第5回合同調整委員会(JCC5)会合の開催

2021年12月1日

11月30日、アクラ市内のAccra City Hotelにて第5回合同調整委員会(JCC5)会合を開催しました。GHS総裁、FHD局長をはじめとしたGHSカウンターパート、アシャンティ州保健局、JICAガーナ事務所などの18名が参加し、プロジェクト成果、実績、持続性などにつき協議を行いました。

冒頭、プロジェクトダイレクターでGHS総裁のパトリック・アボアジェ氏が母子手帳はガーナ国内の保健セクターはもとより、保健セクターを越えた分野においても価値が広く共有され、ガーナにとって不可欠の存在となり、今後も国として母子手帳プログラムを継続する所存であると述べ、持続性に向けた決意を表明されました。JICAガーナ事務所の小澤次長は、母子手帳の開発から全国展開に至る取り組みの経緯を振り返り、GHSが一貫して主体性とリーダーシップを発揮してプロジェクトを牽引してきたことを評価するとともに、プロジェクト専門家の労を労い、今後の持続性に向け本会合にて有意義な議論が行われるよう祈念すると述べました。

会合では、母子手帳プロジェクトのキャサリン・アドゥ・アサレと、萩原チーフアドバイザーが、2021年7月から11月までの活動を振り返り、プロジェクト目標や成果の達成につき報告しました。アシャンティ州栄養士のオリビア・ティンポ氏は、アシャンティ地域での成果と経験を発表しました。
母子手帳を活用した質の高い母子保健・栄養サービスが全国で提供されるようになり、出生日や身体計測に基づいた母親の尊厳を重視したカウンセリングも提供されるようになりました。そしてその結果、母親の知識や受診率に向上が見られました。母子継続ケアのギャップであった出産時のケアの受診とその記録が83%(プロジェクト開始前は41%)、産後ケアの記録は46%(プロジェクト開始前は24%)の施設で良好に行われるようになりました。また、全国で81%、重点11郡で99%の母親が栄養カウンセリングを受診し、全国で96%、重点11郡の98%の母親が、カウンセリングで保健医療従事者からアドバイスされた内容を復唱できます。
重点地域では92%の母子が産前、出産、産後ケアのサービス(COC)を切れ目なく受診することができました。

プロジェクトの持続性を見据え、以下の点で協議が行われました。
1)国家母子手帳プログラムの調整機能
・プロジェクトが実施してきた合同調整委員会(JCC)を継承して、小児保健分科会とGHS家族保健局が母子手帳プログラムの窓口として実施管理を行うことになり、半年に1度、分科会が開催される見込みです。
2)母子手帳の調達
・国家予算による印刷を目指し、NHISや財務省と調整を続けることになりました。財源が確保されるまでは開発パートナーや民間企業による支援も必要です。
3)モニタリング・スーパービジョン
・サービスの質を担保するために多様なモニタリングが重要であることが確認されました。
プログラム毎に行うモニタリングの機会を利用した技術面の確認と指導、Integrated SSV(プログラム横断的な統合版モニタリング)による全般的な傾向の把握、施設ごとに実施されるモニタリングと現場での技術指導、などを組み合わせ、実施すべきであると提案されました。
4)母子手帳の改定
・母子保健・栄養に関わる個別のプログラムや、各州が、母子手帳改定にかかる提言を行い、GHS家族保健局と小児保健分科会にて検討することになりました。改定の時期は、5年を目途としています。

これらの協議は、12月2日に開催される全国経験共有・プロジェクト最終報告会(Dissemination Seminar)でも全国の州保健局、パートナー機関、大学病院なども交え、継続される予定です。
プロジェクトの最終局面を迎え、多くの関係者を巻き込み持続性の議論を行い、ガーナ側から具体的な提案があったことはプロジェクトにとって大きな収穫です。残り1か月となりましたが、具体的で実現可能性が高い議論が更に継続されることを願っています。

【画像】JCC会合の様子

【画像】JCC会合の様子

【画像】第5回JCC会合参加者による集合写真