アシャンティ州重点11郡での第1回モニタリング&スーパービジョン実施

2020年2月28日

2019年9月にアシャンティ州重点11郡郡講師育成研修、2019年10月から2020年1月にかけて11郡の保健医療従事者研修を実施し、郡講師33名、保健医療従事者990名に研修を実施しました。本研修の特徴は、これまで全国で実施してきた母子手帳研修の内容に加え、栄養カウンセリングサービスと受益者である母親へのリスペクトフルケアの内容を含んでいることです(プロジェクトニュース「栄養カウンセリングサービス、リスペクトフルケア(NCSRC)教材確認ワークショップと郡講師育成研修実施」参照)。

2020年2月から1か月間、上記研修を受けた郡講師が州講師及びJICA専門家の支援のもとそれぞれの郡の保健医療施設に赴き、初のモニタリング&スーパービジョンを実施しました。モニタリング&スーパービジョンの目的は大きく2つあります。ひとつは各保健医療施設での母子手帳の使用状況及び、栄養カウンセリングとリスペクトフルケアの実施状況を把握すること、もうひとつは把握した課題点等について、母子保健サービスの第一線で働いている保健医療従事者へ現場での指導および助言をすることです。今回、モニタリング&スーパービジョンを実施した保健医療施設は、病院、保健センター、コミュニティレベルでの地域保健サービスを提供しているCommunity-based Health Planning and Services(CHPS)など、さまざまなタイプの施設で、訪問施設の総数は144にのぼりました。144中81施設がCHPSであり、コミュニティに近く地域の母子と最初に関わる保健医療従事者(Community Health Nurse/Community Health Officer)への支援ができました。多くのCHPSは辺ぴな地域にあり、舗装されていない悪路をモーターバイクで行くか、歩いていかねばならず、アクセスの困難さを郡講師は体験していました。悪路の先の末端医療施設で、研修に参加した医療従事者が母子手帳を活用していることを知り、プロジェクトメンバーは感動を覚えました。

今回は第一回目のモニタリング&スーパービジョンであったため、州講師も郡講師によるモニタリング&スーパービジョンに同行し、保健医療従事者へ母子手帳の記載方法、身体計測の方法、栄養カウンセリング及びリスペクトフルケアの実施方法など、すでに研修で指導した内容を直接現場で指導しました。また、郡講師に対してはモニタリング&スーパービジョンに用いるチェックリスト等の使用方法についても助言しました。州及び郡講師のモニタリング&スーパービジョンの報告書から把握できたことは、研修を必要としている保健医療従事者がまだ多くいること、それぞれの施設で保健医療従事者数が不足していることで十分な栄養カウンセリングができないこと、母子手帳を始め、体重計、身長計などの機材が不足していることです。好事例としては、プライバシーに配慮した健診及びカウンセリング場所を確保していること、食品サンプルを使用した栄養カウンセリングを始めていること、保健サービスを受けに来る母親を25人程度の小グループに制限し、栄養カウンセリングの時間を捻出していること、業務の流れ(フローチャート)を妊婦健診スペースに貼付し、業務の遂行を徹底していること、母親達の受診率を上げるために、施設や地域の財源を活用して石鹸・おむつ・果物・ヨーグルト・皿などを配布していることなどが把握できました。

2020年5月現在、新型コロナウイルスの影響下で第二回目のモニタリング&スーパービジョンを一時中断していますが、郡講師郡からはモニタリング&スーパービジョン再開への要望が挙がってきています。今後、州保健局と協力し、郡講師陣の実施に対する熱い思いを受け止め、小規模でも郡でのモニタリング&スーパービジョンを再開できるよう、実施方法を模索しています。

【画像】保健医療施設への道のり

【画像】コミュニティの保健医療施設でのモニタリング&スーパービジョン風景

【画像】母親への栄養カウンセリングを実施