オティ州保健医療従事者研修開催

2020年12月3日

2020年11月12日、遂に、2名のプロジェクト専門家がガーナ再赴任となり、プロジェクトは現地での活動を本格的に再開し始めました。再赴任後の活動第1弾は、2019年にガーナ国西方のボルタ州から分割し誕生したオティ州の州講師、郡講師へのオリエンテーションと、同州の保健医療従事者研修となりました。

郡講師を対象としたオリエンテーション

新州であるオティ州では、一定数を収容できる研修会場を確保できず、隣州ボルタ州の州都ホにて、オリエンテーション及び研修を実施しました。研修に先立ち、2020年11月23日、オティ州の州講師3名及び郡講師22名に、第1回全国モニタリング・スーパービジョンの結果を共有し、母子手帳研修の追加項目や、研修パッケージの使用方法を説明するオリエンテーションを実施しました。最初に、プロジェクト専門家が、第1回全国モニタリング・スーパービジョンにおける旧ボルタ州の結果を発表しました。母子手帳は全州で活用されており、正確に記録が残せていること、一定の技術を用いてカウンセリングを実施できていることが分かった一方、Body Mass Indexや妊娠期体重増加量の計算、実施したカウンセリング内容の記録、成長曲線の正確な解釈等に課題が見つかっています。その後、ナショナルファシリテーターが、研修に追加された栄養カウンセリングサービスやリスペクトフルケアといった新しい項目の詳細や、改訂版講師用ガイド、参加者マニュアル等研修パッケージの活用方法を、研修の進め方の具体例を示しながら説明しました。また、モニタリングの結果を踏まえ、保健医療従事者が1回の研修では習得しきれないポイントを、研修後のモニタリング・スーパービジョンを通じて継続的に支援していくことの重要性を強調しました。州・郡講師は、母子手帳研修に追加された新しい項目を、郡内の保健医療従事者に伝えていくことが期待されています。

保健医療従事者研修

オリエンテーションに引き続き、11月24日~27日の4日間、オティ州の保健医療従事者研修を行いました。オティ州8郡から31名の保健医療従事者が参加した研修は、10月に実施したグレーターアクラ州での研修同様、4日間プログラムです。(プロジェクトニュース「研修教材とプログラムの改定」「専門家一時避難の状況での主要病院の保健医療従事者向け研修の実施」参照)

研修員が、知識や技術を確実に習得できるよう、母子手帳記録練習、身体計測演習、母乳栄養や食品群を学ぶグループワーク等、アクティビティを多く組み込んでいる本研修は、新型コロナウイルス感染症拡大禍での実施となり、さまざまな場面で感染対策を図りました。グループワークは、10分から15分で区切ることで、長い時間密接な状況を作らないように配慮しました。演習や練習に集中すると、身体的距離が近くなってしまうところ、時に互いに声を掛け合い、距離をとり合いました。何より、マスクを着用し、入室のたびに手洗い、手指消毒を徹底する研修員の姿は、この半年間GHSが続けてきた新型コロナ感染症対策が、保健医療従事者にしっかり定着していることを示していました。

【画像】研修会場入り口に設置された手洗い場

【画像】身長計測練習

【画像】妊婦とその夫に母子手帳の使い方を説明するロールプレイ

【画像】食材を4つの食品群に分ける演習

10月に実施したグレーターアクラ州の研修では、病院実習を中止し教室内でのロールプレイ演習となりましたが、今回開催地ボルタ州では、感染者数を少なく抑えられていることから、医療施設側から実習許可を得られ、短時間での病院実習を行いました。実際の妊婦、乳幼児の母親への栄養カウンセリングでは、研修員は、限られた時間内に情報を聞き取り、必要な行動を妊婦さん、お母さんと一緒に考えていくこととなり、母子手帳の絵や情報を使用しながら、学んだことを懸命に実践していました。そのカウンセリングを受けた妊婦さんやお母さんは、これまでの食生活の良い点を認められ、自身と子どものために取り組んでいくポイントが明確になり、実習でありつつも、カウンセリングに満足した様子が伺えました。

本研修は、オティ州の保健医療従事者向け研修であると同時に、新オティ州の州講師育成研修を兼ねており、栄養カウンセリングサービスやリスペクトフルケアに係る講義、演習は、ナショナルファシリテーターが担当しました。オティ州州講師は、研修教材を使用しながら、母子手帳の記録方法や計測方法等、既に郡講師用研修で習得した部分の講義を担当しました。オティ州州講師は今後、郡講師が、新しい項目について郡内の保健医療従事者にオリエンテーションを実施することを支援するとともに、プロジェクトと共に第2回モニタリング・スーパービジョンを実施することを期待されています。

グレーターアクラ州での研修同様、オティ州の研修においても、改訂版のプログラムと研修教材を使用しました。4日間としたことで、時間の余裕が生まれ、研修講師は、研修員の理解度に応じ演習問題やグループワークを追加し、事後テスト後には、間違えやすいポイントを丁寧に説明していました。2回の研修実施を通し、改訂版プログラム、研修教材が、現場でうまく活用されることが分かったことは、大きな成果となりました。

これからの活動

新型コロナウイルス感染症拡大による専門家一時退避以降、現地での活動を思うように進めることができず、もどかしい日々が続きましたが、JICA本部、ガーナ事務所の支援を得て、専門家再赴任、現地での本格的な活動再開にこぎつけました。現場で、ファシリテーターが生き生きと研修を進行し、研修員が真剣に演習に取り組んでいる姿は、プロジェクトの本格的な再開を象徴し、プロジェクトメンバーを強く励ましてくれます。感染症拡大状況を確認し、出来る限りの予防対策を取りながら、カウンターパートと共に活動を進めていきます。