修を同時開催していました。

【表2.2019年11月の研修カレンダー】

【画像】

研修受講者の内訳

表3から明らかなように、研修を受講した990名のうち、地域保健師が437名、助産師が402名と、多くを占めました。助産師が妊婦健診、分娩、産後健診等で中心的な役割を担う一方、地域保健師は子どもの健康診断や地域に足を運んで健康診断や保健栄養教育活動を担当することが多く、母子保健サービスの主力2職種であるため、この2職種についてはほぼ全員が研修を受講することを目指しました。それに加え、各郡によって母子保健サービスに直接関わる栄養士などの職種や、郡の保健情報官などが研修に参加しました。研修中には、グループワークや実習の際に地域保健師と助産師が各々の得意分野で助け合い、知識を補いあうなど、職種・担当を横断した研修であることの利点が発揮されました。

表3.研修参加者の職種
職種 総数 割合(%)
保健師 1 0.1%
助産師 402 40.6%
地域保健師 437 44.1%
栄養官 14 1.4%
郡保健局次長 2 0.2%
保健情報官 4 0.4%
感染症対策担当官 14 1.4%
その他 116 11.7%
合計 990 100%

研修前・後テストの結果

研修の前後には、母子手帳の活用及び、栄養カウンセリングサービス、リスペクトフルケアについて、参加者の知識をチェックするテストを実施しました。前・後テストの結果を比較すると、研修を経て参加者の知識が確実に向上したことがわかりました。研修前のテストの最高点は79点、最低点は4点、平均点は21点でしたが、研修後の最高点は97点、最低点は14点、平均点は59点になりました。参加者を平均して、研修後の点数は研修前に比べ30点以上向上しました。

【表4.前・後テストの点数の分布】

【画像】

今後の予定

本研修を受講した保健医療従事者は、各々の保健医療施設に戻り、母子手帳の活用、栄養カウンセリングサービス、リスペクトフルケアの実践を開始します。実践の状況を確認し、課題点の改善を支援するため、プロジェクトではアシャンティ州保健局及び11郡の郡保健局と力を合わせ、各郡の保健医療施設を訪問しモニタリングや現場での追加指導やサポートを実施していく予定です。また、研修スケジュールや研修教材をガーナヘルスサービス本部の母子保健・栄養担当官との間で再度精査し、更新していきます。更新された研修パッケージはガーナでの母子手帳研修の標準パッケージとなり、広く全国の医療従事者研修に使われる予定です。